北部戦線21 作戦準備1
ここは、北方戦線、エリー機動大隊現地配備、7日目午前中。
エリー大隊は、帝国特殊部隊の襲撃を受けてから60時間ほど経過していた。
エリー大隊は後方配置命令を受け、特別第三機動連隊へ編入配置になっている。
エリー達は国境戦線、強行偵察任務を終えて帰投して4時間ほど経過している。
帰投してから食事と仮眠をとてから連隊長の招集が掛かった。
ここは、特別第三機動連隊作戦室テント内。真剣な面持ちのジェーン連隊長が室内のメンバーを見つめて言う。
「参謀本部より作戦発動準備指示が出た。作戦名【春の訪れ】らしいのだが・・・・・・」
「作戦決行日時は、3日後の0500、帝国領バレット市郊外にて【天空の雷神】を発動する。尚、特三機動連隊は発動後のエリーの回収を行う予定だ!」
エリーは少し緊張した顔でジェーン連隊長を見つめて言う。
「発動前に避難勧告は出すのでしょう?」
「それはどうだろな、明日、作戦参謀がこっちに来る予定だが、詳細は作戦参謀が来てからだな」
ジェーン連隊長はエリーに近寄り肩を軽く叩く。
「心配か?」
エリーが不機嫌な顔をしてジェーンの顔を見る。
「当然です! 多くの命を奪う事になるのです! 使用すれば何十万人のいのちが消滅してしまうそんな恐怖が理解出来ますか!」
ジェーンはエリーから視線を外し入口方向を見て言う。
「軍人だからとか言うつもりはない! ここだけの話! 嫌ならやらないのもありなでは無いか? エリーしか【天空の雷神】は使えない、不調とか言って誤魔化せばな」
エリーは少し驚いた顔をしてジェーンの顔を見て言う。
「そう言う訳には・・・・・・、味方も動くので、今度は国軍の犠牲者が増える事になると思います。そして作戦の失敗もあり得ると・・・・・・」
ジェーンがエリーに顔を寄せ、耳元で呟く。
「私は、いま、お前の上官だ。責任は私にある。本来なら懲戒モノだが使用はお前が判断すれば良い・・・・・・」
作戦室には、ジェーン連隊長、エリー、ユーリ、反対側にトッド、セーヌ、特三第一大隊長の六人がテーブルに向かい合わせて座っている。
ジェーン連隊長が全員を見渡して言う。
「当然だが、極秘事項なので一切の情報漏れは許されない! 作戦終了まで秘密保持をよろしく頼みます!」
「連絡事項は以上だ! 他に何もなければ解散!」
トッドがジェーンを見て口を開く。
「私の立場ではどうかと思うのですが、今回民間人が多く犠牲になると思うのです。目的が北部戦線での帝国軍の瓦解なら【天空の雷神】を使うまでも無いかと・・・・・・」
ジェーンが立ち上がり視線を一旦エリーに向けてから戻し言う。
「トッドさんの言う事はごもっともですが、作戦意図は別にして、これは参謀本部の決定事項なので私ではどうにもなりません!」
トッドは椅子から立ち上がりエリーに近寄って言う。
「エリー少佐は軍人なのです。それは理解しなければなりません」
そう言って、トッドはエリーに微笑み掛けた。
エリーはトッドの微笑みに何か含みを感じる。
「はい、理解しています」
エリーはそう言って椅子から立ち上がりトッドの顔を見る。
「では解散で良いな!」
ジェーンが言うと全員立ち上がり集会は終了した。
入口に向かうエリーにトッドが近寄り呟く。
「エリー少佐少し話しませんか」
エリーはテントから出てトッドを隣にしばらく歩きながら会話をする。
「本来なら直前まで伝えなくても良い事を私たちに伝えたのですよ! ジェーン連隊長はエリー少佐に配慮したと思うのですが」
トッドがエリーの顔を見ながら言った。エリーは少し微笑みを浮かべながら頷き言う。
「そうですよね! そう言う事ですよね」
トッドがエリーの耳元で呟く。
「では、情報を帝国側に流します」
「はい、お任せします。でも大丈夫ですか?」エリーが心配そうトッドを見て言った。
「はい、大丈夫です! お任せ下さい! それでは早速手配致します」
そして、そばで待っていたユーリに何やら指示を出している。
トッドがエリーに再び近寄り敬礼して言う。
「ちょっと出てきます。何かあればユーリ少佐にお願いします」そう言いてトッドは去って行った。
エリーは少し安心した様な顔をしてユーリを見る。
「上手く行きますかね」
ユーリがエリーの手を取り言う。
「大丈夫です。トッドさんですから」
「そうですね! じゃあ朝食食べましょう!」エリーがユーリの手を引っ張り食堂へと向かった。
「また置いてけぼりですか!」
アンジェラの声がする。
「最近ユーリ少佐とばかり・・・・・・、私は除け者ですか」
エリーは戸惑ってアンジェラ見る。
「へーーっ! アンジェラ中尉とは一緒に出撃したばかりですよね?」
「違います。ユーリ少佐も一緒じゃないですか」
「説明しましたよね。ユーリ少佐は私の護衛担当者なんですよ!」
エリーが面倒くさそうに言うとアンジェラは瞳をうるませて言う。
「私はエリー少佐の何なのですか? 親友で心の友では無いのですか!」
エリーは少し意地悪そうな顔になってアンジェラを見る。
「アンジェラ中尉は心の友ですよ、でも・・・・・・、私の好きな人はユーリ少佐なのですからしょうがないでしょ!」
それを聞いたユーリが困った顔をしてエリーに言う。
「揶揄うのもいい加減にしてください。アンジェラ中尉が可哀想ですよ」
「アンジェラ中尉ゴメンナサイ。冗談だからね、朝食一緒に食べよう!」
そう言うとアンジェラの手を取って微笑み掛けた。
「アンジェラ中尉! どうです部隊のみんなになれました。いい人ばかりでしょう」
エリーが話し掛けるがアンジェラの機嫌は悪い。ユーリはエリーが悪いみたいな顔で見ている。
エリーが少し不気味な微笑みを浮かべて二人を見る。
「お出掛けしません! ちょっとバレット市行ってみませか?」
アンジェラとユーリが驚いた表情でエリーを見る。
「現地調査ですよ、ダメですか?」
ユーリが呆れた顔でエリーを見て言う。
「エリー少佐! ダメに決まってます!」
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