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北部戦線26 作戦準備6

 ここは、北方戦線、エリー機動大隊現地配備、8日目昼。


 エリー大隊は、帝国特殊部隊の襲撃を受けてから84時間ほど経過している、

 エリー達は帝国バレット市に身分を偽装侵入していた。


 あれから、シド博士に美味しい紅茶とクッキーをご馳走になり一時間ほどたわいのない話をして過ごした。シド博士は話題豊富でエリー達を楽しませてくれた。


 シド博士はエリー達三人を見て深く頭を下げて言った。「帝国諜報が動いております。油断されぬように」


 ユーリがシド博士に頭を下げて言う。

「シド博士もお気をつけて! 明日中には移動してくださいね」


 シド博士は三人に微笑み言う。

「はい、了解しました。それしてもいかがなものかと思いますが、その容姿は目立ち過ぎですね」

 

 ユーリがシド博士を困った顔で見て言う。「このメンバーでは致し方ないと思いますが? 次回はもう少し考えますのでご勘弁下さい」


「では入口までお送り致します」

 シド博士が研究所の一階入口まで一緒に移動した。

「マリアさん今日は楽しい時間をありがとう。子供達にも伝えておきます。あゝそうでした。これを」

 シド博士がユーリに箱を手渡す。


「お土産ありがとうございます。今日はありがとうございました」

 ユーリがシド博士に頭を下げと、シド博士は右手上げて研究所内に去って行った。

 

 アンジェラは守衛室に預けた荷物を受け取る。

「第三軍司令本部まで歩いてみますか」

 エリーが二人を見て言った。


「でもシドさんに慎重に行動しろて言われましたよね」アンジェラがエリーの顔を見て言った。ユーリがエリーを見て呆れたように言う。

「ローラはしょうがないですね。では行きますか」

「いいんですか? マリアさん」

 アンジェラがユーリを見て言った。


「ローラがあんなにわくわくした顔してるのに無理でしょ!」

ユーリがエリーを見て言った。


「もしかしてですけど? 三軍司令本部をぶっ潰すつもりとか無いですよね」アンジェラが恐る恐る聞いた。


「それもありかもしれないですね。でも多分、私達生きて帰れるっとは思いませんけどね」エリーが少し笑みを浮かべって答えた。

 

 そして司令本部建物の前に三人は到着した。建物入口の警備下士官が近寄って来て声をかけてくる。

「ローラさんですよね! セリカ少佐に御用ですか?」


 エリーが少し驚いた顔して警備下士官の顔を見る。

「なぜ? 私の名前を知っているのですか」

「はい、昨日あの店に居合わせまして一部始終見ていたものですから、初対面なのに失礼致しました!」


「そうなのですね。理解しました! いいえ、セリカ少佐で無く、ミリアさんをお願いしたいのですが、よろしいでしょうか」


 エリーが警備下士官に伝える。警備下士官は、もう一人の警備兵に何か喋ってエリーに言う。

「こちらへどうぞ」

 警備下士官が2枚ドアの片方を開けてエリー達に中に入るように即した。

「入っても宜しいのですか?」

「どうぞ中へ」

 そして三人は司令本部の一階フロアに入った。天井は高く中央が二階部分と吹抜け構造になっている。内部には将兵は思ったほど人数はいない。

 将兵達は慌ただしく落ち着きがによう思われた。


「ミリア中尉には連絡しましたので、少しお待ちください」そう言うと警備下士官は入口に去って行った。

 

「何か慌ただしく感じますが?」

 ユーリがエリに言った。

「そうですね、もしかしてあの件でしょうか?」エリーが二人を見て言った。


「すみません! こちらまでいらっしゃたのですね」ミリアが階段から降りて来た。


 ユーリがミリアを見て微笑んで言う。

「無線電話使いませんでした。すみませんでした」


「いいえ、問題ありません」

 ミリアが三人に近寄り会釈する。


 エリーがミリアに少し遠慮したように言う。

「何かあったのですか? 慌ただしいようですが」


「はい、少し外に出ますか、お話は外で」


ミリアが入口に向かうと三人も付いて外に出た。建物の端に移動してミリアが言う。

「実は、発表は今日の夕方なのですが、戦線後退命令と退避勧告が発令される予定なのです」


「戦線後退命令? それはどう言う」

 ユーリがミリアを見て言った。


「申し訳ありませんが、詳細は・・・・・・、ただ100キロほど後方に下げることは決定事項のようです」

 

 ミリアが三人を見渡して言う。

「早くここから出たほうが良いでしょう。帝国から退避勧告が出た後では、列車も幹線道路も大混雑で身動きが取れなくなると思います」


「ここには民間人はほとんど残って居ないのではないのですか?」アンジェラがミリアに言った。


「確かにそうですが、列車は明日の昼間までしか運行しません! そして幹線道路は軍も移動するので大渋滞が予想されます」 

ミリアが余裕のない表情で言った。


「ご忠告感謝致します!」ユーリがミリアを見て言った。


「それではお言葉に甘えて、ホテルまでお願いします」


「はい! 直ぐに車両を持って来ます。」

 ミリアは司令本部に慌てて戻って行った。


 エリーがユーリに質問する。

「帰りはどのルートですか?」


 ユーリはエリーを見て答える。

「もちろん最短ルートです、予定より若干早くなりましたが、問題ありません」


 アンジェラが少し心配に言う。

「最短ルートとはどのよな?」


「大丈夫です。お任せください」ユーリが自信ありげに答えた。


 ミリアが戻って来ると、エリー達は軍用車両に乗り込みホテルに戻った。そして慌ただしくホテルを出て駅を目指す。


「ミリアさん、ここで結構です」

ユーリが食料品店の前で止まるようにミリアに言う。


「昼食を食べていないので、お腹の足しになるものを買っていきますので」


ミリアがユーリに言う。

「では待っているので買い物を済ませて下さい」


ユーリは申し訳なさそうにミリアに言う。

「大丈夫です。迷惑は掛けられません。どうぞお帰りください」


 ミリアが少し寂しそうに言う。

「まだ駅まで歩きだと10分くらいはありますよ」


 ユーリがミリアの目を見て答えた。

「いいえ、ミリアさん職務に戻って下さい! お気遣いは無用です!」


「しかし・・・・・・、わかりました。ではお気持ちに感謝致します。それではお気をつけてお帰りください! またお会いする機会を楽しみにしております」

ミリアはそう言うと軍用車両をUターンさせて戻って行った。


 ユーリがハーッと息を吐き二人に言う。

「やっと自由になれましたね」

「それでは案内人に接触しますので、こちらへ」そうして、三人は大通りから狭い路地に入って行く。ユーリは立ち止まり周囲を確認してバックを開け、シード博士からもらった箱を取り出す。

 

 ユーリは箱を開け小型無線機を取り出て、電源を入れ信号を確認発信する。

「こちら、オーズ1 ! デーブ1 どうぞ!」

この小型無線機はショートレンジの暗号化方式無線機でブラウン商会技術開発部門自慢の機器である。ユーリはイヤホンを右耳にセットする。


『こちらデーブ1 ! 通信確認! オーズ1 どうぞ!』相手からの通信音声がする。


「只今より! プラン2開始! 以上!」

 ユーリは相手側に指示を出すと、相手から返信が直ぐに返ってくる。

『デーブ1 ! プラン2了解! 接触は五分予定! 接触ポイントで待て! 以上!』

 

 ユーリは通信機をバックに収納する。

「連絡完了です! 移動します」ユーリはアンジェラとエリーにそう言って、狭い路地から少し広めの路地に抜ける。

「ここで少し待ちます」

そして、数分してカーキ色の帝国軍軍用輸送車両が目の前に止まる。五人の帝国軍兵士がホロで仕切られた荷台から降りてくる。

 ユーリがエリー達を見て頷く。「早く荷台に! 目立ちます」帝国兵士が周囲を警戒している。エリー達はステップに足を掛けホロを捲り荷台に乗り込む。


荷台は両サイドに簡易座席が取り付けられている。ホロ内には五人の帝国軍兵士がいた。外で警戒していた五人が乗り込みホロの入口を閉める。

 

 一人の兵士がユーリに近寄り会釈する。

「このまま国境まで向かいます。現在前線付近で帝国軍の後方移動始まっています。逆方向なのですんなり通れると思います」

 

 ユーリがその兵士に微笑む。

「準備ご苦労様です、国境線の手配は完了しています。どのくらいで到着出来ますか?」兵士はユーリに直ぐに答える。

「最短二時間半くらいでしょうか」


「そうですか、了解しました」


「乗り心地は悪いですが、少々我慢してください」


「それとこれは着替えです!」

 手前にいる帝国軍女性下士官が袋を手渡す。ユーリが袋を開けて中身を見て言う。

「エリー様、アンジェラ様、これに着替えてください」帝国軍下士官用標準軍装服だった。「サイズは大丈夫だとは思います」

ユーリがそう言うと、女性下士官と二人で荷台の奥にシートを持ち上げ空間を作った。「ここで着替えてください」ユーリが微笑ん言った。


 軍用輸送車両はバレット市街地を走行し検問所も難なく通過する。郊外に出ると輸送車両は速度を上げる。荷台の振動は結構有りアンジェラは気分悪そうにしている。


 エリーが心配そうにユーリを見て言う。

「帝国軍に偽装して大丈夫なのですか? 敵国軍服着用は重罪ですよ、掴まれば銃殺刑相当ですよね」ユーリがエリーを見て肩に手を乗せる。

「大丈夫です。偽装ではありません。私達以外、全て本物の帝国軍将兵ですので、問題ありません」エリーが驚いた表情をする。

「へーーっ、本物・・・・・・、それってどうなっているのですか」


「ですから、全員現役の正規帝国軍人です」ユーリが少し苛立った様に言った。

エリーがユーリの手を握り言う。

「ユーリさん苛立っていますね。疲れが溜まっているようですね」エリーが優しく言ってユーリの顔見る。ユーリはエリーを見て一旦瞳を閉じて言う。

「申し訳ありません! エリー様に苛立ってしまいました」


 ユーリが少し考えてからエリーに言う。

「ブラウン商会情報組織の構成員が帝国内にも多数おりまして、その一部がこの将兵達と言う事です」


「つまりブラウン商会の人間あり、帝国軍人でもあると言う事ですね」

 エリーが安心して様な顔になって言った。

 

 エリー達の乗車した軍用輸送車両は国境線まで20キロに迫っていた。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

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