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第252話 アルデの森の戦闘

エリーはギューデンの魔導士と戦闘する

 2国間和平交渉会議14日目早朝。


 ここは魔都マラリスより東へ20キロほど離れた森に囲まれた農村地域。

 エリー達の搭乗したランカーⅡ5号機は空き地に着陸していた。

 今、着陸地点付近にいた未確認魔導士4人を捕捉したエリーとユーリは、とりあえず脅威排除のため動いてる。周囲は月明かりで薄暗く、木々の間に潜んでいる4人を肉眼で認識することは困難だ。


 木々の間で潜んでいる4人のひとり黒髪の青年バッツは拳銃をホルダーから取り出し、セーフティロックを解除する。拳銃のトリガーに指を軽く軽くかけて近付いてくる紫色の白い軍服を着た少女を観察する。

(こちらに気づいている? いや、気付かれることは無いはず……、こちらは隠蔽スキルで気配を消している。だったら用を足すつもりかな?)


 サンゴ色ショートヘアのファリスが歩兵ライフル銃を構えて暗視スコープ越しに近づいて来る少女を確認する。距離はまだ200mほどある。

「……!? えーーっ! こちらを見た?」

 サンゴ色ショートヘアのファリスが歩兵ライフル銃を下げて戸惑った顔をしてグリーンポニーテールのラナに呟く。

「……どうなの? なんかヤバそうな感じなんだけど……」


 グリーンポニーテールのラナは動揺した顔をして言う。

「……囲まれてる! 後方に凄い魔力量を放っている奴がいる! ハンパない……ヴェラ様に匹敵するぐらいの奴がうしろからくる」

 ラナが震える手で魔導ショートソードを鞘から抜き地面に伏せる。1番後ろ側にいた茶髪短髪のイーサンが拳銃を構えて後ろを警戒する。

「……あゝ、ヤバいなぁ……これは早く逃げた方がよかったみたいだ。ワザと殺気を放って俺たちを威嚇してやがる。しかも余裕があるみたいな感じだ」


 黒髪の青年バッツが3人に言う。

「じゃあ前に出て突破するしかない見たいだな」


 ラナが顔を強張らせ声を上げる。

「……も、もう遅い前の方がヤバイ!」

 前方の空き地を見ると、紫色髪の少女の体が薄紫色の光に包まれ、物凄いスピードでこちらへ向かって来ている。走るというよりも飛んでいる様な異様な速度だ。

「あゝあゝえーーっ! 人間の移動速度じゃない! とりあえず打て! 打つんだ!」

 黒髪の青年バッツが声を上げると、全員が拳銃と歩兵ライフルを一斉に乱射し始める。

〈パン、パン、パン、ドッドーードッドーーッ、パン、パン、ドーードッ〉

 サンゴ色ショートヘアのファリスはスコープで的確な射撃をし手応えはあった。しかし命中しているのに紫色髪の少女の突進スピードは落ちない。

「……おかし!? 何かがおかしい……」


 茶髪のイーサンが飛び出し、サブマシンガンを紫色の髪の少女に乱射し始める。距離は30mほどに迫っていた。そして次の瞬間、茶髪のイーサンは空中を舞、側方に吹き飛ばされて行った。それを目で追うサンゴ色ショートヘアのファリス。

「……!? なんで……」

 そして目の前に、紫色髪の少女の微笑む顔が見えたと思った瞬間、全身の激しい痛みと共に意識を失う。サンゴ色ショートヘアのファリスは電撃棒の一撃をくらいアーマード戦闘スーツの胴プロテクターが砕け散り、そして後方の木に飛ばされ崩れ落ちる。


 黒髪のバッツは拳銃を連続発砲して後ろからやって来た女性魔導剣士に対応していた。

(……なんて速さだ。この距離で当てられ無い!  それにシールド魔法を的確に展開して余裕な表情……なんなんだ! クソ!)

 そしてその美人剣士は余裕の笑みを浮かべながら銃弾を魔法障壁で的確に弾き飛ばしながらバッツに距離を詰めてくる。そして目の前に光の帯が見えた瞬間黒髪の青年バッツは悲鳴を上げてその場に崩れ落ちた。


 グリーンポニーテールのラナは魔力量を上げて3人がやり合っている間に太い木の幹の影に体を寄せて、魔導ショートソードへ魔力を通し戦闘体勢を取ろうとしていた。


 紫色髪の少女がグリーンポニーテールのラナの前に立ち声を上げる。

「どうしたのです! あなた達、魔導士ですよね! 魔法をまだほとんど使って無いですよね!」


 ラナは魔導ショートソードを両手で握り締めて圧倒的な魔力波動を放つ紫色髪の少女を見据え、震える声で言う。

「……あ、あなた……は何者!」


 紫色髪の少女はラナを微笑み見つめて言う。

「私は、ベランドル帝国、魔導士ローラです。あなたこの中で1番見込みがあります。魂も汚れていないしね。まあ、残念ながら、今は、敵ですものね。あなたの全力で掛かって来てください」


 ラナは動揺し血色の失せた顔で紫色髪の少女を見つめて言う。

「……あなたが……大魔導士ローラ……」

 ラナは悟ったヴェラが大陸有数の魔導士だとしてもこの目の前にいる、底知れぬ力を持つ魔導士ローラには到底及ばなことを。そしてラナは恐怖心を一掃するため、ヴェラから教わった身体強化スキルを発動し全魔力を魔導ショートソードへ流し込む。

 ラナの魔導ショートソードが白色の光で迸り始めると同時に紫色髪の少女へ飛び込んだ。

 そしてラナは次の瞬間全身の激しい痺れる痛みと共に体が中を舞っていた。そして地面に叩きつけられ意識を失う。

 (……あゝ、死んじゃった……ごめんみんな)


 ◆◇◆


  アルデの森の空き地。ギューデンの魔導士4人が林の隅で倒れている。


 ギューデンの魔導士4人との戦闘が終わりエリーは電撃棒を収縮収納すると、寄って来たユーリを見て言う。

「全員生きていますよね。とりあえずジョルノの治療施設へ送ってください。ここが片付いたら処置を決定しますから。ユーリさんお願いします」


 ユーリがエリーを見て少し戸惑った顔をする。

「はい、了解致しました。しかし、全員ですか?」


「はい、全員です。お願いします」

 エリーはそう言って、離れた場所にいたソアラのほうへ歩き出した。ソアラがエリーに駆け寄り見上げて言う。

「ローラ様、さすがにあのレベルでは敵ではありませんね」


「ソアラちゃんありがとう。魔力波動を上げると感知されると困るからね。魔力結界を張ってもらったんだよ」

 エリーは嬉しいそうに言った。


「で、どうするつもりですか?」

 ソアラが直ぐに尋ねた。


「まあ、色々ね。あとで教えてあげるよ」

 エリーはそう言って順次到着するランカーⅡのほうへと移動して行く。





最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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