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第247話 魔都攻略戦について

エリーはレベッカと魔都について話す

 2国間和平交渉会議13日目夜。


 ここはジョルノ共和国とライオネル連合共和国国境線付近、連合軍設営陣地。


 エリーは陣地本部テント内で端の椅子に座り3人で話していた。

「そうですか、了解しました。サディさんは今後のためにグランの本部へ戻ってもらうとのことですね」

 エリーが頷きユーリに答えた。そうして紅茶カップをテーブルに置いてレベッカを見て言う。

「今回の暗殺者の幹部がサディさんと因縁があったのですね。それであんなに強引に参加を申し出たのですか。理解しました。ですが、トッドさんの報告を聞く限り引きずりそうですね……。もう少し配慮すべきでしたか?」


 テーブルの向かいに座るレベッカが言う。

「いえ、完全に心が取り込まれ、もっとも組織内で残虐行為を行なった人物です。配慮は不可能と思います。我々アンドレアの諜報も多く犠牲になっております。言葉にするのも憚られるような拷問も平気で行うような輩でした。たとえ、ローラ様が魂浄化洗礼しようとも周りの者達が許しません。私としてはサディさんは、今、悲しい気持ちと安堵している気持ちの両方だと思います」


「……うん。まあね……少し残念だけど」

 エリーは少し悲しいそうな顔をする。ユーリはエリーの顔を見て微笑み言う。


「では、クッキー食べますか? お持ちしていますよべマンのクッキー!」


「……! ありがとう! ユーリさん」

 エリーは嬉しそうにユーリから箱を受取りテーブルに置いた。


 ユーリは髪をかきあげてレベッカを見て尋ねる。

「諜報の撤収は完了しているのですか?」


 レベッカは顔を横に振って答える。

「いいえ、まだです。最終勧告は攻撃開始の2時間前を予定しています」

 ユーリは紅茶を準備してエリーにカップを差し出した。そしてユーリはエリーに報告した。


「エラン皇帝護衛隊、ブラウン特殊戦術部隊、アンドレア魔道部隊、グラン連邦国軍ミサイル戦術師団、グラン連邦国戦略航空群、各隊すでにに準備を終えてスタンバイしています。あとは定刻作戦開始を待つだけです」

 ユーリが言うとエリーは嬉しそうに紅茶を口に運んだ。

「それで、ソアラちゃんがもう直ぐ、リサさんを連れて合流します。これで今回のメンバーは全員揃いますね」


 ユーリがエリーを見て言う。

「リサさん、無事に終わったんですね。良かったです」


「ええ、たぶん問題はないと思いますけど」

 エリーはそう言ってクッキーを手に取った。


「まずは遠距離ミサイル攻撃で魔都防衛システムを破壊無効化、そして航空隊による局所攻撃でさらなる防衛抵抗部隊を無力化する。ですね。そして最後に我々が魔都に突入制圧で完了予定ですが……上手くいきますかね。魔都の代表ダグ•ギューデンには攻撃1時間前にに事前勧告は行いますが、降伏はしないでしょうね」


 それを聞いてレベッカが言う。

「過去の戦争でこのような戦術兵器が使用された事はありませんし、実例もありません。たぶん魔都の住民は絶望する事でしょう」


 ユーリは呆れたように言う。

「ローラ様に宣戦布告したのです。それは当然の結果です。暗殺者をエラン陛下、ローラ様に差し向けるなど許される事ではない。それに長年に渡り犯罪行為を繰り返し大陸の治安を乱して来た報いです」


 エリーはクッキーをかじりながら言う。

「でもね、受け皿も少しは必要なのも事実なんだよね。社会には光と影があるからね。まあ、大きくなりすぎたギューデンは叩くけどね」


 ユーリが頷きエリーを見てクッキーの箱の蓋を閉める。

「必要悪ですね。ある程度凶暴化を防ぐためにまとめ統制する闇組織は必要です。それは確かですが、私はあまり」


 エリーはクッキーを片付けられて少し機嫌の悪い顔をしてユーリを見て言う。

「ベルニスのウィンさんに依頼しています。悪の秘密結社を組織する準備をね。まあね私も犯罪とか無くなれば良いけど、それは理想に過ぎないことだからね。闇社会を監視制御する組織は必要だよ。多少は目をつぶらなければならいこともあるけど……多くの人が集まればね」

 エリーは少し疲れた顔をしてレベッカを見て頷く。


「はい、了解しました。オーリスへの移動準備は出来ています。ソアラさん、リサさんが到着次第移動します」


 エリーは時計を見て言う。

「あと20分で2号機が到着します。そのまま直ぐに出発します。ユーリさんも準備をお願いします」


 ユーリは椅子から立ち上がり一礼するとテントから直ぐに出て行った。エリーはレベッカを見て言う。

「魔都の地下施設の情報はどうですか?」


「……はい、申し訳ありません。追加情報はありません」

 レベッカは視線を下げて言うと、エリーは残念そうな顔をしてレベッカを見つめる。


「……そうですか。まあ、簡単ではないですね。でも正直、地下施設と地下道路の情報は詳細を把握しておきたかったです。逃げられる恐れがありますからね」


「申し訳ありません。タワーの下に巨大地下シェルターがある事はわかっていますが、部分的にしか……強度的にはミサイルでの破壊は困難のようです。それと魔都各所の地下施設が通路で繋がっている事は間違いなく」

 レベッカは申し訳なさそうに言った。


「ミサイル第一撃は熱波弾頭、第二撃は拡散弾頭各50弾頭でしたね。これでの死傷率はどのくらいですか?」

 エリーはレベッカに尋ねた。


「はい、魔都の住人8割と見ています。ほぼ戦闘能力を奪います」

 レベッカは冷たい顔をして直ぐに答えた。


「はい、了解しました……。本来なら時間をかけて交渉して最小限にしたいところですが。相手が相手ですからね。でも驚くでしょうね。周りに敵が見えないのに猛烈な火力で自分達の街が破壊されていくのは」

 エリーは悲しいい顔をしてレベッカを見て言った。そして間を置いて尋ねた。


「キューデンの切り札は確認出来ていないのですね?」


「はい、ベルニスで数体確認出来たものですね。詳しい情報がありません。あれは厄介です。一体で一個中隊に匹敵する戦闘力。通常の兵では相手になりません。しかしキューデンは戦闘強化スーツ所持しているのでしょうか?」

 そう言ってレベッカはエリーを見つめる。


「サディさんからの情報では間違いなく。だから最終的に私達が行くのです。どのくらい保有しているかは不明です。搭乗型なのか、オートマタ型なのかは不明です。どちらにせよ危険なのは間違いないですが」


「使用された事はあるのですか?」

 レベッカがエリーに尋ねた。


「過去にライオネル攻略軍の攻撃時に使用された痕跡があります。サディさんの情報ですが。身長2mほどの鎧を着込んだ数名の兵が剣を振り回して市内に突入した1個連隊が壊滅したとのことです」

 エリーがそう言って立ち上がる。


「ソアラちゃんがもう到着します。出迎えに行って来ますね」

 そう言ってテントからエリーは出て行った。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

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