北部戦線25 作戦準備5
エリー達は敵地バレットに
ここは、北方戦線、エリー機動大隊現地配備、7日目深夜。
エリー大隊は、帝国特殊部隊の襲撃を受けてから72時間ほど経過している、
エリー達は帝国バレット市に身分を偽装侵入していた。
ここは帝国バレット市中心街のホテルの宿泊室内。
エリーとユーリはソファーに座っていた。
「今日は大変でしたね」
ユーリがエリーを見つめて言った。
「ええ・・・・・・、かなり神経を使いました」エリーがため息を吐き言った。
「まさかやり合った帝国のパイロットと会うなんて思いませんよ」
エリーは疲れた表情をする。
「エリー様はもっと割り切れる方だと思っていましたが? 違いましたか」
ユーリがエリーの顔を見て微笑み言った。
「うん! そうだね・・・・・・、でもレンベルに乗るとたぶん変わるんだよね? ビルさんでもためらいなくやれると思う」
「明日は市街地を回る予定ですが。ミリアさんが案内してくださると申されていましたが、どのようにされますか?」
ユーリがエリーに聞いて顔を見る。
「しょうがないよね、なんでこうなっちゃうのかな? 予定通り一緒に行こう」
エリーがフッと息を吐いて目を閉じる。
「もう寝よう、明日も疲れそうだしね」
ユーリがエリーを見て頷き言う。
「そうですね、寝ましょう、私は周囲の警戒をしておきます。おやすみなさいませ」
アンジェラはすでに奥のベットで寝息を立てながら熟睡している。エリーはそれを見て微笑んで思った。
(アンジェラさんなんか凄いよ! どこにいても変わらない・・・・・・)
エリーは隣りのベットに潜り込んで、しばらくして意識が無くなり眠りについた。
◆◇
そして6時間ほど経過してエリーが、目を覚ますとカーテンが開けられ部屋には、日差しが差し込んでいる。隣のベットを見るとアンジェラの姿はない。
「エリーさん! おはよう!」
アンジェラの嬉しそうな声が顔の横から聞こえる。エリーが横を向くとアンジェラ顔が直ぐそこに、エリーが少し驚いたように言う。
「近いですよ! それにローラで呼ばないとダメですよ!」
「あゝ、そうですね! ローラさんおはようございます!」アンジェラが微笑んで言った。
エリーはゆっくり起き上がり、ユーリを探すが気配がない。
「ユーリ・・・・・・、マリアさんはどこですか?」アンジェラに尋ねるが首を横に振って言う。
「私が目覚めた時にはいませんでしたよ」
「そうですか? どこに行ったのでしょうね」
エリーはアンジェラを見て言う。
「もうそろそろ帰って来ると思います。私はとりあえずシャワーを浴びて、スッキリしますね」
そう言ってエリーはシャワールームへ入った。しばらくして洗面室からアンジェラの声がする。
「ユーリさん帰って来ました!」
「はい! 了解です!」
エリーは答えると髪にタオルを巻き、バスタオルを体に着けてシャワールームから出る。
「おはようございます!」
ユーリがエリーを見て微笑む。
「何処にいたのですか?」
エリーがユーリの顔を見て不満そうに言った。
「はい、今日の手配準備です」
「夜通しですか?」
「いいえ、三時間ほどは寝ていますのでご安心ください」
「ユーリさん、いえマリアさんご苦労様です」エリーは心配そうにユーリの顔を見て言った。(疲れはないようですね?)
ユーリがエリーの顔に近づき呟く。
「帝国側に情報は伝わったようです。信じるか信じないかは知りませんが・・・・・・」
「そうですね。欺瞞情報と思い無視するかそれとも・・・・・・」エリーは下を向きハット息を吐く。
後ろで二人の様子を見ていたアンジェラが寂しそうに言う。「またコソコソ・・・・・・、なんなんですか? 私は」
エリーがちょっと意地悪顔をして言う。
「戯れあっているだけだから気にしないでください」
ユーリがため息を吐いてアンジェラを見て言う。
「冗談を真に受けないで下さい! 着替えて準備して下さい!」
「そうですね。準備して朝食を摂らないといけませんね」アンジェラが少し寂しそうに言った。
そして一時間ほどして三人の準備が完了する。今日はユーリが黒いロング丈のワンピース、アンジェラが薄紫のロングスカート上に白いカットソーとデニムジャケット、エリーは薄水色のワンピースをチョイスした。三人は軽く朝食を済ませてミリア中尉を待っている。
ホテルのロビーに女性士官が入って来る。
「おはようございます! お待たせ致しました! こちらへどうぞ」ミリア中尉が頭を下げて言った。
ミリア中尉は、昨日はほとんどメークをしてい無いよう見えたが、今日はバッチリメークをしている。
エリーがミリア中尉を見て微笑んで言う。「お手数お掛けします。今日はお仕事、大丈夫なのですか?」
「大丈夫です。私は第三軍所属では無いので自由が有りますので」
そして一台の軍用自走車両に案内される。
車両には部隊記号と小さい部隊旗が表示されている。〈中央軍参謀部〉と表示されドアには参謀部マークが付いている。
「五人乗りです! 運転手は流石に付けれないので私が運転します」
ミリアが運転席に乗り込む。そして三人は後部席に並んで乗り込んだ。
「それでは出します。運転はあまり上手くありませんのでご容赦ください!」
ミリアがバックミラーを見ながら言う。
「昨日はビルがご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」
「彼も選ばれてこの部隊に自信満々で来たのですが、配属早々にあのようなことになって落ち込んでいたのです。申し訳ありません」
エリーはバックミラー越しに微笑み言う。
「ビルさんは良い方だと思います。昨日の件はお気になさらず、もう終わったことですから」
ホテルから五分ほどで第五大学医療研究所に着いた。
「着きました。ここでよろしいでしょうか?」ミリアが振り返り言った。
「はい、ありがとうございます」
ユーリがミリアを見て軽く頭を下げて言った。ミリアが助手席から小型無線電話機を持って言う。
「これを使って下さい! 私の無線機のみ繋がるように設定していますので、安心して使ってください」
「予定は二時間ほどでしたよね」
エリーは無線電話機を手に取って以外に軽くて少し驚く。三人は軍用車両からおりてミリアに手を振る。
「軍団司令本部は、ここから1キロほどですので、連絡をもらえれば直ぐ来れますので」
そう言うとミリアは軍用車両を発車させ去って行った。
「セーラーさん無線機をバックの中入れて守衛さんに預けてもらえますか」ユーリがアンジェラの耳元で呟く。
「はい、用心のためですね」
ユーリが更に小声で言う。
「盗聴機ではないと思いますが? 念のため。ここは敵地ですから油断は禁物です」
エリー達は大学研究所守衛室で荷物を預けて、シド クラーク教授を呼び出してもらう。しばらくして40代後半くらいの白衣を着た細身の男性がやって来る。
「やあ! 久しぶり振りだね。マリアさん」
「シド博士もお変わりないようで、お子さんは元気ですか?」
「あゝ、相変わらずだよ」
「そうですか、それは良かったです」
ユーリがエリーとアンジェラを見て微笑んで言う。
「問題は無いようです」
ユーリがシド博士に近寄り小声で何か喋ったあとに、エリー達について来るように目で合図する。
シド博士に付いて三人は研究所内を移動する。そして3階のシド博士の個室に入る。
シド博士がドアの施錠を確認して言う。
「ユーリさん、この部屋は安全です」
ユーリは頷き、シド博士を見て言う。
「シドさんも明日中には移動して下さい。連邦国の秘匿兵器がここで使用されます」
シド博士はユーリとアンジェラを見て深く頭を下げる。
「エリーお嬢様、私のことを覚えていらっしゃいますか?」
エリーが少し困った顔をしてシド博士を見る。
「申し訳ありません。記憶にございませんが」
「そうでしょうね。エリーお嬢様が2才くらいの時ですから」
シド博士が笑って言った。
アンジェラが不思議そうにシド博士を見ている。シド博士が視線に気付き微笑んで言う。
「アンジェラさん、お初にお目に掛かります。シドクラークと申します」そして軽く頭を下げる。シド博士は視線をユーリに移して言う。
「特殊部隊の件ですが、ここで言っても良いですか?」
ユーリはエリーとアンジェラを見て言う。「はい、問題ありません、お願いします」
シド博士はユーリから視線を外し窓の方向を見る。
「大隊襲撃に送り込まれた部隊は帝国軍では無く中央情報局の諜報工作隊でした。精鋭一個小隊、そして、戻って来たのは十二人とのことで、ダメージはかなりのようで、しばらく立て直しに掛かるようです」
「諜報部隊を撃退した連邦国女性士官についての情報ですが、帝国諜報機関の上への報告書によれば、国家超特級レベルの魔導剣士であり通常の武装では対処不可能との事でした。そして対魔法戦部隊の急設が求められていました」
ユーリはシド博士を見て言う。
「こちらも連邦国で探りを入れましたが、女性士官の情報は出て来ませんでした。国軍関係者ではないようです。私もこれ以上は危険と判断して調査を打ち切りました」
エリーは二人の話を微笑みながら聞いている。(あゝ、その女性士官、目の前にいるけどね。シドさんてブラウン商会の組織のメンバーなのかな? 帝国のかなり深くまでの情報を把握しているけど・・・・・・)
最後まで読んでいただきありがとうございました!




