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第259話 突入

エリー達は地下へ突入する

 2国間和平交渉会議14日目午後。


 ここはライオネル連合共和国、魔都マラリス市マラリスタワー。

 エリー達はマラリスタワー地下入口前にいた。突入準備を整えてエリーを先頭にユーリは乗機ラムザⅣユーリspecialを降り戦闘服に着替えてエリーの側に控えていた。

「ソアラちゃんとアンジェラさんはバリアス中隊残りと、この場で待機。リサさんは魔都全体の状況を把握指示を出してください」


 エリーがそう言うとハンナが前に出る。

「ローラ様、ご案内致します」

 ユーリが機嫌の悪い顔をして言う。

「新参者が、出しゃばるな!」

 ハンナは平気な顔をしてエリー越しにユーリに言う。

「ローラ様のご指示です。出しゃばった訳では御座いません。私は自分の立場をわきまえております。ユーリさまをないがしろにしたりすることは有りませんので、ご安心ください」


「……! いや、良い! ハンナでしたね。今日はよろしく」

 ユーリはいつもよりトーンの低い声でハンナに言った。


 地下施設突入部隊編成はエリー、ユーリ、ハンナ、そしてビルト小隊長率いる10名の精鋭隊員。すでに突入して枝通路を抑え戦闘中のソアラの操る遠隔ポッドと100名のバリアス中隊2、3小隊員。先行突入部隊には負傷者が10名ほど出ているが、死者は出ていない。順次レベッカの治癒スキルで癒している。


 エリーはタワーの東側にいる朱色のレンベルを見て念思スキル発動、ソアラに送る。

〈ローゼ! 逃げ道はちゃんと抑えてね。今から突入するから〉


《ええ、抑えていますよ。エリー、しっかりお願いね。カミュ様がダグは生け取りとの仰せよ。サンプルに欲しいそうだから》


〈はい、承知しました。出来るだけね。まあ、何かの実験体でもするつもりなのでしょう。一応血統者のようですから〉

 エリーはソアラからの念思を受け取り前を向いて声を上げる。

「それでは、行きましょう!」

 破壊されて瓦礫が散らばっているフロアを抜けて階段へ入る。

「エレベーターは使用不能です。階段は4階層までは抑えていますのでご安心を」

 ユーリが無線会話で伝達してきた。


「では、4階層まで一気に駆け降ります!」

 エリーがそう言うとユーリが前に出て走るように階段を降り始める。エリーとハンナがそれに続く。階段は幅3m高さ3mほどの広さがある。

 直ぐに4階層に到着する。前にはバリアス第2小隊員達がバリケードを構築してギューデン私兵警護隊と戦闘中であった。エリーがインカム越しに第2小隊員に呼び掛ける。

「どうですか? 突破出来そうですか?」


『はい、ローラ様! 敵の精鋭に止められて10分ほどここから動けません』


「そうですか。では私が出ます。制圧後は後方支援をお願いします」


『ローラ様! 了解致しました!』


 エリーは隣りのハンナに尋ねる。

「この兵は手練のようですが。どのような兵かわかりますか?」

 ハンナはエリーを見て答える。

「はい、フランク様の配下です。……私の部下達です」

 エリーは頷くと、腰のホルダーから電撃棒を取り出して伸ばした。

「ユーリさん! 電撃棒でお願いします!」

 ユーリは振り返りエリーを見て頷く。

「はい、承知致しました」

 エリーが右手をあげて合図するとバリアス第2小隊員達が後方へと後退した。そしてエリーとユーリは直ぐに全身に魔力を通して白色に輝き始め、2人の電撃棒は迸りながら光を放つ。


「ハンナさんは、ここで待機してください」

 エリーはそう言ってユーリと一気に4階層バリケードから飛び出し、ギューデン私兵警護隊へと襲い掛かった。ユーリが前に出て斬撃を繰り返して繰り出しバリケードを破壊する。エリーがすかさず飛び出し、ギューデン警護隊兵ののライフル斉射を防御シールドで受けながら、前の10人ほどを電撃棒で蹴散らした。ギューデン警護隊兵達は悲鳴やうめき声を上げながら壁や階段に叩きつけられる。5階層フロア側で構えていたギューデン警護隊兵達が慌てて前に出て短機関銃とライフルの乱射を始めた。

 エリーは直ぐに魔力量を上げて防御シールド展開領域を周囲に広げた。

「……! 自分達の味方がいるのに死んじゃいますよ」

 銃弾がエリーの展開した防御シールドに当たり潰れて表面で勢いを無くし、ボトボトrと階段フロア床に落ちていく。驚愕するギューデン警護隊兵達。それでも諦めずギューデン警護隊兵達は距離を取りつつ体制を立て直そうとするが、ユーリが前に出て斬撃を放つと簡単に前衛の5人ほどが吹き飛ばされた。後ろの5人ほどが慌ててユーリに斉射するが、エリーが物凄いスピードで飛び出し横に薙ぎ払うと、5人はフロアの壁に折り重なるように叩きつけられた。

 周辺にはギューデン警護隊兵達のうめき声が聞こえる。そしてさらに後方にいた3人ほどが剣を抜き構えエリー達を見据えている。

 そしてギューデン警護隊の指揮官らしき女性が声を上げる。

「あなた達は退がって、ここは私が」

「ベラリスさま! おひとりでは無理です!」

 後ろのひとりが剣を突き出し前の指揮官らしき女性に直ぐに叫んで横に並んだ。

 2人とも魔力を通して身体強化を図っている。エリー達に銃の攻撃では通用しない事を理解しての行動だ。

 エリーが電撃棒を構えて対峙していると、後方で控えていたハンナが、エリーの隣りに飛び出してきた。

「ベラリス! 投降しなさい! あなた達で太刀打ち出来るお方ではありません!」


 ギューデン警護隊指揮官らしき女性がハンナの声を聞いて明らかに動揺して声を漏らす。

「……!? ハンナさま……」


 ギューデン警護隊指揮官は一瞬戸惑った様子を見せたが、構わずエリー達の方へ魔道剣を振り上げ飛び出した。

 エリーはそれを見て一歩踏み出し電撃棒を振り下ろす。ギューデン警護隊指揮官らしき女性は、エリーの電撃棒を魔道剣で受けようと払いを入れたが魔道剣ごと体を持って行かれて飛ばされた。

 ハンナはその様子を呆然と見つめている。エリーは構わず、さらに前に出て後ろの2人に斬撃を放つ。ギューデン警護隊の2人はエリーの斬撃に対応出来ず、なすすべなく床に倒れ込む。そしてエリーは後ろのハンナに声を上げる。

「ハンナさん! 戦闘中に気を緩め無い! 仲間の命が大切なら躊躇してはいけません!」

 床に倒れた2人は痙攣して口から泡を吹いている。エリーはすかさず治癒スキルを発動してその2人に触れて治癒を行った。

「とりあえず、ハンナさん! 元のお仲間は全員生きていますよ」

 エリーはハンナに言うと、ユーリを見て頷く。


「はい、では5階層を潰して参ります!」

 ユーリは直ぐに後方に続くビルト小隊長と10名の精鋭隊員を引き連れて、5階層の各部屋の潜んでいるギューデンの者達を引き摺り出して行く。そして5分ほどで5階層の制圧が完了した。

 エリーは感知スキルで生体魔道反応を確認してユーリに言う。

「ユーリさん! 5階層は完了です」

 ユーリは直ぐにエリーのそばにより一礼して言う。

「ここから下の層は強者の反応があります。ハンナを連れて行くには危険だと思いますが」


 エリーはユーリの顔を見て微笑み言う。

「大丈夫です。ハンナさんは必要です。それに、いざとなれば私が出ますからね」


 エリーはすでに下の層にいるのはフランクとダグ•ギューデンであることは認識していた。

(……魔道反応はまずまず、何か魔道道具で魔力を高めているようですね。殺さずに制圧するとなると……どうしますかね?)


 エリーはビルト小隊長に指示を出す。

「下へは私とユーリさん、ハンナさんの3人で行きます。5階層の捕獲人員を上へ搬送してください。万が一不測の事態が発生した場合は速やかに退避をお願いしますね」

 ビルト小隊長は一礼する。

「はい、了解です!」

 ビルト小隊長は無線で上層部のバリアス中隊へ応援を求めた。エリーはハンナのそばによると肩に手を添えて言う。

「それじゃあ、行きますよ」

 ハンナはエリーを見て頷く。

「はい、ローラ様……」

 エリーは電撃棒をホルダーに収納するとユーリを見て言う。


「ユーリさん、行きます」

 ユーリは頷きエリーと並んで6階層への階段入口へと入った。バリアン第3小隊がバリケードを構築して下層を警戒している。エリー達3人ははバリケードを越えて6階層へと階段を下って行く

 

  


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


これからも、どうぞよろしくお願いします。

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