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第242話 レベッカの報告

 2国間和平交渉会議13日目正午


 ここはベランドル帝国とジョルノ共和国国境線付近のベランドル帝国軍第150師団国境警備隊駐屯地。エリー達は早朝にランカーⅡでべマンを立ち最短ルートでここに到着したばかりだ。

 ランカーⅡ5号機は現在、ブラウン商会から物資補給中であった。そして駐機場横のプレハブ詰所にエリーはいた。エリーはいまブライアン魔道師団長から連絡を受けたレベッカが合流し報告をしていた。


「今回ローラ様、暗殺指令が極秘理にギューデンの命で出されています。潜っているアンドレア諜報機関員から情報が上がって来ています。とんでもない暴挙に出たものです。追加情報としてベランドル、グランの要人暗殺も指示が出ています」

 レベッカはそう言ってエリーを見ると、エリーはクッキーを頬張りながら紅茶を啜っていた。

「……!? あのエリー様、もう少し緊張感を……」

 レベッカがガッカリした顔をしてエリーを見た。エリーは紅茶カップを簡易テーブルに置くとレベッカを見て微笑み言う。


「やはり最後は魔都ですか。情報を得ようとしても送り込んだ諜報員は直ぐに消息が途絶えのです。ここ3年ほど探りはずっと入れているのですがブラウン商会の諜報では手に負えないと、どうしたものかと思ってブライアン様に相談したのです。そしたら直ぐに情報を持っているとわかったので、やはりアンドレア魔道諜報部隊は凄いですね」

 エリーは真剣な顔をしてレベッカの顔を見る。

「ほんと魔都組織の状況を知るのはかなり難しいと思っていましたが、さすがアンドレア魔道師団ですね。あっさり詳細がわかりましたからね。それにサディさんからの情報もありましたのでほぼ完璧です。私はブラウン商会諜報部隊が大陸最強と思っていましたが、それは間違いであったと今更ながら思っています。魔都マラリス……、改めて実態がわかって厄介だと思いました。ダグ•ギューデン、大陸血統者5系統のひとり……なんで犯罪組織の頭目なんてやっているのやら……今までで一番厄介な相手でしょうね。たぶん」

 エリーはそう言って椅子から立ち上がり、レベッカの瞳を見つめる。

「……?」

 レベッカが少し戸惑った顔をしてエリーに尋ねる。

「エリー様、何か……?」


「ええ、レベッカさんもこの短期間で修練を重ねられていますね。見れば一目瞭然です。恐ろしいぐらいですよ。ほんと、とっくに人間レベルでは有りませんよ。ドークの加護のネックレス魔道具も使いこなしていますね。ですが、いくら修練しても……私は倒せませんよ」


 レベッカが驚いた顔をして言う。

「なぜそのような……お戯れを……、私の真意はすでにご理解されているものと」


 エリーはレベッカの右肩に手を添えて言う。

「知ってる。レベッカさんが心から私に尽くすてくれていること……。従属の契約、女神の紋章を解いて、女神の洗礼をしてあげても良いくらいだと思っているよ」


 レベッカが微笑み言う。

「それは結構です。今までが無駄になりますから、それに私はエリー様を一度は殺そうとしたのですから当然の報い。罪は背負います。それにもし私が、女神の紋章を破れたとしても、エリー様に忠誠を尽くす心に偽りはございません」

 そう言ってレベッカはエリーの前に跪き頭を深く下げた。

「レベッカさん、冗談言ってごめんね。意図を読んでくれてありがとう! そして今後無茶はしないようにね」


「いいえ、私はエリー様の性格は理解しています。嬉しいです。たぶんエリー様にお会い出来ていなければ、つまらない人生を送っていたと思います。己の身の程も知らず勘違いしたまま……」


 エリーは屈んでレベッカと目線を合わせる。

「でっ! 私がどうしたいか。もうわかっているのでしょう?」


「はい、直接ですね。魔都中央へ行かれるおつもりですね。そういう顔をされております」

 レベッカは少し顔顰める。そしてエリーはレベッカと一緒に立ち上がる。


「今までは外から行って失敗しているからね。一気にダグさんのところまで行くつもりなんだよね。ダメかな?」


 エリーは自信満々でレベッカを見て言った。レベッカはそれを見て呆れた顔をする。

「エリー様、空からの侵入は危険です。相手を侮ってはいけません! ただのならず者集団ではないのですよ。装備は一国の軍に匹敵します。対空体制も整えています。我々の航空機の情報もすでに把握されています」


 エリーは大きく朱色の瞳を開いて言う。

「大丈夫。とりあえず、今回の作戦は新戦術を試します。すでにジョルノ共和国数カ所に、臨時飛行場を仮設しています。それとミサイル発射拠点もライオネル国境沿いに準備中です。ミサイルはランカーⅡに積載して、すでにグランを出発しています」


 レベッカが少し動揺した顔をして言う。

「以前おっしゃっていた、ミサイル殲滅戦ですか? 対アクセリアル用ミサイルを使用するのですか? しかし相手は多くの上級魔道士を有しています。防御障壁を展開されたら通用するでしょうか」

エリーは直ぐに答える。

「対策は講じているよ。魔道誘導弾で爆発炸裂するまでは防御シールドを自動的に展開するタイプを使用するから。そして対空システムを破壊したら、私が魔都中央に突入してボスを叩いて終わりて、感じかな」


 レベッカは少し安心したような顔をして言う。

「エリー様、中央マラリスタワーの地下にはシェルターがあります。そこに突入することになると思います」


 エリーは頷きレベッカに微笑む。

「そうだね、承知しているよ。一応、レベッカさん、ユーリさんと私で突入予定だからよろしくね」


 プレハブ詰所のドアがノックされた。エリーは直ぐに答えると、ドアが開きユーリが部屋に入って来た。ユーリは一礼すると。


「エリー様、あと10分ほどで出発します。準備をお願いします」


「はい、了解です」

 エリーは答えると、詰所からユーリと一緒に詰所から出て行く。そのあとをレベッカも直ぐに追いかけた。

 

 

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