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第263話 ヒイズル帝国

エリーはヒイズル帝国行きを決める

 2国間和平交渉会議14日目深夜


 ここはべランドル帝国帝都ドール市、ドール城、皇帝居住エリア内。


 エリーはライオネルでのデリカス大統領との会談が終わって直ぐに、ランカーⅡ5号機でドール城に帰投、ベランドル帝国閣僚達にライオネルについての報告を済ませ、エランとの遅い夕食を済ませ今、エランの寝室にいる。

 エリーはエランのベットの上でだらけた顔をして隣りのエランと話しをしていた。

「1週間ほど休みを頂きたいのです。エランお姉様……よろしいですよね?」


 エランはエリーのだらけた顔を見て言う。

「……ええ、構わないけど、ユーリさんから聞いているわ。エリーには十分な休養が必要だって……、でもね。あなた別件を片付けるつもりではないのですか? 本当に休むのなら良いけど……」

 エリーは大きな皇帝用のベット上で転がってうつむせになり枕に顔を埋める。

「……、2日間は完全休養するから安心して。あとはぶらぶらするつもりですよ」


 エランはエリーのほうへ体を回して顔を寄せて言う。

「エリー、今度は何処に行くつもりですか? 心配しているのですよ」


「……えっと、会いたい人がいるんだ。生きているかわからないけどね」

 エリーは枕に顔を埋めたまま言った。エランはエリーの肩に手を添えて言う。

「ソウイチロウさんですか? ……ヒイズルに行くつもりですか!? あそこにはまだ拠点が領事館施設があるのみで首都オオカワ以外の立ち入りが禁止されています。今行っても見つけることは困難ですよ」

 エランが少し心配そうな顔をした。そしてエリーは顔を上げてエランを見つめて言う。

 

「エランお姉様、ヒイズルを外交使節団として訪問したいと思うんだ。それなら国内を視察目的で周れるでしょう。マーク宰相にはもう相談したんだけどね。良いでしょう?」

 エランは寂しそうな顔をしてエリーを見る。


「……直ぐに相談してよね。寂しいでしょう。私はエリーの姉なのですよ。どうせ反対したって行くつもりでしょう」


「……まあそうだけど、外交問題なったら困るから、手続きは踏まないとね」


「……、エリー、でもいきなり訪問ね。感心しないわ、相手も高圧的に取りかねないわよ……。もっと友好的に……」

 エランがエリーの肩を少し力を入れて掴んだ。

「そうだね。だからメインのメンバーは女性だけにしようと思うけど。セリカさんを連れて行きたいんだけど……良いかな。その代わりトッドさんにしばらくお姉様の警護についてもらうから」

 それを聞いてエランが戸惑った顔をする。「……えっ、トッドさん!」


「ダメかなぁ? トッドさん、明日にはライオネルから帰って来るから。エランお姉様の了承をもらえれば、そのままドールに残ってもらいます」

 エリーはエランの少し嬉しそうな顔を見て少し嫌な顔をする。


「……じゃあセリカさんお借りしますね。ヒイズルへの出発は3日後ですので、明日よりエルヴィス帝国へ一緒に行ってもらいます。よろしいですね。お姉様!」


「ええ、そうですね。公務も国外では今のところないので良いですよ」

 エランが若干弾んだような声で答えた。


「……じゃあそう言うことで、お姉様おやすみなさい」

 エリーはベットで転がり端によるとシーツを頭から被った。

「エリー……おやすみ」

 エランは優しく言うとシーツを被って目を閉じた。


 ◆◇◆


 ここは東方の島国国家、ヒイズル帝国首都オオカワ市首相官邸内。


 50畳ほどの広さの官邸内閣議室には、夜遅くににも関わらず、10人ほどのこの国の閣僚が大テーブル囲み暗い顔をして座っていた。

 浅黒く黒髪の40代くらいの男性が、閣議参加者を見渡し声を上げる。

「ベランドル帝国より外交連絡が入った。ベランドル帝国、グラン連邦国2カ国外交使節団の受け入れをお願いしたいと」


 黒いモールのついた軍服の30代後半の目の細い男性が言う。

「ワダ首相閣下! いつ訪問ですか? 我々にも準備がありますので」

 ワダ首相と呼ばれた浅黒く黒髪の40代くらいの男性が答える。


「今より3日後、10月30日です。外交使節団代表は、あのローラ様とのことです。猶予はありません! 至急、我が国の方針を決定しなければなりません」

 閣議参加者は顔を伏せて全員深刻な顔をする。


 白い軍服のモールのついた40才前後の男性が声を上げる。

「予想より随分と早いですね。意思統一がなされてもいないのに……大陸が一応片付いたようですが。もう少し時間はあると思ったのですが、動きが早い。我が海軍は大陸間相互条約内容について把握しておりますが、大陸間の無制限往来を認めるのはいささか時期尚早かと思います。まず人民に不安が広がり、せっかく安定しつつある国内情勢が乱れる恐れが大いにあります」

 それを聞いて、浅黒く黒髪の40代くらいの男性ワダ首相が言う。

「今回の使節団訪問は友好関係構築のための訪問であり、条約等の事前協議は後日正式な外交団を送るとのことでした」


 黒い上下スーツの口髭を生やした男性がワダ首相を見て言う。

「突然の訪問解せませんね。我々がギューデンに資金供与していたことを気づかれたのでしょうか? しかし、何重もの迂回ルートを使い工作しているので、出所が発覚することはまずないと思いますが」


 ワダ首相が黒い上下スーツの口髭を生やした男性を見て強張っ顔をする。

「そうですね。ですが、私は、ベランドル帝国魔導士ローラについては一通りの情報は得ています。みなさんもある程度は聞き及んでいるとは思いますが。いま現在、大陸情勢がこのような急変革をもたらした中心人物であることは間違いありません。そして優秀な諜報工作組織を駆使して、物事を滞りなく進める類稀なる為政者であると私は認識しています」


 ワダ首相を見て機嫌の悪い顔をして白い軍服のモールのついた40才前後の男性言う。

「ワダ閣下! ローラ様については武人との評価が高く大陸人民の人気も高い。いまや圧倒的知名度も誇る英雄です。対応を誤れば、直ぐに隙を突いてくるしたたかな策略家とも……、見た目はとんでもない美少女であるとも聞いており、そのギャップが周りを困惑させるとも」


 ワダ首相が白い軍服のモールのついた40才前後の男性に言う。

「海軍大臣、それは十分にみなさん理解されていると思います。そして周りに置かれている優秀な人材のほとんどが女性という事実です。しかも美女揃いだと……、我が国の女性の閣僚の登用はもちろんのこと、役人の採用すらありません。大陸各国ではすでに30年ほど前から女性の重要ポストへの登用が始まっていましたから、ローラ様も過去にベランドル王国時代に魔導士筆頭と宰相をされていたと聞いています。そしてグラン連邦国軍の男女比率は3割以上とも聞いています。そして絶対的エース級パイロットも女性でした。そのことを踏まえて使節団接待担当にはミヒロさまにお願いしたいのですが、どうでしょう?」


 黒い上下スーツの口髭を生やした男性がワダ首相を見て言う。

「ミヒロさまですか、確かに博識もあり美しい方で皇女さまで身分にも問題がない。ですが陛下が了承されますかね。寵愛を受けていますからね。万が一ローラ様が気に入られて、連れ帰るなどと申された場合断ることは困難ですよ」



「外務大臣、それは覚悟の上です。陛下にもご覚悟をしてもらわなければなりません。そして責任は全て私にあります」

 ワダ首相はそう言って立ち上がり深く頭を下げた。他の閣僚達も頷き了承する。


 ワダ首相が閣僚達を見渡し言う。

「それでは早急に陛下にお伝えいたします。外務大臣、一緒にお願い致します」

 黒い上下スーツの口髭を生やした男性が立ち上がり一礼するとワダ首相の隣に歩み寄る。

「ワダ閣下、従長に連絡を直ぐに致します」


 ワダ首相はが外務大臣に頷くと2人は閣議室から出て行った。

 

 


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。


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