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第257話 ハンナとドリー

エリーは装甲強化スーツ隊を撃退する

 2国間和平交渉会議14日目昼。


 ここはライオネル連合共和国、魔都マラリス市街地。


 エリー達第一魔都攻撃部隊は、マラリスタワー前にいた。

 たった今、ユーリ乗機、ラムザⅣユーリspecialから貫通徹甲弾が発射され、地下入口ゲートを粉砕、爆炎と破片が周辺に飛散、そしてそれと同時にギューデン装甲強化スーツ隊が飛び出して来る。


 エリーはすでに部隊共通システム認識ロックしている、ギューデン装甲強化スーツ隊の動きを瞬時に確認してして防御シールドを展開した。エリーのレンベルTYPEⅡと入口ゲートから200mほどの距離があったがギューデン装甲強化スーツ隊は瓦礫の間を抜けて左右に広がり物凄いスピードで接近して来る。

「……思ったよりスペックは高いようですが、許容範囲内ですね。エンペラー2! 迎撃よろしく!」

 エリーは声を上げるとレンベルTYPEⅡをソアラ乗機レンベルの位置まで瞬時に後退させた。

 飛び出したギューデン装甲強化スーツ隊は12体。それぞれ個々に回避運動をしながらレンベルTYPEⅡへ距離を詰めようとする。

 装甲強化スーツ兵達は間でライフル弾を発射して威嚇牽制する。一般歩兵ライフルよりは遥かに威力はあるだろうがレンベルTYPEⅡの展開した防御シールドを貫通する事は出来ず、防御シールド表面で爆散するのみであった。

 装甲強化スーツ兵達はよく連携されており、熟練度はかなり高いのは直ぐに理解出来た。


 エリーはヘルメット内で口元を緩めて呟く。

「残念ですね。よく訓練された良い動きです。並の重装機兵なら翻弄されて撃破されるでしょうね。ですが、こちらは対策を講じています。可哀想ですが……」


 そしてギューデン装甲強化スーツ兵達がレンベルTYPEⅡの手前50mほどで左右に回り込もうした時、異変が起こった。装甲強化スーツ兵の後ろに直径50cmほど球体が突如出現、急接近してエネルギー体のようなものを一斉に発射した。一瞬レンベルTYPEⅡの周りにビームのような白色の光が無数に交差すと、ギューデン装甲強化スーツ兵達が地上へ次々と叩きつけられていく。装甲強化スーツ兵は防御シールドを展開して貫通を免れたもののかなりのダメージを負っていた。一瞬にして装甲強化スーツ兵12体のうち7体が撃破されていた。動いている装甲強化スーツ兵も白色の球体の追撃を受け逃げ回っている。


 エリーは直ぐソアラに指示を出す。

「エンペラー2! こちらは大丈夫です! 前に出て入口からポッドを入れてください! バリウス中隊は続いて地下へ突入願います!」


『エンペラー2! 了解! これよりポッド遠隔モードで突入させます! エンペラー3、4! 援護願います!』

 ソアラが無線に応答すると続けてユーリ、アンジェラが応答する。

『エンペラー3! 了解!』

『エンペラー4! 了解!』


 エリーはギューデン装甲強化スーツ兵を残り5体の動きを魔導遠隔ポッドを自動モードから遠隔に切り替え動きを牽制して抑え込む。

(……指揮官らしき3体は動きが良い! でも魔導シールドを上手く使って攻撃をいなしているけど、エネルギーが切れたら終わりですね)

 エリーは思いながらレンベルTYPEⅡをホバーリングさせて反転させた。

「こちらは10個のポッド、3機を仕留めるのも時間の問題と思ったけど、2体は粘る……逃したら厄介だし拡散弾を使いますか」

 エリーは直ぐに兵装システムを選択ライフルの照準を有効にした。

《警告! 兵装システムライフル選択! ポッドコントロールと複合制御しました!》

 コックピットスピーカーからアナウンスが流れた。エリーは100mほどの距離をシールドを展開しながら逃げ回っている1体に照準を合わせて魔導ライフルを単射した。 〈ずんーーっ! ぼーーっ!〉発射音と同時に爆発音がした。


 ギューデン装甲強化スーツ兵1体が弾かれて瓦礫の山へ突っ込んで動かなくなった。頭部に赤い一本ラインが表示の機体だった。

「……! 何!?」

 エリーはモニターを確認して驚いた顔をする。頭部に2本赤いライン表示の装甲強化スーツ兵が弾かれ倒れた装甲強化スーツ兵のそばでスーツを開放して、中から黒い戦闘服の兵士が出て来て両手を上げて何かを叫んでいる。

 エリーは直ぐにポッド戦闘モードを解除して神眼スキルを発動その兵士をを視感する。

(……若干の敵意……恐怖心、悲しみ。何か嘆願しているようですが?)

 エリーは集音マイクを作動させて声を聞き取る。

「リサさん、周囲の警戒をお願い」

 サブシートのリサがインカム越しに答える。

「はい、了解致しました」


 エリーはレンベルTYPEⅡを声を上げる兵士に近づける。外部スピーカーをオンにして言う。

「何か要望があるのなら聞きましょう!」

 兵士はヘルメットを脱ぎ捨て青いロングヘアが広がる。

『ローラさまと! お見受けいたします! どうか! このものの命お助けください!』


 (……命乞い? 大切なものなのか?)

 エリーは神眼で視感して倒れている装甲強化スーツの中の兵士を確認する。

(……生体反応は有る。意識は無いけど死んではいない。まあ話しをしてみるか)

 エリーはセーフティロックを解除してコックピットシールド開放ボタンを押す。コックピット内に警報が鳴り響き、ゆっくりとコックピットシールドが開放されていく。

 リサが驚きヘルメットバイザーを外して声を上げる。

「……ローラ様! 何をなさるのですか!?」


「ちょっと話しをね。リサさん、レンベルをお願い」


「ローラ様! 危険です! ここは敵の本拠地です!」

 リサが動揺した様子で苦言を呈した。エリーはヘルメットを外して微笑み言う。

「少し面白そうだから、大丈夫です」

 エリーはそう言ってコックピット下部のケースから軍刀を取り出し腰に装着する。

「ローラ様、油断されぬよう……」

 リサは渋い顔をして了承した。エリーがパイロットシートから這い出すとリサがサブシートからパイロットシートへと移る。エリーはレンベルの右手に移ると右手でリサに合図する。そしてレンベルTYPEⅡが屈んで脚を折り曲げて、右腕を地面まで下げると、エリーがジャンプして地面に着地した。

 エリーは瞬時に魔力量を上げて体に通すと、エリーの体は白色に輝く。そして青いロングヘアの女性兵士へと近づいて行く。

 青いロングヘアの女性兵士は身に着けていた武器類を手前の地面に投げ捨てて、両手を上げエリーのほうを強張った顔で見ていた。


 エリーは10m手前で立ち止まり声を上げる。

「ベランドル帝国、魔道士ローラです! 要望は何でしょう!」


 青いロングヘアの女性兵士は両手を下げて頭を下げる。

「このものの命をお助け願いたいのです。私は如何様でも構いません! どうかお願い致します!」


 エリーはさらに距離を詰めて5mほど前で止まり、青いロングヘアの女性兵士を見つめる。

「あなたは傭兵では有りませんね。ギューデンの幹部クラスでしょう? 投降など許されないでしょう」


 青いロングヘアの女性兵士はエリーを強張った顔で見つめて訴えるように言う。

「私はフランク様配下、ハンナ•アバルトと申します。ここで倒れているのはドリー・カーン私の妹分です……この子をどうしてもここで死なせる訳にはいかないのです! どうかお願いします!」


 エリーは青いロングヘアの女性兵士ハンナを冷たく見つめて言う。

「勝手な量分ですね。あなた達ギューデンは犯罪組織ですよね。薬物から人身売買、誘拐、暗殺、殺人、恐喝、色々やって来て、自分達の命は惜しいのですか? それはおかしいですよね」

 青いロングヘアの女性兵士ハンナは再度、頭を深く下げて言う。

「……はい、その事は承知しております。私の命はどうでも良いのです。どうかドリーだけ助けてくださいとお願いしているのです。助けてくださるのなら私はなんでも致します」


 エリーは青いロングヘアの女性兵士ハンナを見て呆れたように言う。

「それだけ大事らもっと早くにここから離れていれば良かったのにね」


 青いロングヘアの女性兵士ハンナは目を見開いてエリーに嘆願する。

「……ローラ様なら受け入れてくださるような気がしたのです! ドリーに約束したのです。幸せにしてあげると、私はまだ何も叶えていないのです! ここで死なれてはダメなのです」


 エリーはゆっくり青いロングヘアの女性兵士ハンナに近づき瞳を見て言う。

「戦争を望んだのはあなたじゃ無いしね。まあ、良い、助けてあげるよ。あなたが私のしもべになるのならそのドリーさん助けてあげますよ。それで良いかな」

 女性兵士ハンナは跪き頭を深く下げて言う。

「はい、仰せのままに致します」


 エリーは頷くとハンナを見て言う。

「そこをどいてくれるかな。ドリーさんに喰い込んだフレームを除去するから」

 ハンナは驚きエリーの後ろに退がる。

(これが帝国魔道士ローラさま……、私でもわかるほどの圧倒的魔力量……、そして私の話しを聞いてくださった。慈悲深いお方……)

 エリーは魔力量を上げて体が薄紫色に輝き軍刀を鞘から抜き放つ。そして神眼を発動して両眼が真っ赤な瞳になると軍刀を装甲強化スーツに振り下ろした。ドリーの周りを覆っていた装甲フレームが砕け散りドリーが姿を現す。

 エリーはすかさず軍刀を鞘に収納すると、ドリーに近づき抱き起こすと、治癒スキルを発動、骨折箇所と裂傷出血箇所を癒していく。後ろでその様子を見ていたハンナは驚愕の様子で見つめていた。

(……患部が瞬時に癒えていく! 特級魔道士なんてものじゃない!? 神格級、いや、女神そのもの……私はとんでもないお方に……)

 エリーはドリーの治癒を終えると地面にドリーを寝かせて立ち上がり言う。


「約束は果たしました。ハンナさん! 私と従属の契約を結びなさい」


 ハンナはエリーの前に跪き言う。

「はい、ローラ様!」

 エリーはハンナの頭に右手を添える。そしてエリーの全身が濃い紫色の光に包まれると

 紫色の髪色が銀髪に変色して輝き、瞳が若干開いて吊り上がり瞳の赤みが増した。

「ハンナ•アバルト! 執行の女神セレーナ•ブレッドリーが女神の紋章を刻み我がしもべとなれ」

 そして光がエリーからハンナを包み込み、しばらくしてハンナが虚な目つきで前にゆっくり倒れてこんだ。エリーは銀髪から紫色の髪色に戻り、瞳は朱色に戻りいつもの優しい顔に戻った。

「……女神の紋章はできました。ハンナさんは思った以上に実力はあるようですね。それでは働いてもらいますか」

 エリーは直ぐにレンベルTYPEⅡの方を向いて声を上げる。

「リサさん! お願いしまます。こちらのハンナさんを回復させてもらえますか」

 

 

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


これからも、どうぞよろしくお願いします。

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