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第306話 魔女の正体5

接近するプルシアン艦隊に攻撃を開始する

 2国間和平交渉会議20日目朝。(大陸統一歴1001年11月1日7時頃)


 ここはヒイズル帝国南部島より南へ300キロ離れた孤島、南海の魔女封印地。島の北部山陣地山頂付近。


 エリーは木々で隠蔽され森林迷彩シートで覆われたレンベルTYPEⅡのコックピット内にいた。レンベルの前には台座に固定された遠距離攻撃用魔導徹甲弾ライフルが設置されている。


 エリーはコックピット前タラップ上にいる技官に右手を上げて合図する。サブシートには皇帝護衛隊パイロットスーツを着用したアオイ大尉が座っていた。

「早期警戒機とのシステムリンクを確認してください!」

 エリーがコックピットタラップにいる技官へ声を上げた。技官がケーブルの繋がれたら端末を操作する。


「照準補正データーは初弾から順次行われます。ローラ様がご自分で照準射撃を行う場合は照準補正システムをオフにしてください。補正データーは表示されますが射撃には影響しませんので。あとは砲身寿命は30発となっております。まあ弾頭も30発しか有りませんが」


 技官がエリーにそう言うと一礼して言う。

「OKです。接続ケーブルをお願いします」


 エリーはコックピット接続ケーブルカプラーを引き抜き技官に渡した。

「それでは私はこれで下がります」

 技官は再び一礼するとタラップを降って行った。エリーは軽く手を振って合図するとコックピット前の足場タラップが移動収縮される。エリーは白い皇帝護衛隊ヘルメットを着用した。ヘルメットケーブルをシート後ろのカプラーに接続する。そして固定ベルトをロックした。


 エリーがシステム起動スタンバイボタンを押す。コックピット内の警告ランプが点灯して機体のスピーカーから女性の声でアナウンスが流れる。

〈レンベル起動シーケンススタンバイクリア! 起動シーケンス、スタートして下さい!〉


 エリーがコックピット正面パネルを見て確認呼称する。「起動異常アラーム無し! オールグリーンランプ確認! 起動シーケンス、スタート!」そしてセーフティーロックを解除、起動スイッチを押した。

 レンベルの融合炉が起動、高周波モーターの様な音が鳴り始める。

 サブシートに座るアオイ大尉が怯えたように声を漏らす。

「……魔力が渦巻いています。これは古代のガーディアン!?」


「違うよ、私の僚友レンベルだよ」インカム越しにエリーが言った。そしてエリーはモニターを見て各関節稼働部コア、ジェネレータ出力数値を確認する。

「起動完了! 異常警告表示無し! 制御システム異常警告無し! 兵装制御システム連動異常警告無し!」


 エリーはシールド安全装置を外しシールド開閉ボタンを押した。コックピット内にアラームが鳴り響き、シールドがゆっくり閉まっていく。


 エリーは正面パネルを操作して遠距離攻撃用魔導徹甲弾ライフルを接続する。

〈警告! 兵装システムロック解除!  兵装モード選択! ライフル遠距離射撃モード!  遠距離支援システム作動! 照準補正モード作動! 連続射撃モード選択!〉


 レンベルのコックピット内に女性のアナウンスが流れた。エリーはヘルメットバイザー表示を確認して通信を繋げる。

「こちらエンペラーワン! イーグルリーダー! データーリンク申請!」


『こちらイーグルリーダー! データーリンク承認! 接続します』


 コックピットシールドモニターにデーター数値と数十のカーソルが表示された。

「イーグルリーダー! 画像データーをもらえますか。艦隊の構成、単艦ごとに欲しいのですが」


『了解! 送信します』

 早期警戒機から画像データーが送られて来る。エリーはデーターファイルを選択してモニターで艦の外観を確認した。


「……補給支援艦? この2隻は兵員輸送艦じゃないの?」


(こちらは精鋭とはいえ、100人足らず。この感じだと2個大隊から1個連隊くらいはいるかな? 上陸は阻止しないと厄介なことになる。やっぱり死傷者多数は避けられない……)


 エリーは通信をリサに繋げる。

「プルシアン艦隊へ通信警告を行います。それで退かなければ、攻撃を開始します。どうも上陸部隊を連れて来ているようです。取りつかれたら厄介なことになるので出来るだけ大型艦を先に叩きますが、もし反撃を喰らった防御シールド展開をよろしくお願いします」


『はい、お任せください。魔力は島に無尽蔵にあるので魔力切れの恐れはないので強力なシールドを展開します』


 エリーは部隊通信を繋いで指示を通達する。

「これより、プルシアン艦隊へ警告通信を行う! 相手が受け入れない場合即刻戦闘に入る。なお相手は上陸部隊を連れて来ています。上陸させるつもりは無いですが。万が一敵兵が上陸した場合各個撃破して下さい。以上!」


 そしてエリーは共通無線周波数を選択してプルシアン艦隊へ呼びかける。

「こちらヒイズル帝国近衛警備隊! 所属不明艦隊に告ぐ! ヒイズル帝国領海を侵犯している! これ以上の接近は認めない! 直ちに離脱を要請する!」

 エリーは警告をヒイズル語、大陸共用語、プルシアン語で繰り返した。


 エリーはモニターで艦隊マーカーを確認する。

「速度そのまま……応答も無し」


『こちらイーグルリーダー! 艦隊に攻撃の兆候あり! 砲塔旋回斜軸調整中!』


 エリーは直ぐに応答する。

「こちらエンペラーワン! 了解!」


 エリーは無線を広域共通域帯に設定すると艦隊へプルシアン語で呼びかける。

「こちらヒイズル帝国近衛警備隊! 貴官らが暴挙に出ないことを願う!」


 そして相手艦隊から広域共通無線が入った。

『こちらはプルシアン第3艦隊! 降伏を勧告する! 領有権は我々に有る。速やかに投降を願う。無駄な戦いはこちらも望まない』


 艦隊各艦にプルシアン国旗と海軍旗が上がった。

(こちらの守備戦力を侮っているようですね。なら)


 エリーはプルシアン艦隊へ無線で応答する。

「そちらの意向は理解しました。こちらもそれなり対応致します」


『ヒイズル帝国に女性将兵がいたとは驚いた。しかも3各国語を流暢に喋り語学堪能、投降すれば我が国で融通しても良い。もはや負ける戦いをすることは無かろうと思うが』

 無線の向こうからは司令官らしき傲慢な声が聞こえた。


 エリーはモニターの艦船マーカーナンバー1

 を選択した。

〈警告! ターゲットマーカー1選択! 照準補正完了!〉ターゲットロックオン完了のピープ音が鳴り響く。


 エリーはレバーの発射スイッチを指で軽く押した。直ぐにレンベルの長距離魔導徹甲弾ライフル150mmの砲身から光と弾頭が打ち出された。弾頭は唸り音を上げ1600m/秒で標的に飛翔する。次弾が直ぐに装填される。

 

◆◇◆


 ここは島の南側13キロ付近沖合。プルシアン第3艦隊が上陸陣形を組み航行していた。

 第3艦隊旗艦巡洋艦【アルカド】号ブリッジ。

 ブリッジには20名ほどの将兵がいる。口髭を生やした50才くらいの将官が無線に応答していた。

《そちらの意向は理解しました。こちらも対応致します》

 拡声器スピーカーでブリッジ内に応答の女性の声が響く。

「ヒイズル帝国に女性将兵がいたとは驚いた。しかも3各国語を流暢に喋り語学堪能、投降すれば我が国で融通しても良い。もはや負ける戦いをすることは無かろうと思うが」


〈島に女がいるのか? そりゃあ楽しみが増えた〉

〈そうだな〉

 ブリッジの後方から将兵達の話し声が聞こえる。


 そして【アルカド】号ブリッジ上部の観測所からの警報が響く。短い警報の後スピーカーから声が流れる

〈島の山頂付近より砲撃確認! 艦隊方向!〉


「……ふっ! まだ射程外だ。当たる訳が無い」

 先ほどの将官が声を上げた。そして次の瞬間ブリッジ正面に光が走り轟音と共にブリッジが一層部分からか粉々に後方へ飛散する。旗艦巡洋艦アルカド号は中央部ブリッジが跡形に無く破壊されていた。艦種は面舵方向へ進み始める。並走していた僚艦は慌てて舵を切り接触寸前で交わした。

 そして2番艦の巡洋艦エグラン号へ光が到達、艦橋ブリッジが爆散した。プルシアン第3艦隊は各艦迷走状態になり混乱しているのが遠目からでも認識出来る。白い航跡が交差して回避運動を必死に行っている。

 そして各艦砲塔が島を目掛けて砲撃を開始した。そうして3番艦巡洋艦ホシール号の左舷中央に光が到達、装甲板が爆散すると誘爆を起こしあっという間に艦は傾き火災を起こした。




最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます! これからも、どうぞよろしくお願いします。

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