第213話 ドール帰還
2国間和平交渉会議9日目夕方。
ここはべランドル帝国帝都ドール市、ドール城、皇帝執務室。
エリーは、エルヴェス帝国ハイヤ市から、直接ドール市へ帰還していた。
エリーは、ソファーの上で、だらけた顔をして寝そべっている。執務室にはエリーの他に、エラン、ユーリ、今しがた帰って来たソアラがいた。
エランが横になっている、エリーの隣に座って言う。
「……協力は得られたのですね。良かったです」
エリーは少し顔を動かし。
「はい、問題は有りません」
「ご苦労様でした。今日は十分に休養してくださいね」そう言ってエランは、エリーの肩に手を添えた。
ソアラが反対側のソファーから立ち上がり、エリーを見て言う。
「エリー様、少しよろしいですか? お話しを……」
エリーは、横になったまま視線をソアラに向けて。
「……あゝ、そうだね」
そう言ってエリーはゆっくり体を起こして、エランの顔を見つめる。
「エランお姉様、少しソアラちゃんとお話しをして来ます」
エリーはソファーから立ち上がり、ソアラに目で合図をした。そして、エラン一礼すとソアラと共に執務室から移動した。
◆◇◆◇
ドール城居住エリア、エリーの居室。
エリーとソアラは隣り合わせにソファーに座って。
「どうでした? カミュさまは変わりなしですか?」
ソアラがエリーの方へ顔を向けて尋ねた。
「……まあ、大人しくはなられているようでした。外の世界と関係を絶って千年ですからね」
エリーはボトルから水をコップに注ぎながら言った。ソアラは視線を下げて溜め息を吐いて言う。
「カミュさま……少し倫理観が私達とは違うのですよね。……で、外へは?」
「うん、出るって、リサさんに協力してもらってね。今は、肉体と精神強化中だよ」
エリーはコップの水を飲み干してテーブルに置いた。
「……カミュさまを説得して閉じ込めるのに苦労しましたよね。」
ソアラが顔を顰めて言った。エリーはそれを見て言う。
「……あゝ、まあね。だって美女と見たら片っ端にさらってハーレム作るんだもの……しょうがないよね」
エリーは呆れたような顔をする。
「……リサさん、大丈夫!?」
ソアラが心配そうな顔をする。
「大丈夫、私と従者契約しているからね。女神の契約スキルで変なことしたら直ぐわかるし、防御スキルも付与しているからね。痛い目見るのはカミュさまだから」
エリーは微笑みソアラの顔を見た。
「……でもね、カミュさまは出したくなかったのですが。時間に余裕がないのでしょうがないですね」
ソアラが嫌そうな顔をして言った。
「まあ、悪い方ではないですからね。しっかり監視さえしていれば」
エリーはそう言って椅子から立ち上がりソアラを見る。
「レンベル、問題有りませんでした?」
「ええ、大丈夫です。あとは微調整だけです。アナ少尉も同行していますので安心です」
「アナさん、来てるんだ。顔見てないけど!」
エリーが少し寂しそうに言うと、ソアラはエリーを見て言う。
「レンベルTYPEⅡⅡのシステムアップデートをすると、言ってましたよ」
「私には挨拶は別にいいんだけどね……」
エリーがガッカリしたように言った。ソアラはそれを見て、エリーの背中に手を添える。
「とりあえず、お風呂へ行きますか? エリー背中洗ってあげますよ」
エリーが機嫌の悪そうな顔をして、ソアラの頭に手を乗せて。
「ソアラちゃん、調子に乗ってますね。良いですよ。お風呂行きましょう! 髪を洗ってあげますよ」
そうして、エリーはソアラを抱えて上げる。
「じゃあ、エランお姉様、ユーリさんも誘って」エリーはそう言って部屋の受話器を撮った。
「今からお風呂行きましょう!」
『ええ、良いですよ。今からですね』
エランが電話の向こうで答えた。
「はい、お風呂でお待ちしてます」
エリーは答えて、受話器を置いた。そしてソアラの脇に手を回して引っ張るように部屋を出て行った。
◆◇◆◇
エリーは裸になったソアラを見て言う。
「さあ、お風呂に入りましょう!」
浴場は皇帝一族専用でスペースは30畳ほどの大きさに洗い場と10畳の浴槽がある。
エリーは洗い場の椅子にソアラを座らせる。
「まずわ洗ってあげるよ。ソアラちゃん」
「……あ! うん」
ソアラは大人しく頭を洗わせる。エリーはシャンプーを手に含むとソアラの髪を洗い始める。
「それにしても、相変わらず成長してないね」
「……まあね。成長止まってますからね」
ソアラは目を閉じて気持ちよさそうな顔をする。
「ソアラちゃん、髪は綺麗だよね。ほんと」
エリーはシャンプーを泡立てながら手櫛で撫でるように、ソアラの髪を洗う。ソアラは嬉しそうな顔で口を大きく緩めた。
そしてエリーはシャワーで優しく、ソアラの頭を洗い流した。
「……セレーナて、ホント、優しいのにね」
ソアラがポツリと言った。
「……! いまさらだよ。ローゼは理解してないんだよ。私の本当の姿を」
エリーはそう言って、ボディスポンジにソープを含ませ泡立てる。そうして肩から前後に右手を動かしながら、ソアラの体を洗い始めた。
「ソアラちゃん、このボリューム感はかわいそうだね。これて大きくならないんだよね」
エリーがソアラの胸板を洗いながら、ちょっと遠慮気味に言った。
「……いいじゃない。邪魔にならないし、スッキリしていいでしょう」
ソアラが少し機嫌悪そうに言った。
エリーはちょっと笑って言う。
「まあね。良いんじゃない。微乳好きもいるしね」
エリーはソアラを覗き込み自分の乳房と見比べて、
「ソアラちゃん、まあ、いい感じだね」
「……、気にしてないから」
エリーはソアラの全身を泡立てると、シャワーを掛けて洗い流した。
「ありがとう。次エリーの番ね」
ソアラは椅子から立ち上がり、エリーを椅子に座らせた。
ソアラはエリーを見て嬉しそうに言った。
「16才になったばかりですよね。まだ成長しますかね……」
ソアラはそう言って、座っているエリーの背後から両手で乳房を触り優しく揉んだ。
「……! ソアラちゃん!」
エリーはソアラの両手を、掴み下げた。
浴室の入口からエランの声がする。
「仲がよろしいですね」
エリーが振り向くと、入口に裸のエランとユーリがたっている。ユーリは相変わらず美しい理想的な体型をしている。直ぐにエランとユーリは洗い場に来た。
「ユーリさん、私が体を洗います」
エランがユーリに言うと、ユーリが驚いた顔をして言う。
「いえ、エラン陛下に……そのような、無理です。不敬ですので、ご勘弁を」
ユーリは迷惑そうな顔をする。それを見てエランは、真剣な顔をして言う。
「……ユーリさん、不敬などと、私は、ユーリさんの体を洗いたいのです。これは私が懇願しているのです。命令です。ですから従ってください」
ユーリは困った顔をして言う。
「はい、従います」
ユーリは大人しく椅子に座りエランに背を向けた。
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