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第235話 デーン航空隊

エリーはバルガ戦闘機を操縦する。

 2国間和平交渉会議12日、午前中。

 ここはグラン連邦国大港湾都市、デーン防空管制区航空隊基地。


 エリー達は、ブラウン重工施設からランカーⅡで移動して航空隊基地へ来ていた。ここには現在、多目的攻撃機ベルーダ5機、汎用戦闘機バルガ20機、対潜哨戒機シーウルフ3機、早期警戒機ガリア2機、長距離支援機ベガ1機が配備されている。


 エリーは基地施設から、ダークブルーの航空士パイロットスーツに身を包み、灰色に塗装されたバルガに乗り込もうとしていた。

 ユーリがエリーに一礼して声を上げる。

「お気をつけて!」


 エリーは手を上げて。

「はい、先に着いて待ってます!」


 エリーはバルガのタラップを上がり前部のパイロットシートへ入り込む。後席シートの航空士官がエリーに声をかける。

「ローラさま! 本日はよろしくお願いします! デーン防空航空隊、第一戦闘航空大隊、少佐、チャートです。初期操作は大丈夫ですか?」

 エリーは上半身をを後ろに捻って答える。


「よろしくお願いします! とりあえずシュミレーターは一通りやってみますので、サポートよろしくお願いします」


「了解しました! G耐性は大丈夫ですよね? 問題があれば切り替えますからご安心ください!」


「はい、チャート少佐、よろしくお願いします」

 エリーはそう言ってパイロットシートに体を沈めると、ヘルメットを着用して横の混合ケーブルをコックピットアダプタにセットする。そしてベルトを装着した。

 エリーは酸素マスクを装着して、後席のチャート少佐に合図をする。

「了解! キャノピー閉めます!」

 バルガのキャノピーサイド赤色警告灯が点滅してガラスキャノピーが下がり始めた。エリーは正面パネルを確認して各作動アラーム発生を状況を見る。


「アラーム警告無し! 各アクチュエータ作動確認問題無し! 魔道モーター始動問題無し! プロペラピッチ制御正常! ローラーブレーキ作動問題無し! キャノピーロック確認! 機体制御システム正常! 兵装制御システム正常! コックピット気圧制御問題無し! 通信システム正常! 機体位置情報システム正常! 酸素供給装置正常!」


 エリーはパネルを見ながら呼称確認した。

「ローラさま! 了解です! 魔道モーター出力全開願います!」

 チャート少佐の声がインカムヘッドから聞こえる。

 チャート少佐はすぐに答える。

「了解! 出力スロットル全開!」

 エリーは魔道モーター出力スロットルを押し込む。機体は沈み込みぴプロペラは回転数を上げる。


「出力問題無し! 各アクチュエータ異常無し!」 エリーはスロットルレバーを直ぐに戻した。そしてチャート少佐が無線で基地管制官を呼び出す。


「デーン航空管制! こちらデーン航空戦021! 離陸許可願う!」


「こちらデーン航空管制001! デーン航空戦021! 3番滑走路クリア! 離陸許可! 3番滑走路から離陸願います」

 デーン管制官からエリー達のバルガ21号機に連絡が入った。


「デーン航空戦021了解! 3番滑走路より離陸します」

 チャート少佐が答え、エリーに機内無線でエリーに指示を伝える。


「ローラさま! 滑走路離陸許可出ました。移動してください」


「了解! 車軸固定ロック解除!」

 エリーはバルガ機体下部に居た作業員に無線連絡する。そして機体の目の前にいる管制誘導員の旗を確認する。誘導が旗を下げて前方からいなくなった。エリーは手を上げて合図する。


 エリーはパネルアラームオールグリーンを確認して。

「車輪ロックブレーキ解除! 機体進行します!」


「了解! 離陸してください!」


 エリーはプロペラ出力を上げてバルガをゆっくり前進させた。滑走路進入路から3番滑走路内に入り、機首方向を調整する。


「オートフラップ、スラット作動確認! 滑走路クリア確認! 周囲空域警告無し!」

 エリーは直ぐにプロペラ出力を上げてバルガ機体の加速を始めた。機体は直ぐに離陸速度に達してバイザーにグリーン表示が点滅すると。エリーは直ぐに機首を上げ始めた。ヘルメットバイザーデーター表示を見て機体が滑走路から離れたこと確認する。バルガ機体速度は200キロを超えさらに増速して、高度150mまで上昇、滑走路限界点を超えた。

 2番滑走路から続けて3機のバルガが離陸して来る。

 エリーはバイザーデーター表示を見て声を上げる。

「オート車軸収納確認!」

 バルガ機体下部から車軸収納モーター音が聞こえた。後席チャート少佐から機内通話が入る。

「ローラさま! 離陸問題有りません。実機が初めてとは思えませんね。シュミレーターをかなりやられたのですね」


「チャート少佐! ありがとうございます! 8時間ほどですが……やはり実機は緊張感が違います」

 エリーは嬉しいそうに答えた。


「では、指定座標高度まで上昇願います」

 チャート少佐がエリーに指示を伝える。


「了解!」

 エリーはバイザーデーター表示を見てバルガ機体を旋回させて、目標座標まで上昇させて行く。上昇して来たバルガ3機もエリー搭乗機に追随する。


 エリーは笑みを浮かべ操縦を楽しんでいた。

(ほんと……実機はシュミレーターと違って振動や揺れが心地よいですね)


「目標座標到着! オートパイロットモード選択! パイロットモード移行確認!」

 エリーはバイザーデーター表示を確認すると、機体通信システムブレーカーをoffにした。

「チャート少佐、どうですか? パイロット練度は予定通り進んでいますか」

 エリーは機内通話モードで会話する。後席のチャート少佐は答える。

「エリー様、期間的にタイトなので実機訓練は思うようには進んでおりません。シュミレーターを活用して時間は稼いでいますが……、いかんせん育生パイロット数が多すぎます。飛ぶだけならなんとかなると思いますが、空中戦やら対地攻撃、対艦攻撃となかなか厳しいのが現実です。あと航空母艦への離着艦訓練はかなり難しいですね」



「理解はしていますが、半年以内にとりあえず3000人は必要です。シュミレーターも順次生産配備予定ですが、生産が追いついていませんね。優先すべきは航空母艦搭載機航空要員の訓練です。最低500人は必要です。でないとアシストシステムがあるとはいえ、機体を海に沈めることになります」

エリーが厳しい口調で言った。


「エリー様は無理をおっしゃりますね。本来航空要員養成には特性が高い者でも最低2年から3年、通常は4から5年は掛かるのですよ。エリー様のようにあっという間に機体特性を理解、操縦を修得出来ようなことは無いですからね」

 チャート少佐は淡々と答えた。


「ええ、理解しています。そのために、機体操縦サポートシステムがあるのです。パイロットはある程度操縦出来ればなんとかなると思います」

 エリーはバイザー表示データーを見て、エリー搭乗機周辺に展開するバルガ3機の状況を確認する。

「データー共有システムonにしますね。デーン航空戦各機! 了承許可願います!」


『デーン航空戦005! 了解!』

『デーン航空戦006! 了解!』

『デーン航空戦007! 了解!』

『デーン航空戦005! 第1飛行中隊第2飛行小隊! 大尉イブルです。ローラさまの護衛を担当出来、光栄です!』


「イブル大尉! ご苦労様です! 短い時間ですが、よろしくお願いします」


『はっ! ローラさま! よろしくお願い致します!』


 エリーは護衛飛行隊との通信を切り、正面パネルの兵装システムを選択して搭載兵装を確認する。

《正面30mm機関砲1門•残弾数150》

《下部搭載増量エナジーパック1》


 エリーは表示を見て少し残念そうな顔をして座標表示に画面を切替える。そしてエリー達、4機のバルガ戦闘機は編隊を組みべマン首都防衛隊飛行場を目指して速度を上げる。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

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