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第260話 6階層の制圧

エリーは6階層に突入した

 2国間和平交渉会議14日目午後。


 ここはライオネル連合共和国、魔都マラリス市マラリスタワー。

 エリー達はマラリスタワー地下5階層にいた。

「ユーリさん、行きます」

 エリーがユーリに言うと、ユーリは頷きエリーと並んで6階層への階段入口へと入った。すでにバリアン第3小隊がバリケードを構築して下層を警戒している。エリー達3人はバリケードを越えて6階層へと階段を下って行く。6階層入口階段フロアに到着するとそこには、金属製の頑丈そうなドアがあった。

 エリーは神眼スキルを発動、左の瞳が真っ赤な色に変わった。

(ドアの奥に全員で30人ほどですね。こちらが来ることは認識しているようです。強者は3人ほどですね)


 エリーは魔力量を上げると、体を薄紫色の光が体を包んだ。ユーリも魔力を体に通して白色の光に包まれている。エリーはユーリと顔を見合わせて、軍刀を鞘からゆっくり抜いた。

 そして、後ろにいるハンナも魔道剣を抜いて魔力を通し戦闘準備をする。


「ハンナさん、とりあえず後ろでお願いしますね」

 エリーは前を向いたまま、後ろのハンナに声を掛けた。

「……はい、承知致しました」

 ハンナは緊張した面持ちで答えた。エリーは軍刀に通す魔力量を上げる。軍刀が魔力により輝き光が迸り始めた。

「では、行きます」

 エリーはそう言うと、6階層階段フロアの大きな金属製のドアに軍刀を振り下ろす。

〈ズンーーッ、ドーーン、ボーーン〉閃光と共に大轟音が響き渡り金属製のドアが内側に吹き飛ばされ破壊された。


 破壊したドアからエリー達3人はすぐに内部へ入り込む。直ぐに激しい銃弾がエリー達に浴びせられた。エリーは前面広範囲に防御シールドを展開して、ギューデン私兵警護隊へと距離を詰めて行く。そしてエリーの後ろからユーリが一気に飛び出し前衛のギューデン警護隊兵を斬撃を連続で放ち薙ぎ倒して行く。10名ほどが戦闘不能となり、後衛の兵が前に出てさらに斉射を繰り返す。


 銃弾は〈ブス、バス〉と鈍い音を立てて、エリーの防御シールドに当たり潰れてボトボトと床に落ちていった。驚愕するギューデン警護隊兵士達に構わずユーリが、サイドから飛び込み、兵士達の前を横切りながら斬撃を放つ。そして兵士達は悲鳴とうめき声を上げながら次々と倒れて行く。ものの30秒ほどで20名が倒された。

 そしてギューデン警護隊兵士の後方から火炎弾が発射された。エリーが反応して前に出る。

(……ここで使う!? やってくれます

 ね!) エリーは魔力量を一気に上げて防御シールドを強化する。火炎弾は周辺に飛び散り壁や床を焦げつかせた。エリーは発射位置の方向を視感する。


(装甲強化スーツ! 火炎弾を使うなんて! ほんと……)


 エリーは魔力量をさらに上げて、体を覆う光の色が濃い紫色へと変化する。軍刀を両手で握り直すとユーリを見て声を上げる。

「あれをやります! ユーリさんは! ハンナさんを防御シールドで保護してください!」


 エリーは一気に30mの距離を詰めるそして目の前の装甲強化スーツ兵に斬撃を放った。激しい閃光と共に装甲強化スーツ兵は後ろに飛ばされた。

(……!? 対魔道防御シールドか?)

 エリーは斬撃で装甲強化スーツを破壊出来なかった。エリーは吹き飛ばした装甲強化スーツに直ぐに距離を詰め、さらにソウイチロウの軍刀に魔力を通して斬撃を放とうと振り上げた。そして側方から膨大な魔力量を感じ、セレーナからの警告が入る。

(備えろ! エリー!)

(……!?)

 素早くエリーは防御シールドに魔力を回して側方攻撃に備えた。次の瞬間、猛烈な勢いで斬撃が入って来る。

「な……!?」

 エリーは宙を舞、吹き飛ばされていた。そして壁に当たる瞬間に緩衝シールドを展開して衝撃を和らげる。壁に背をつけてエリーは膝をつく。

「……?」

 エリーが視感すると圧倒的魔力を放つ。魔道剣士が魔道剣を構えてエリーを見据えている。

(……ダグ•ギューデン?)

 エリーは神眼で視感して、強力な魔道武具により、強化増幅された膨大な魔力であることを把握した。


(これって命を削るタイプの魔道武具だね。どのくらい維持できる?)

 エリーは身体のダメージを確認して立ち上がる。エリーのダメージは防御シールドのおかげで無かった。


(ダグ•ギューデン、今の私でも倒せるには倒せるけど、長引いたらマナエナジー吸い尽くされて、自滅して死んじゃうね! なら時間は掛けれない!)


 エリーは深層のセレーナの領域に意識を沈める。そしてエリーの意識が一瞬薄れて、瞳が朱色から真っ赤な色に変わり目が若干吊り上がり、髪色が紫色から美しい銀髪に変わっていく。周辺にいたギューデンの数人者達が驚愕の表情でエリーを見つめている。

 そしてエリーが魔道武具に身を包んだダグ•ギューデンに声を上げる。

「我が名は、セレーナ•ブレッドリー! 今すぐ剣を引け! ならば命は取らぬ! 我の力! 見えているであろう!」


 ダグ•ギューデンはドス黒い魔力波動の光に包まれてエリーを見て口元を緩めて言う。

「セレーナとか言ったか!? 何を言っている! 確かにかなりの魔力波動だ! だが、私の力は全開ではない。勝負はこれからだ」


 エリーは軍刀を上段に構えて、魔道闘気を3段階一気に上げる。エリーを包む光は迸り大きく揺らぐ。そして周りの者達を圧倒した。

 ダグ・ギューデンの顔色が変わる。


「……!? なんだその魔力量は……人の領域を超えている……」

 あまりのプレッシャーにダグ•ギューデンがたじろぐ。


 エリーは圧倒的魔道闘気を纏い踏み出し言う。

「だから言ったであろう! 我はセレーナ•ブレッドリーだと。これでもかなり抑えているのだぞ。お前のレベルに合わせてやっている」


 エリーは直ぐに下段右斜に軍刀を構えると、瞬間移動したかのように瞬時にダグ•ギューデンの前に出て目にも止まらぬスピードで2連斬撃、3段突きを放った。そして次の瞬間にはダグ•ギューデンは、なす術もなく空中に飛ばされ、魔道剣と魔道武具は木っ端微塵に砕け散った。

 周辺にいたギューデンの兵達はエリーの魔道闘気にやられて意識朦朧として戦意喪失もしくは失禁して意識を失っていた。


 エリーは直ぐに倒れているダグ•ギューデンのそばにより、生体反応を確認して魔力を通す。


「……世話を! ギリギリでだった。エリーこれで良いな」

 エリーはゆっくりと床に両膝をつき、軍刀を鞘に収めた。そして、銀色の髪は紫色に変わり、瞳の色も朱色に変わった。ユーリが直ぐに駆け寄り、エリーの体を支える。

「ローラ様! 大丈夫ですか!」


 エリーはぐったりした様子でユーリにもたれ掛かり立ち上がる。

「……条件はクリアしたね。ユーリさんハンナさんは?」


「あの装甲強化スーツの方へ。どうやらもとの主人のようです」

 ユーリが言うとエリーは疲れた顔をして言う。

「上層階各隊へ連絡してください。任務完了と」

 ユーリはエリーに顔を寄せて言う。

「はい、通達致します。レベッカさんかソアラちゃんを至急呼びます」


 エリーが残念そうな顔をする。

「……そうだね。もっと楽勝だと思ったんだけど、ちょっと魔力を予想より使っちゃったね」


「エリー……ローラ様、あのような魔道武具を持っているとは予想外でした。私だけだったら危うかったと思います」

 ユーリが言うと、エリーは答える。

「そうだね。まあ時間が無かったから、強引にねじ伏せたけど、良かったよ」


 エリーは直ぐにハンナの方へ歩き出す。ユーリが慌ててエリーを支える。

「ローラ様、無理はダメです。この後予定が有ります。回復を優先してください」


「……ええ、そうだけど。ハンナさんフォローしとかないとね」

 エリーはハンナのそばによると肩に手を添える。

「ハンナさん、フランクさんでしたか? 意識を失っているだけです。命に別状はないですからね」

 ハンナが少し安心した顔をして頭を深く下げた。

「……ローラ様、ありがとうございました。感謝致します」


 そうしてエリーがハンナから離れると、ソアラが慌ててやって来た。

「ローラ様! ご苦労様でした」


 エリーはソアラを見て口元を緩めて言う。

「希望通りだよ。確保したからね」

 

 

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

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