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第262話 大統領との会談

エリーはデリカス大統領と会談した

 2国間和平交渉会議14日目夕方。ここはライオネル連合共和国、オーリス市中央区大統領府内。


 エリー達はランカーⅡ5号機で先ほど到着して、クラリスとアリア中尉の出迎えを受け来賓室にいた。


 来賓室は30畳ほどの広さでそれほど豪華では無く、多少豪華という感じだ。中央にテーブルとソファーが置かれ、そこにエリーとレベッカが座りクラリスとアリア中尉が反対側に座っている。

「本日は非公式な訪問です。デリカス大統領にこちらの要望事項をお伝えして終わりですね。多少意見も伺いますが」

 エリーはそう言って微笑みクラリスを見つめた。

「はい、承知しております。大統領には大まかにはお伝えしております。それではデリカス大統領がお待ちです」

 クラリスが緊張した顔をしてソファーから立ち上がる。クラリスは直ぐにドアを開けてエリー達に一礼する。

「では、大統領をお連れしますので、少しお待ちください」

 クラリスはそう言って来賓室から出て行った。

 エリーは隣のレベッカを見て言う。

「デリカス大統領はやり手ではあるのですよね?」


 レベッカは直ぐに答える。

「はい、この難しいライオネルを巧みに誤魔化しながら仕切って来たのですから、まあ確かに手腕はあると思います。危機管理能力はある程度有していると判断しますが、ずば抜けた能力では無いと思います」

 エリーはそれを聞いて、アリア中尉を見て尋ねる。

「デリカス大統領をアリアさんは、どう思いました?」

 アリア中尉はエリーに一礼すると大統領の印象を語る。

「はい、私は、特にこれといった印象はありませんでした。貴族上がりで苦労はそれなりにしているようですが。私に感知魔法を使って来ましたが、私が魔法結界を張るとそれ以上感知しようとはせず。何事も無かったような顔をして私を見ていました。私が魔導士なのに誤魔化せるとでも思ったのでしょうか」


「そうですか、わかりました」

 エリーはコップに水差しから水を注ぎ、手に取ると、喉を鳴らしながら一気に飲み干した。


「まあ、デリカス大統領には頑張ってもらうしかないんだけどね。いまさら新しい指導者なんて混乱を招くだけだからね」


 エリーはアリア中尉を見て言う。

「アリアさん、しばらくライオネルに駐在武官として留まり、クラリスさんのフォローをお願いしますね」

 アリア中尉はソファーから立ち上がり一礼する。

「はっ! 承知致しました!」

 そうしてアリア中尉はエリー達のソファーの後ろ側に回った。

 そして来賓室のドアが短くノックされた。

「クラリスです! デリカス大統領をお連れ致しました!」


「はい、どうぞお入りください!」

 エリーはレベッカとともにソファーから立ちがる。ドアが開き細身の180cmくらいの白髪混じりの誠実そうな男性が入って来て深く頭を下げる。

「ローラ様、お初にお目に掛かります。ライオネル大統領ポトリ•デリカスと申します。今後とも宜しくお願い致します」


 エリーはデリカス大統領と視線を合わせて一礼する。

「ベランドル帝国皇帝直属魔導士ローラです。本日はご無理を申し訳ありませんでした」


 デリカス大統領は微笑み言う。

「いいえ、ローラ様こそお疲れではないのですか? お忙しい中おいでくださり恐縮しております」

 デリカス大統領がエリーの前で再び一礼して言う。

「ローラ様、まずはお座りください」

 エリーとレベッカがソファーに座ると、デリカス大統領もソファーに座った。

「デリカス閣下だけですか?」

 エリーがクラリスとデリカス大統領を見て言った。

「はい、そうですが。何か……、情報は漏れない方が良いかと」


「はい、了解致しました」

 エリーが答えるとレベッカが立ち上がり頭を下げて言う。

「レベッカ・グレパドスと申します。グラン連邦国外事局長付き秘書官をしております。今回の件を含め、今後についてグラン、ベランドル2カ国の支援条件のご説明を致します」


 レベッカからライオネルに対しての説明が始まりデリカス大統領とクラリスは真剣な面持ちで説明に聞き入る。デリカス大統領は説明を聞きながらローラのことを考えていた。

(この紫髪の少女とも見える女性がローラ様か……、雰囲気からはとても噂のような人物とは感じ取れない。むしろ隣りのレベッカとか言った女性の方が強者のように見える。英雄として仕立て上げられたのか? それともとんでもない力を隠蔽しているのか……、まあどちらにしてもローラ様の周囲には賢者や強者が集まっていることは間違いない)


 レベッカの一通りの説明が終わり、デリカス大統領がエリーを見て言う。

「ローラ様、我々の支援をしてくださることは理解致しました。ギューデン無き情勢では国内のパワーバランスは大きく崩れました。それを埋めてくださるとのことですね」


 エリーは髪をかきあげてデリカス大統領を見つめる。

「はい、もし反対勢力が出て来れば、早急に介入排除を約束致します。デリカス閣下は国内安定に尽力してくだされば結構です。政権もそれに見合ったものに早急に変更をお願い致します。我々の軍事力は多分ご理解してくださっていると思いますが。まずは国内の早期安定をお願いしますね」


 デリカス大統領はソファーから立ち上がり深く頭を下げる。

「はい、ご配慮に感謝致します」


 エリーはデリカス大統領を冷たい目で見つめて言う。

「期待しております、デリカス大統領。それとクラリスさんを大統領補佐官に任命してください。連絡担当としてアリア中尉を残していきますので、よろしくお願いします」


「はい、ローラ様、承知しました」

 デリカス大統領はエリーの顔を見て戸惑っていた。明らかに最初と比べて不機嫌になっていたからだ。エリーはレベッカを見て頷く。

(……オーリス銘菓のアースデン焼きくらい出ると思ったのに……、アリアさん伝えてなかったのかしら?)

 エリーは少し不満そうな顔をしてクラリスを見て一礼すると言う。

「それでは、私はドールに戻り、エラン陛下に報告致します」


「……はい、ローラ様、ありがとうございました。ご足労をお掛けして申し訳ありませんでした。甘い物に目がないとお伺いしておりましたので、菓子を準備しております。帰りでもご賞味くだされば幸いです」


 エリーは瞳を開いて口を緩めて言う。

「それは、アースデン焼きですか?」


「……はい、そうです。量も十分準備しております」

 クラリスはエリーの反応に少し驚いた顔をして答えた。デリカス大統領はエリーを見て安心したような顔をして一礼する。

「ローラ様、ご期待に応えられるよう尽力致します」


「はい、では失礼致します」

 エリーは微笑み丁寧に頭を下げると、レベッカと並んで歩き出す。アリア中尉が先に来賓室のドアを開けて頭を下げた。そしてエリーとレベッカは来賓室から出て行った。


 クラリスがデリカス大統領を見て一礼すると。

「それでは、ローラ様のお見送りをして参ります」

「……あゝ、クラリス嬢、よろしく頼みます」

 デリカス大統領は手を挙げてクラリスに頷き答えた。

 

 


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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