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第206話 レンベルの改修

レンベルのブラウン重工での改修が終わり、エリー大隊へ引き渡しが完了した。

2国間和平交渉会議8日目夜。


 ここはエルヴェス帝国首都ルーベンス市郊外、エルヴェス帝国軍、皇帝派第1軍駐屯地、エラン皇帝護衛隊宿舎。


 エリーは夕食を済ませて、宿舎個室内でソアラと話している。


「アンジェラさんから聞きました。レンベルTYPEⅡにだいぶ慣れたようですね」

 エリーは椅子に座り足を組んでソアラを見つめる。


「まあそうですね。シンクロモードなら問題有りません」

 ソアラは髪をかきあげ自慢げな顔をした。


「では、グランとベランドル共同作戦参加は、問題ないですね」

 そう言って、エリーは紅茶カップを手に取り口に運ぶ。


「……ええ、女神の共闘ですね」

 ソアラは嬉しいそうにエリーの顔を見つめた。エリーは紅茶を飲み干すと言う。

「レンベルの改修は終わったようなので、明日、アンジェラさんと受け取りに、ベマンに行ってください」


「あの朱色のレンベルですか。私は実機を見たことが有りませんが」

 ソアラは首を傾けて言った。


「これからローゼの愛機になるのです。TYPEⅡと同等のパーツに交換調整されたので問題なく扱えると思います。すでにブラウン商会工廠から本部には移動完了しています。あとはボビーさんと最終的な調整をお願いします」


 エリーはそう言って立ち上がり紅茶カップをトレーに置き。

「じゃあよろしくね。ローゼ……私は明日はちょっと用事を済ませて来るから」


「……任せてください。夕方にはドールに戻りますから。あゝ、それとですね。もう一度忠告しておきますが。強力な従者は頼りになります。反面、あなたの消耗も激しくなるのですからね。理解していますか? 焦っているのもわかりますが、短期であまり契約するのも本末転倒ですよ」

 ソアラはそう言って椅子から立ち上がる。そしてエリーの顔を見て頷くと、部屋から出て行った。


 ◆◇◆◇


 ここはグラン連邦国首都べマン市。首都防衛隊基地内、エリー大隊本部重装機兵整備ブロック。


 ボビーとアナは、本日ブラウン重工から受け入れた、レンベルのシステムチェックに追われていた。

 アナ技術少尉がレンベルの足元でシステム接続端末を見ながら、コックピット内にいるボビー技術少佐にエラーコードの詳細をインカムで伝えていた。


「明日の昼までですよね。それまでにまともに動けるようにするとなると……」


 アナがすでに疲れたように言うと、ボビーから応答が入る。

『あゝ、そうだな。朝まで確定だな。新システムだからな。まあ、TYPEⅡのシステムデータがあるからそれをインストールしたが……やはり動作にズレがある。まだ可動全域調整に掛かるな……』


 アナはシステムマニュアルを確認しながら、端末の表示数値を素早く修正していく。

「装甲素材、伝達配線、システム更新……本当、これ……」

 アナが思わず声を漏らした。ぼやきを聞いてボビーから応答が入る。


『アナ、嬢ちゃんが仕上げてくれっていてんだから、間に合わせなきゃならないんだよ。オレ達なら出来るということだ』


「……」


 アナは端末モニターを見ながら言う。

「この機体の新規パイロットは諜報のソアラ中尉ですよね」


『ソアラ中尉……そうだったな。まあ適正に問題無しだったて事だろう。上の許可が出ているのだから、逸材なんだろう……たぶん』

 ボビーはそう言いながら、コックピットモニターを表示を見て接続端末キーボードを操作する。


『アナ! 一旦起動するぞ!』


「はい、どうぞ!」

 

 アナが応答すると、ボビーが接続端末を操作する。そしてコックピット内の警告ランプが点灯して機体のスピーカーから女性のアナウンスが流れる。

〈起動シーケンススタンバイクリア! 起動シーケンス、スタートして下さい!〉


 ボビーがコックピット正面パネルを見て確認呼称する。「起動異常アラーム無し! オールグリーンランプ確認! 起動シーケンス、スタート!」そしてセーフティーロックを解除、起動スイッチを押した。

 レンベルの融合炉が起動、高周波モーターの様な音が鳴り始める。


 ボビーは素早くモニターを見て各関節稼働部コア、ジェネレータ出力数値を確認する。


『アナ! とりあえずモニター情報表示はOKだ!』


「はい! 了解です。外部センサー診断問題無し! 融合炉起動異常無し! 出力安定制御異常無し!」

 アナが接続端末モニターを見ながら報告した。


『了解! じゃあ停止する。緊急遮断停止を行う。いいか!』

 ボビーはコックピット正面モニターを見ながらいた。


「はい、少し待ってください」

 そう言って、アナが接続端末キーボードを操作した。


「はい、大丈夫です。停止してください!」

 アナが答えると、直ぐにボビーはコックピットの緊急停止レバーを操作する。

 そしてレンベルのシステムは停止した。


「ボビー少佐! 正常に停止しました! 問題無しです」

 アナはそう言ってはーーっと息を吐いた。インカムからボビーの声がする。


『……アナ、今夜はまだまだ長い。ちょっと休憩するか。ミスしてもダメだからな』


「……す、すみません!」

 アナが答えると、しばらくしてボビーがコックピットタラップを降りて来る音がする。


「軽くなんか、腹に入れるか?」

 ボビーはアナの前に立ち微笑み尋ねた。


「ありがとうございます。ではそのように」

 アナはボビーに嬉しそうに答えると、ボビーは白い整備用繋ぎの前ファスナーを下ろして、アナの肩を優しく叩いて言う。


「さあ、行こう!」


「はい、軽くですよ。ガッツリはダメですよ」


「……!」

 そうしてボビーとアナの2人は整備ブロックの出入り口へと並んで歩いて行った。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 

これからも、どうぞよろしくお願いします。

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