北部戦線22 作戦準備2
ここは、北方戦線、エリー機動大隊現地配備、7日目正午。
エリー大隊は、帝国特殊部隊の襲撃を受けてから63時間ほど経過していた。
エリー大隊は後方配置命令を受け、特別第三機動連隊へ編入配置になっている。
エリーは大隊本部の椅子に座りボーーっとしていた。
ユーリがエリーに近寄り小声で言う。
「エリー少佐! 準備は二時間くらいで出来そうです」
「そうですか、意外と早いですね」
エリーが嬉しそうにユーリを見る。
時間は少し戻る。エリーは朝食を食べたあとすぐに、ジェーン連隊長を訪ねてバレット行きの話をしてみた。エリーは許可はもらえないだろうと思っていた。だがしかし、エリーの真剣な説得力のある言葉にジェーン連隊長は条件付きで許可を出してくれたのだ。
ジェーンは思っていた。
(エリーは多分、許可を出さなくてもバレットへ行くだろう。それなら安全性を向上させた方が良い!)そして、条件を付けて送り出す事にしたのだった。
ユーリが身分証を見ている。
「私、ハタチに見えますか? メークは幼く見えるようにしてみたのですが・・・・・・? やっぱり無理ですかね・・・・・・」
エリーがユーリの顔を見て嬉しいそうに言う。
「まあ・・・・・・、イケると思いますよ。美人なんですから、服装をもう少し変えて髪型をツインテールにしてみますか」
エリーがユーリの学生身分証を見て喜んでいる。
〈べランドル帝国 帝国第五大学 法制学部 法制学科 三年生 マリア マーキュリー 20才〉
そしてエリーは自分の学生身分証を目を細めて不思議そうに見る。
〈ベランドル帝国 帝国第五大学 医療学部 治癒薬学科 一年生 ローラ ベーカー 18才〉
「ローラか、まあ良いですけど! 医療学部とはびっくりです」
エリーは少しメークを濃いめにして髪留めを少し可愛いモノにした。
そこにアンジェラがやって来た。
「どうですか? 可愛いですか! 気合い入れてみました!」
エリーはアンジェラを見て微笑んで言った。「もう少し抑えてくれた方が良いのですが!」
そこには一際目立つ美女が立っている。 エリーは思った。(アンジェラさん初めてのデートじゃないんだよ! もう少し目立たなくしてください!)
そして、服装は全員色違いの地味めのロング丈ワンピースに変更して、アンジェラはナチュラルメークに変更した。
アンジェラが学生身分証を確認する。
〈ベランドル帝国 帝国第五大学 法制学部 法制学科 一年生 セーラー ブランフォード 18才〉
「マリアさんにセーラーさんですね! 間違えない様にお願いします」
「ローラと呼んでくださいね!」
エリーが微笑み可愛く顔を傾ける。
ユーリがエリーにショルダーバックを見せ、バックを開けて中のものを取り出す。化粧ポーチ、財布、メガネケース、サニタリーポーチ、補給食ケースが収納されている。
ユーリが収納物をテーブルの上に並べて説明する。
「これは化粧ポーチです。口紅は二本入っていますが! こっちのピンク色は小型爆弾ですケースを取って下を回してロック解除で五秒で起爆します」
「これは財布です。不燃材特殊繊維で出来ているのでナイフ、小径銃弾は貫通しません。あと帝国通貨五万ギールの現金が入っています。学生にしては少し多い金額です」
「これはメガネケースです。開ければメガネが入っていますが、これ分厚いと思いませんか? 裏の部分に発信機が内蔵されています。緊急時に底を剥がしてスイッチを押すと緊急信号を発信、位置特定をします」
「これはサニタリーポーチです。これは上部にはサニタリー用品、そこの方にシート状の発光弾がが入っています。シートを破って投げて落下すると炸裂発光します」
「ショルダーバックの底にショートブレードが縫い込まれています。底を破れば取り出せます」
「これが、縫い込まれているものと同じものです」
ユーリがショートブレードを手に取ってエリー達に見せる。ユーリは魔力量を上げブレードに通すと剣芯が伸びる。
エリーが嬉しそうに言う。
「このブレード! 魔力量上げれば何でも切れる感じですか?」
ユーリがエリーを見て少し考えてから言う。
「はい、ブレードの許容範囲内であれば大丈夫です」
続いてユーリが今回の予定の説明を始まる。要約すると、まずは飛行船で国境線を西へ180キロ移動、そこから密輸業者の車両で帝国側に入り、そして100キロ手前から軌道列車に乗りバレッド市街地に入る予定だ。
エリーがわくわくした表情で言う。
「上手くいきますかね!」
ユーリが微笑んで言う。
「ブラウン商会の手のもで、抜かり無く準備しております。問題はありません」
アンジェラがユーリを見て嬉しいそう言う。「マリアお姉様・・・・・・、清楚な感じで聖女様のようですよ。いつもの感じよりだいぶ柔らかい雰囲気で私はこちらの方が好きです」
ユーリが少し微笑んでアンジェラを見つめて言う。
「そうですか! ありがとうございます。セーラーさんも可愛い何処かのお嬢様みたいでとても素敵です」
エリーが二人を嬉しいそうに見つめてから視線をミラー中尉に向けて言う。
「ミラー中尉! この三人の中で彼女にするなら誰を選びますか?」
背を向けて端のテーブルで執務をしていたミラー中尉が慌てて三人を見る。
「えーーっ! 急ですね! 正直なところ選べませんよ」
エリーが意地悪い笑みを浮かべ言う。
「ミラー中尉! 誰が好みですか? 選んで下さいお願いします」
ミラー中尉が困った顔をしてエリーの顔を見て言う。
「エリー少佐です! 私の好みです。 お付き合いしたいです・・・・・・」
そう言ってミラー中尉は少し顔を赤くして背を向け執務を再開する。
エリーは嬉しいそうにミラー中尉の背後に近寄り言う。
「ありがとう! ミラー中尉」
アンジェラがエリーを見て言う。
「これって本気のやつですか?」
エリーが澄まし顔でアンジェラを見て言う。「まあ・・・・・・、良いじゃ無いですか」
そしてユーリの鋭い視線がミラー中尉に向けられている事にエリーが気付き言う。
「どうしたの? 目が怖いですよ」
ユーリがハットした表情になり言う。
「いいえ、何んでもありません」
「それでは出発準備をしましょう!」
そして、特三ベースキャンプより憲兵車両で15キロ走り、飛行船発着場より飛行船に乗る。
飛行船の飛行区域は戦線より30キロ以内は飛べない、何故なら砲撃により撃墜される恐れがあるからだ。
エリー達は一時間程飛行して中継地点に着き密輸業者と接触する。
「これはユーリさんお久しぶりです! 雰囲気が違いますがお綺麗です」
五人の男達のリーダーらしき男性がユーリに言った。
ユーリはその男性を見て微笑んで言う。
「問題は無いかしら! 大事なお嬢様を預かっているのですからミスをしたらあなた達終わりよ!」
「手配は完璧です! 国境は問題無く通過出来ます」
男性は戯けたように言った。
エリーはユーリを見て言う。
「この人達はどのような?」
「お気になさらず! この者たちはブラウン商会の手の者です。今後も有りますので深くはご容赦下さい」
ユーリがエリーの顔を見て優しく言った。
「わかりました。よろしくお願いします」
エリーは男達に頭を下げて微笑む。
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