第208話 レンベルの受領
2国間和平交渉会議9日目朝。
ここはエルヴェス帝国首都ルーベンス市郊外、エルヴェス帝国軍、皇帝派第1軍駐屯地、エラン皇帝護衛隊宿舎。
エリーは眠りから覚めた。エリーはユーリに魔道回路調整して、そのままベット眠ってしまていた。エリーはベットの端でそばで寝ているユーリ体の感触を感じていた。そしてゆっくり顔をユーリのほうへ向ける。
「……あゝ、起きてたんだね!」
エリーはユーリと視線が合って少し驚いた顔をする。
「……はい、5分ほど前に、お疲れのご様子だったので、エリー様をお待ちしておりました」
ユーリが優しく微笑みながらエリーに言った。
「……ありがとう」
エリーは呟くと、体を反転させて部屋の時計を見た。
「……もう」
そう言ってエリーはゆっくりベットから起き上がる。ユーリはまだ起き上がらずベットで横になっていた。
「ユーリさんどうしたのですか?」
エリーはトレナー状のパジャマを脱ぎながらユーリに話し掛ける。
「はい、久々なので余韻を……」
「……?」
エリーは顔を傾げた。そしてユーリはゆっくり毛布をあげると、ユーリの美しい白い肌が目に入った。カタチの良いバスト、適度に引き締まった腹筋。
「……? なんでハダカなの!?」
エリーの口から思わず声が出る。それを聞いて、ユーリは枕元の下着をつけながら言った。
「はい、いつも寝る時は何も身に付けません。快適ですよ」
エリーは戸惑った顔をして言う。
「いつもですか? 野営地でも……」
「……、いえ、屋外では下着は着けています。万が一戦闘になったりしたら、さすがにハダカでは」
ユーリは下着をベットの上で履きながら答えた。
エリーはユーリを見て呟く。
「ユーリさん、大丈夫だね」
ユーリはトレナー着に着替えると、ベットから降りてエリーの手を取って。
「部屋で着替えて来ます。朝食に行きましょう!」
「はい、そうですね」
エリーが答えると、ユーリは一礼して部屋から出て行った。エリーはユーリを見送り安心した顔をする。
(魔道回路調整したけど、雰囲気が落ち着いたようでよかった。とりあえず大丈夫だね)
エリーはハンガーの皇帝護衛隊の軍服のジャケットを取り袖を通す。そして偽装スキルを発動して雰囲気を変える。
エリーは部屋の鏡を見てハット息を吐いた。
「……うん! これで良いね」
そう言って、軽く化粧をして身支度を整えると、部屋から出て食堂へとへと向かった。
◆◇◆◇
ここはグラン連邦国首都べマン市。首都防衛隊基地内、エリー大隊本部重装機兵整備ブロック。
ボビーとアナは、今しがたレンベルのシステム調整が終わり、レンベルを見上げていた。
「……アナ、なんとか終わったな」
「はい、とりあえず完了ですね」
アナは安堵の表情を浮かべてボビーを見る。ボビーがアナに近づき肩に手を乗せる。
「少し仮眠をとるか?」
ボビーが疲れた顔でアナを見る。
「……!? 一緒は無理です!」
アナが少し嫌な顔をして慌てて答えた。
「え――! そんな嫌そうに。一緒に寝ようなんて言ってないぞ!」
ボビーは呆れた顔をして強目に言うと、接続端末を片付け始める。アナもケーブルを巻いて電源ユニットを台車に乗せた。
「アンジェラ中尉の到着は、10:00でしたよね」
アナがボビーに尋ねた。
「あゝ、その予定だ。午後にはドールに戻るから、2時間でパイロットフィティング確認だな」
ボビーは端末をトレーボックスに収納しながら答えた。
「了解です。私は部屋に戻って1時間ほど仮眠します」アナはボビーにそう言って、敬礼するとそそくさと整備ブロックから出て行った。
ひとり残ったボビーは少し寂しそうな顔をした。
「……」
◆◇◆◇
ここはエルヴェス帝国首都ルーベンス市郊外、エルヴェス帝国軍、皇帝派第1軍駐屯地、エラン皇帝護衛隊駐機場。
ランカーⅡ2号機がプロペラを回して待機している。そして周囲にはプロペラ風でホコリが舞い上がり、その中をアンジェラとソアラの2人が搭乗しようと歩いていた。
搭乗口の前にはビアンカ機長が立っていて、2人に手を挙げる。
「アンジェラ中尉! 急いでくれるか、時間があまりない。天候が良くないからべマンに降りれないかもしれないからな」
「はい!」
アンジェラは答えると、ソアラの右手を引っ張って、早足でビアンカの前まで来て敬礼する。
「予定は少し余裕があったはずですが?」
ビアンカは少し目を細めてアンジェラを見て答えた。
「天候が悪化した。べマン周辺が荒れているから、回復しなければ隣町に降りて車両移動となる。そうなると2時間オーバーは確実だな」
「はい、了解です。今日中にドールに、戻らなければならないのですが、大丈夫でしょうか?」
アンジェラが少し不安そうにビアンカに尋ねた。ビアンカは少し機嫌の悪そうな顔をして言う。
「それは天候次第だな。レンベルを無事に持ち帰るのが私の任務だ。安全が最優先だ!」
「……はい、もちろんです」
アンジェラは頷き言うと、ソアラと共にタラップを上がりキャビン内へと入った。ビアンカは搭乗員へ指示を出す。
ビアンカは直ぐに、コックピットへ入り離陸準備を始める。隣りの副機長は機器の表示を確認して、直ぐにビアンカに報告した。
ビアンカはインカムを取ると声を上げる。
「ドアロック確認! 只今より離陸します! 各員! ベルト着用願います!」
アンジェラとソアラは座席ベルトを慌てたように装着する。ランカーⅡ2号機はプロペラ出力を上げると、機体はゆっくり上昇を始め、可変翼の角度を徐々に変更してさらに上昇、機首方向を変える。そしてランカーⅡは速度を上げ、あっという間に見えなくなった。
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