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第196話 エルヴェスの反乱2

エリー達は近衛兵達を圧倒するが

国間和平交渉会議7日目午前中。


 ここはエルヴェス帝国首都ルーベンス市、皇帝宮殿大広間。


 皇帝カールデンが条約同意内容について説明を終え、隣りに控えているニース大将を見て頷く。エリー達は少し緊張した顔をして視線を合わせた。

 大広間内入場時、銃火器類の持ち込みは制限されており、儀礼用の剣類以外は持ち込めなかった。そしてエリー達はもちろん持ち物検査を受けてこの場にいる。

 エリーは腰に軍刀と伸縮式の電撃棒ホルダーをつけている。今日のエリー達は皇帝護衛隊、第1種儀礼軍装を着用していた。黒色のジャケットに右肩にモール付き。黒色のフリッツスカート、黒いロングブーツを履いている。

 

(そろそろですね)


 エリーが隣を見るとビアがホルダーケースを開けて電撃棒に手を掛けている。そしてリサ、ユーリは戦闘に備え、すでに魔力量を高め圧縮、身体強化を図っていた。

 エリーは神眼を発動、左眼が朱色から赤色に変化する。そしてその感知した情報をユーリ、リサに伝心した。

(大広間周辺にはすでに1個中隊が展開してしていますね。突入は2個小隊程度でしょうか?)


 エリーは魔力量を上げて防御シールド展開準備をした。そしてすぐに完全武装した近衛兵が大広間入口から一気に突入して来る。中にいた官僚や有力諸侯が慌てふためき混乱状態lになった。近衛兵は大広間壁周辺に展開してライフルを構える。近衛小隊長が前に出て声を上げる。


「近衛師団長の命により、只今より、人民の敵! カールデン陛下! 閣僚を排除する!」


 そしてすぐに近衛小隊長は天井に向けて拳銃を発砲する。〈パン、パン〉銃弾は天井に当たり破片が飛び散る。


「おとなしく、我々の指示に従えば、対象者以外の生命は保証する! だから動かないよう」


 大広間の50人ほどの官僚、有力諸侯は動揺した顔で近衛将兵を見つめている。カールデンはニース大将が前に出て庇うように舞台の端に身を潜めている。エリー達4人は舞台寄りに移動して、カールデンに近づこうとする。


 近衛小隊長が声を上げる。

「全員! その場に身を屈めて座ってください! もしも、動いた場合、やもう得ず発砲しなけらばならないので! ご理解を! ベランドル帝国皇帝護衛隊の皆様は、こちらにお願いします!」


 そして慌てたように広間の諸侯や官僚達が座り込み、会場の舞台側に移動していたエリー達に視線が集まる。近衛小隊長が拳銃をエリー達に向けて声を発する。


「ベランドルのお嬢様方! 指示に従ってもらえませんか! 死なれては私が困るのです」


 エリーは神眼で視感して違和感を感じていた。魔導士対策としての人員がほぼ皆無なことに。通常、用心のために中級魔導士くらいは数人いてもおかしくない。だが反乱側近衛小隊には魔導士も魔導剣士もいないのだ。


 エリーは呟く。

「おかしい……!?」

 そしてエリーは直ぐにユーリ達に声を上げる。

「戦闘開始! 私はカールデン陛下を確保保護します。あとはお願いします!」


「はい! 了解です!」

 ビアが直ぐに声を上げ答えて、電撃棒を伸ばすと魔力を通して走りだす。そして壁に沿ってライフルを構える近衛兵を吹き飛ばした。すかさずユーリは反対側の壁際に飛び出すと凄まじいスピードで電撃斬撃を連続で放った。近衛兵達はなす術なく壁や床に吹き飛ばされて無力化されていく。

 

 ものの10秒ほどで近衛小隊の半数が戦闘不能となって近衛小隊長は目を見開いて、状況把握が追いついていない様子だ。単発的に近衛兵がライフルを発砲するがリサの適切な防御シールド展開により銃弾は無力化される。ユーリとビアは、華麗な太刀捌きで電撃棒を踊っているかの如く扱い残りの近衛兵を倒していく。


「キサマらは……ば、ばけもの……」


 近衛小隊長は、思考がやっと追いついて拳銃をユーリに向け発砲する〈パン、パン、パン〉

 その銃弾はリサの魔法防御シールドによってユーリの体に当たることなく床に落下した。そしてユーリが距離を瞬時に詰めて斬撃を放つと近衛小隊長は大広間の入口付近まで吹き飛ばされた。大広間にいたほとんどの人々は、その状況に驚きと恐怖の入り混じった表情を浮かべて見ているだけだった。


 エリーはすでに感知スキルで違和感の原因が何であるか理解していた。

(大広間周辺に! 爆発物が仕掛けられている!? 全員吹き飛ばすつもり? この感じだと反乱近衛兵達は知らない)


 そこにエリーの大声が響く。

「皆さん! 伏せて!」

 次の瞬間凄まじい電撃斬撃がエリーより放ったれ、その光の帯は大広間入口より突入しよとしていた新手の近衛兵達に命中し外側へ吹き飛ばした。あとに続こうとしていた、近衛兵達は恐怖で戦意を喪失、逃げだそうとするものも現れた。

(ここでモタモタ出来ない! 早く脱出しないと)

 

 エリーはそばで身を屈めているカールデンに言う。

「カールデン陛下! 長居は無用です! ここはかなり危険ですので、早く離脱を」


 ニース大将がカールデンを抱え起こす。

「ローラさま……予想以上でした。やはり間違いなく……」


 カールデンの言葉をニース大将が遮り言う。


「陛下、ローラさまの指示に」


「……あ」


 ローラは頷きカールデンに言う。

「何か仕掛けがありそうです! 早く出ましょう!」


 皇帝護衛隊に扮したブラウン商会特殊部隊員20名ほどが大広間周辺を制圧し、ユーリの指示で中の人達を外に誘導避難させていた。


 エリーは手を挙げてユーリに声を発する。

「ユーリさん! 急いでください!」


 そしてエリーはリサとビアに言う。

「……この人達は諦めてください!」


 ビアが悲しそうに頷く。

「……」


 リサがビアの手を強引に引いて大広間の入口へと向かう。周辺にはユーリ、ビアが倒した近衛兵達が倒れうめき声をあげていた。


 エリーはカールデン、ニース大将と共に急いで大広間出入り口から出ると、通路を隔てた宮殿聖堂の壁へ身を潜める。すでにユーリ、リサには従者伝心で爆発物の存在は知らせていた。


 エリー達が大広間を出てしばらくして。

〈ドカン、ドカーン、ドッカーン、ボン、ボン〉

 爆発音が辺りに響くと同時に破片が周囲に飛散する。

(結構な量を仕掛けたな! 時限式? 遠隔か? 最初から全員殺すつもりだった!?)


 爆発がおさまると、エリーは手を挙げてユーリを近くに呼ぶ。

「ユーリさん、護衛隊を率いてエルヴェス近衛師団本部を潰してください。私は一旦、カールデン陛下と一緒に郊外に脱出します。1個小隊で大丈夫ですか?」


「はい、ビアさん、リサさんがいるので問題有りません!」

 ユーリはエリーに微笑み答えた。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


これからも、どうぞよろしくお願いします。

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