第199話 和平成立
2国間和平が合意成立した
2国間和平交渉会議7日目午後。
ここはエルヴェス帝国首都ルーベンス市郊外、エルヴェス帝国軍、皇帝派第1軍駐屯地。
エリーは皇帝護衛隊詰所会議室内で、護衛隊メンバーへエランからの通達連絡事項について話していた。会議室にいるメンバーはエリー、アンジェラ、ソアラ、ユーリ、ビア、ブラウン商会諜報部隊小隊長ブレイク、ブラウン商会傭兵部隊小隊長ビルトの7名だ。
「2国間合意が成立し、グラン連邦国との和平が成りました。今後は、グラン連邦国軍との共同作戦が行われることになります。といっても我々はすでにベランドルとの共同作戦を実施していますが。これによりこれからは、堂々とベランドル帝国内でもグラン連邦国軍として行動出来るということです。しかしながら我々はエラン陛下からは、今後もエラン皇帝護衛隊として活動してくれるようお願いされました。ハル局長も了承済みです。ですので、しばらく私は皇帝直属魔導士ローラ、そして皆さんもエラン皇帝護衛隊隊員としてお願いします」
エリーはテーブルを囲むメンバーを見渡し言う。
「話は以上です。何か質問はありますか?」
リサが椅子から立ち上がり真剣な顔をして言う。
「私はアンドレアからの派遣要員です。本来なら正式にエリー様の部隊に加わりたいのですが! 残念ながらそれは叶いません。本当に申し訳ありません」
ユーリが微笑みリサの顔を見て言う。
「リサさん、そんなこと気にしなくて良いでは有りませか。あなたはもう立派なエリー様の従者です」
そう言って、ユーリは椅子から立ち上がりリサのそばに寄る。
「……ユーリさん、ありがとうございます」
エリーもリサに近づき顔を見て微笑み言う。
「リサさん、よそ者じゃないよ! 私にとって大切な人だからね」
エリーはそう言ってリサの両手を優しくとった。
(リサさん……まだ精神的に安定してないのかな? 今夜少し魔力調整してみようか……)
リサは嬉しそうにエリーの手を握り締め微笑み言う。
「ありがとうございます! エリー様、そのようなお言葉に感謝致します」
テーブルの端に座り様子を見ていたソアラが隣のアンジェラに囁く。
「アンジェラさんは、エリー様と従者契約は結んでいないのですよね? なぜです」
アンジェラはソアラの耳元に口を寄せて囁く。
「それは、友として居たいと」
「……そうですか。なら私とどうですか。アンジェラさん、是非ともお願いします」
それを聞いてアンジェラはソアラの頬を両手で挟む。
(……何を!)
そうしてソアラの顔をむにゅうとして言う。
「何を言っているのですか? ソアラちゃん」
ソアラはアンジェラの両手を掴んで下へ下げる。アンジェラは微笑みソアラの顔を見ているが目は笑ってはいない。
「……ええ……理解していますよ。アンジェラさんは決して力を欲している訳ではないと」
ソアラはアンジェラの瞳を見つめて少し嫌な顔して言った。
エリーはアンジェラ達2人を見て口を緩める。
「ソアラちゃん、随分仲良くなった見たいね」
「はい、アンジェラさん優しく色々お世話してくださいますから」
エリーは直ぐに視線をビアに向けると言う。
「エルヴェスに関しては、2日で蹴りをつけろとのことです。護衛隊の指揮はビアさんにお願いします。ユーリさん、リサさんと私は別行動しますので、作戦行動は計画に基づき行ってください」
ビアは椅子から立ち上がり敬礼する。
「はい、ローラ様、了解致しました」
ビアに続いてブラウン商会諜報部隊小隊長ブレイクが立ち上がり頭を下げて言う。
「ビアさまのフォローはお任せください」
「ブレイクさん、よろしくお願いします」
エリーはそう言ってアンジェラとソアラを見て微笑み言う。
「アンジェラさん、ソアラちゃんはビアさんの指揮下でお願いします」
アンジェラとソアラは立ち上がり敬礼する。
「はっ! 了解致しました」
アンジェラは微笑みエリーに答えた。そしてエリーは全員を見渡して微笑み言う。
「それでは、抜かり無くお願いします」
そうしてビアと諜報部隊小隊長ブレイク、傭兵部隊小隊長ビルトは会議室から出て行く。
エリーはユーリとリサを見て言う。
「ユーリさん、リサさん、とりあえず今日は待機です。明日よりライオネルの諜報拠点を叩きます。今夜、サディさんが合流しますので詳細はその時に」
ユーリはエリーを見て頷き言う。
「今回あのサディさんを使うのですか。役に立つのですか?」
「まあ、当てにはなると思いますよ。ライオネルに関しては情報を持ってますからね」
エリーはそう言って棚から水ボトルを取り出してキャップを開ける。そして口をつけて一口飲むと言う。
「明日は忙しいので休養は十分にね。じゃあ、おやつの時間ですね」
エリーはふっと息を吐いた。そしてアンジェラとソアラを見て言う。
「アンジェラさんとソアラちゃんも一緒に行こうか! とりあえず出撃はないでしょう」
ソアラがエリーに近づき尋ねる。
「明日は忙しいそうですね! サディさん、ここに来るのですか?」
「ええ、来ますよ」
「あの人……あれ以来苦手です」
ソアラは嫌そうな顔をする。
「まあね。私も危うく突かれそうなったからね」
エリーはソアラの肩に手を回して言う。
「さあ、行こう! おやつの時間だよ」
そう言ってエリーとソアラが会議室から出て行く。少し遅れてアンジェラ、ユーリ、リサが並んで会議室から出て食堂へと向かう。
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