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第210話 神殿の主

 2国間和平交渉会議9日目午前中。


 ここはエルヴェス帝国、ルーベンス市より500キロほど西の地方都市ハイヤ市、そしてさらに30キロほど離れた、森林地帯にある地下の謎の施設内。


 エリーとリサは地下移動装置内にいた。


「……エリー様……、ここに何があるのですか?」

 リサが隣りのエリーを見て恐る恐る尋ねた。


「……え、カミュさまの神殿だよ。軽く説明はしたと思うけど。そうだね、詳しくはカミュさまに会ってからね」

 エリーは答えて、少し不安な顔をしているリサの肩に手を回して微笑んだ。


「……はい」

 リサはエリーにぎこちない笑顔した。


 移動装置は1分ほど作動音が鳴り止み停止した。移動装置内に男性の声が聞こえる。

『セレーナさま、到着致しました』そして移動装置の扉が開く。


 エリーとリサは移動装置から出ると広い通路があり、それは真っ直ぐに奥が見えないほどに続いていた。

 リサが驚いた表情をしてエリーを見て呟く。

「……こんなものが……地下に……す、すごいです」


 エリーはリサの腰に手を回してリサを見る。

「心配してるね。どうする。引き返してもいいよ」


「……いえ! ……覚悟はしています」

 リサは顔を若干引き攣らせながら答えた。


「……まあ、そうだね。とりあえずカミュさまから話しだけは聞こうか」

 そう言ってエリーは隅に止まっている座席4つついて屋根の無い、小型の車両に乗り込む。


「歩いて行くと、10分くらい掛かるからね。これだと3分くらいだから」

 そう言ってエリーは車両のスイッチを操作した。車両は直ぐに動き出し無音で走行を始める。

「ここには何人くらいおられるのですか?」

 リサが助手席からエリーを見て尋ねた。


「……人間は居ないよ。カミュさまと管理者だけだよ。昔は人間もいたけどね。今はいない」

 エリーは車両の走行帯自動制御を確認して、リサを見る。


 通路幅は10mほどあり、高さは5mほどもある。通路の壁には100mほどおきに大きなドアが見受けられた。車両は専用通行帯を速度20キロほどで走行している。


「……」

 エリーとリサは無言のまま、通路を車両は進行して行く。しばらくして正面に大きなドアが見えると、車両が減速を始める。そしてドアの手前5mで停止した。


「リサさん、到着したよ」

 エリーがリサを見て優しく言った。リサはハットして返事をした。

「はい!」

 エリーはリサの手を取り車両を降りた。そして男性の声が聞こえる。

『今、扉を開放致します。ガーデイアンは停止していますのでご安心ください』


「ドリアン、ありがとう! さすがにガーディアンズと一戦は交えないよ」


 エリーとリサがドアの前に立つと5m四方のドアが左右にスライドしてゆっくりと開いた。

 そして白い内装の広大な部屋が現れた。中央の通路の両サイドには、無数の中世の騎士のような漆黒の兵士が並び整列している。リサはそれを見て動揺する。

「大丈夫、動かないから」

 エリーはそう言ってリサの腰に手を回して部屋の中へ。漆黒の兵士は身長2mスマートな漆黒の鎧を着用している。リサは生体反応を探知出来ないので戸惑っている。

 漆黒の兵士は両サイド合わせて100人はいるだろうか。


 エリーは歩きながらリサに言う。

「カミュさまの守護体だよ。ここには全部で200体はいたかな。カミュさまが命じれば直ぐに戦闘行動を開始する。もしくは悪意、敵意を向けた場合は自動で起動するよ」


 リサはエリーの顔を見て尋ねる。

「これは小型の重装機兵なのですか?」


 エリーは少し考えた顔をする。

「そうだね。基本的な部分は一緒かな。でも自己判断で戦闘するからね。それに命令には絶対に逆らわない」


「知能を持っているということですね」


「うん、そうだね」

 エリーは頷き答える。そうして漆黒の兵士の間を抜けて、部屋の中央に来ると立ち止まる。

「カミュさま! セレーナ参りました!」


 中央の一段高い部分に薄い紫色の光が集まり、そして光の中に女性の姿が現れた。


 白い衣を着た女性、まさに女神のような出立。金髪のロングヘア、ブルーの切れ長の瞳、年齢的には30歳前後くらいに見える。とにかくリサからは、こんな美女は見たことがないというレベルだった。

(確かに私の周りには、美少女、美女が多いが、このかたは……)


 リサは呆然と、目の前に現れた女性を見つめていた。エリーはリサを見て優しく言った。

「カミュさまだよ。リサさん挨拶お願い」


 それを聞いてリサは唾を飲み込み、息を整えて。

「……カミュさま……お初にお目に掛かります。リサ•ヒューズと申します」

 そして頭を深く下げた。


『カミュです。リサさんよろしくお願いします』


 カミュと名乗った女性は薄い紫色の光に全身を纏いながら、リサに微笑んだ。


 リサは跪き右手をついて頭を下げる。

「カミュさま……始祖の女神様なのですね。どうか私にお力添えをお願い致します」


『セレーナ、あなたはどのように話しているのですか。この娘は理解しているようには見えませんが』

 カミュはエリーのほうを向き尋ねた。


「はい、詳細は伝えていません」

 エリーは直ぐに答えた。


 カミュを包む光は揺らぐ。

「セレーナ……相変わらずですね。まあ良いでしょう』


 エリーは直ぐに微笑みながら、リサを見て言う。

「さあ、奥の部屋に行こう!」


 リサは立ち上がりエリーの顔を見る。先ほどまでの怯えの表情は消えている。

「はい!」


 そうして中央に居たカミュが光と共に消失した。そしてエリーはリサの手を取り奥の広間へと歩き出した。奥の広間はエリー達が進むに従い照明を点灯していく。

 

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 

これからも、どうぞよろしくお願いします。


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