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北部戦線23 作戦準備3

エリー達はバレット市内に到着

 ここは、北方戦線、エリー機動大隊現地配備、7日目夕方。


 エリー大隊は、帝国特殊部隊の襲撃を受けてから67時間ほど経過していた。

エリー大隊は後方配置命令を受け、特別第三機動連隊へ編入配置になっている。


 エリー達はバレット行き特急軌道列車に乗っている。

 エリーは思っていた。(ブラウン商会の組織網てどこまで広がり入り込んでいるのかしら、帝国の国境を難なく通過して、今目的地に向かっている。よくわからないけどお父様は凄い人なのかしら?)


 エリーが乗っている車両は座席指定車両だ。向かい合わせの四人掛けシート席、そこに三人が座っている。

 

 アンジェラがエリー隣りの窓際席で窓に頭を傾けて寝息を立てながらほぼ熟睡しているように見える。


「20分ほどでバレット本駅に到着します。手の者が三人程居ますが直接接触はしませんのでよろしくお願いします」

 向かい席のユーリが小声で囁く。エリーはユーリを見て軽く頷く。


「それにしてもアンジェラさん気が緩み過ぎですね」

 ユーリが寝ているアンジェラを見て呆れたように言った。


「良いんだよ! アンジェラさんはやる時はやる人だから、休める時には休む感じでいいよ」

 エリーがアンジェラの寝顔を見ながら言った。

「それでは偽名でね! よろしくお願いしますよ」


 偽装学生身分の説明は飛行船の中でユーリから詳細を聞いていた。帝国第五大学はバレット市の中心付近にキャンパスがあり、開戦に伴いキャンパスは200キロ後方の別の都市に疎開移動している。現在キャンパスは帝国第三軍の駐屯地となり、大学施設には一部の職員と研究者しか残っていない、そして今回の私たちの偽装目的は残った大学職員に久しぶりに会う事だそうだ。そしてブラウン商会の裏組織により大学職員の偽装工作も完了しているとのことだった。


 そして軌道列車は駅のホームに到着した。

 駅のアナウンスが聞こえる。

《バレット! バレット! 終点! バレット! ここより先の運行は戦時下のためございません! 終点! バレット!》


 軌道列車のドアが開き三人はプラットホームに降りた。そしてエリーがキャリーケースを押しながら言う。

「結構大きな駅ですね!」


「戦争前は貿易の基点都市だったようですよ」アンジェラがエリーを見て言った。


 三人は偽名を確認して学生モードに切り替える。

「ローラ、マリア、セーラーですね」

 エリーが横に居る、ユーリ、アンジェラを見て言った。

 

 ユーリがエリーを見て言う。

「ローラちょっとトイレ行って来ます」

「はい、マリアさんどうぞ」

 ユーリはしばらく離れて戻って来た。ユーリが組織の人間とツナギに成功した様だ。

「宿泊の段取りが出来ています。あとルートの確認も問題無く出来ています」

 ユーリが耳元で呟いた。

 

 そして歩いてしばらくすると大きな駅舎の出入口に到着した。駅前は開けて比較的大きな建物が囲んで居る。


 ユーリがエリーの耳元で呟く。

「憲兵が三人います。こっちを見ています。どうしますか?」

「どうするって、ここで暴れる訳にはいかないでしょ! 無難に切り抜けないと・・・・・・」

 エリーはふっと息を吐いて言う。

「無視で行きましょう!」

ユーリとアンジェラが不安そうな顔でエリーを見る。


 三人の憲兵は帝国軍の黒色の軍服に右腕に憲兵の腕章を巻いている。軍服に付いている階級章は軍曹、伍長、上等兵、士官はいない。年齢は全員20代のようだ。


 憲兵が三人に話し掛けてくる。

「お嬢さん達、どこに行くんだい! ここは危ないから俺たちが守ってあげるからさ。ちょうど勤務時間も終わりなんだ! 飯でも行かない」


 エリーは憲兵と目を合わさないように通り過ぎようとするが他の二人に立ち塞がれる。エリーは思った。(あゝ・・・・・・この憲兵達、職務にかこつけてナンパ? 面倒くさい)

 ユーリ、アンジェラも対処に困って戸惑っている。

「お申し出はお断りします!」エリーが強い口調で言い放つ。


 憲兵の一人がエリーの肩を掴み引っ張ろうとした時、憲兵の後ろから女性の大きな声がする。

「そこの憲兵! 何をしている! 恥さらしはやめろ!」


 憲兵の一人が振り返り大声で言い返す。

「何言ってやがる! 治安を守る憲兵隊に対してタダで済むと思っているのか!」


 街灯の影でよく見えなかった女性は前に出て来る。濃紺の帝国軍軍服に右肩にモールが付いている。階級章は少佐、そして右胸には三軍司令部章。

 女性士官は憲兵を睨んで言う。

「所属氏名を名乗れ! 私は三軍マーク中将付情報士官、セリカ少佐! 事情を説明してもらえるか」


 憲兵三人が驚いてセリカ少佐に敬礼する。「失礼して申し訳ありません! このお嬢様方を保護していただけです!」


 セリカ少佐はエリー達を見て言う。

「本当なのですか?」


 エリーは首を直ぐに横に振る。セリカ少佐は憲兵達に視線を向けて言う。


「すぐこの場を立ち去れば、憲兵隊本部には連絡しないでおく! 今後この様な事がないよう肝に銘じておけ」


 憲兵達は姿勢を正し敬礼して軍曹が言う。「ご配慮感謝致します! 今後この様な事がない様肝に銘じます! 失礼致します!」憲兵達は慌てて去って行った。


 去って行く憲兵達を見て安心した顔をするエリー達。しかし気付いてしまったエリーはこのセリカと名乗った女性士官が只者でない事に、このセリカ少佐は憲兵なんかより何十倍もヤバイ相手だと感知した。


「良かったです、私がたまたま居合わせて、無事で何よりでした」

 憲兵とのやり取りとは別人の様に優しい口調でセリカが話し掛けてくる。


「ここへは何を? あまり戦線区域には立ち入らない方が良いですよ。あの様な連中がいますから。特にあなた達みたいに美形揃いは本当に危ないですよ」


 セリカが少し嬉しいそうな顔をして三人を見て言う。

「憲兵が迷惑を掛けたお詫びに、夕食をご馳走したいのですが? 大した料理ではありませんが美味しいものです。いかがですか?」

 エリーは考える。(このセリカ少佐からは早く離れたいが、情報を収集するにはお近づきになるのも悪くない・・・・・・)


 アンジェラがセリカを見て笑顔で言う。

「ありがとうございます。ご馳走になります」

 エリーは唖然としてアンジェラを見てからセリカに頭を下げる。

「お言葉に甘えてご馳走になります」


セリカが三人を見て笑顔で言う。

「では! こちらについて来てください」


駅舎の端に停まって居る大型送迎車両の前に案内される。エリーが驚いて言う。

「情報士官はこんな高級車両に乗れるのですか」


「いいえ、中将閣下を送った帰りです! 軍団司令官専用車ですよ! 帰りは自由ですから、どうぞお気になさずお乗り下さい」


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


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