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第209話 女神の地下神殿

 2国間和平交渉会議9日目午前中。


 ここはエルヴェス帝国、ルーベンス市より500キロほど西の地方都市ハイヤ。エリーとリサは朝食後、直ぐにランカーⅡ5号機で出発し、ここに来ていた。


 ハイヤ市の郊外には森林地帯が広がっており周辺の開発は進んでいない。エリー達のランカーⅡはハイヤ市の郊外に降りると、手配していた車両に乗り込み1時間ほど移動した。そしてさらに車両を降りて2キロほど森の中を徒歩で移動。現在地にいる。


 エリー達は皇帝護衛隊、カーキ色の第二種軍装防寒ジャケットを着込んで、この場所にいるのは、エリーとリサの2人だけだ。


 周辺には大きな針葉樹が生い茂り薄暗い。リサは緊張した顔をして、無言のままエリーの後ろをついて来ていた。エリーはしばらくこの周辺を歩き回り何かを探していた。そしてエリーは立ち止まり、リサのほうへ振り返り微笑む。


「ここだよ。昔は開けていたんだけどね。森に完全にのまれちゃってるね」


 そこには木々の間に3mほどの岩が点在している。エリーは立っているリサに近づき囁く。エリーは目印の岩を特定した。


「やっと見つけたよ……微弱な反応でわかり難いね。大丈夫とは思うけど……ああ、リサさん、驚くよ。たぶん」

 エリーは嬉しそうな顔をする。そして大岩のひとつに両手で触れる。


「我が名は、執行の女神セレーナ。門を開き我を受け入れよ」

 いつもよりゆっくりと低い声で、そう言うとエリーは大岩に魔力を通し始めた。エリーの体が白色に輝き大岩へと光が流れていく。そして地響と共に周辺の木々が揺れ始めると、三つ並んでいた右の大岩が徐々に迫り上がる。

 

「……!?」

 リサはエリーの後ろで、それを少し不安そうな顔で見ている。エリーは2分ほど魔力を中央の大岩に通して、右側の大岩は4mくらい迫り上がる。そして四方2mほどの扉のようなものが見えた。

 エリーは中央の大岩に魔力を通すのをやめて、一旦、退きリサに微笑む。


「それじゃあ、行こうか」


 リサはエリーの顔を見て頷く。

「……はい、参りましょう」


 エリーは今度は迫り上がった、右の大岩の前に立ち、扉の手形に右手を合わせた。すると扉が上部へゆっくりとガラガラ音を立てながらスライドしていく。1分ほどして扉は解放されて内部に通路が見える。


 エリーはリサの右手を握ると、視線を合わせて微笑む。

「リサさん、入いるよ」


「……!」

 リサは頷きエリーと並んで扉の奥へと進んだ。エリーはポケットからライトを取り出し、点灯すると下層へと続く石造りの階段が見えた。幅1m、高さ2mほどの大きさ。

 エリーとリサが階段を5mほど下ると2m四方くらいの踊り場があり、壁際に手形が刻まれている。エリーがそこへ右手を合わせた。


「入口の扉を閉めるための装置だよ」

 階段上部からガラガラと扉がスライドする音が聞こえる。エリーはリサにライトを向けて、さらに下層に向かう階段を降り始めた。


 階段の周辺の壁は石造りパネルが嵌め込まれている。そのパネルは高度な技術で加工されている。そして階段を30mほど下ると、30畳ほどの丸い空間が現れる。

 エリーはライトを照らして周囲を確認する。一箇所3mほどの大きさの扉を見つけると、直ぐに扉の手形に右手を合わせた。扉は直ぐに左右にシュッと静かに開くと、扉の向こう側から明るい光が漏れてくる。リサは明るい光に驚き目を閉じた。


 エリーはリサの右手を優しく掴んで、声を掛ける。

「大丈夫……心配ないよ」

 そう言ってエリーは、リサとゆっくり扉の中へと進んで行く。エリー達が内部に入ると背後の扉は直ぐに閉じられた。

 内部フロアは20畳ほどの白い金属調の壁で覆われている。天井にはリサの理解出来ない光源のパネル状の照明が明るく全体を照らしている。


 フロア正面に扉がある。そしてエリーが扉の前に立つと男性の声が聞こえる。

『セレーナさま、ご無沙汰しております。1050年ぶりですね』


「そうね。ベリアス戦役前だから、そんなに経っていたんだね」

 エリーは扉の前にあるレンズに話し掛けた。


『セレーナさま、容姿がだいぶ、お変わりになられましたね』


「可愛くなったでしょう!」

 エリーは微笑みレンズに話し掛けた。


『……』


「ドリアン、で、カミュさまは起きていますか?」

 エリーがレンズを見て尋ねた。


『はい、お待ちです。大変喜ばれていますよ』

 スピーカーから男性が答えた。


「そう、良かった」

 エリーは答えてリサを見ると、リサは戸惑った顔をしている。


「あゝ、ドリアンはここの管理者だよ」

 エリーがそう言うと、リサは少し動揺した顔をして尋ねる。

「管理者……1050年とか言ってましたが。不老不死なのですか?」


「まあ、そうだね」

 エリーは答えると、レンズを見て言う。


「カミュさまのところへお願い」


『はい、承りました』

 スピーカーから男性の声がした。そして正面の扉が開く。内部は3畳ほどのスペースだ。


 エリーは躊躇わず、直ぐにリサの手を引っ張りそのスペースに入った。


「お願い。カミュさまのところへ」

 エリーがそう言うと、扉が閉まり起動音がする。そして高速で下降を始めた。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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