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第187話 ソアラ誘拐

ソアラは誘拐される

  2国間和平交渉会議6日目夜。


 ここはべランドル帝国帝都ドール市、ドール城、来賓外交エリア。

 城内では晩餐会が開かれていた。


 ソアラはお手洗いを済ませ廊下に出たところで背後から声を掛けられる。

「ソアラ様……」


「……!? サディさん……」

 ソアラが振り返って見上げると目の前に皇帝侍女長のサディが微笑み立っていた。

(……サディさん、気配が無かった!?)

 ソアラは一瞬戸惑った顔をしてサディを見上げる。そして軽い痛みが走ると同時にソアラはその場にゆっくり崩れ倒れ込んだ。

(え……っ! なんで体に力が入らない……へ――っ! これって……)

 

  ソアラは直ぐに体を動かそうとするが、手足をまったく動かすことが出来ない。程なくして五感情報が全く無くなった。ソアラは肉体から精神体を切り離し魔道感知に切り替える。

 (なんで体が動かない? サディさんともうひとり誰かいるようだけど……)

 ソアラはもうひとりの女性侍女に抱えられて持ち上げられた。手足はダラリとなり頭は横を向き口からは涎が垂れ目は開かない。

「ソアラ様、大丈夫ですか?」

 サディ達侍女2人は、ソアラに声を掛けながら廊下を素早く移動する。そして廊下の突き当りで素早くソアラの手足にまず拘束リングを取り付けて体をシーツで包み隠す。


「とりあえず成功ですね。この台車に乗せましょう」

 サディがアルティに少し緊張した顔をして準備していた台車を指し示し言った。アルティは頷きソアラを包んだシーツを台車の箱の中へ慎重に降ろした。そしてサディが箱の蓋を閉める。

(……この2人、私が女神ローゼと知っている!? いえ……知らない? 気配や感情が上手く隠蔽しているから、かなりの手練だろうけど。でも、こんな人数で私を連れ去ると思っているの!? 舐められたものですね……しかし驚きました。こんなところに敵が潜んでいるなんて……ホント……エリーにはもっとしっかりしてもらわないと。……あと30分もあれば体も動くと思うのですが、まだ……)


 サディ達は台車を押して廊下を移動して城内荷材受入れエリア通路へと入っる。前をサディが歩き後ろをアルティが台車を押して移動する。移動する間、すれ違う者等は全くいなかった。見た目には侍女が台車で荷物を運んでいるようにしか見えない。

 

「それでは私は、持ち場に戻ります。アルティさま」

 

 ザディが笑顔で言うとアルティは頷く言う。

「あとは、まかせってください」

 そしてサディはすぐに慌てって通路を移動して去って行った。残されたアルティは周囲を警戒していると、通路を近衛士官が歩いて近づいて来る。


 近衛士官はアルティの前で軽く頭を下げる。そしてアルティのそばに寄って小声で言う。

「問題は無いようですね。輸送車両を荷材搬入口に待機させています。どうぞこちらへ」

 アルティは頷き近衛士官の後ろに続いて台車を押して歩き始めた。


 ◆◇◆◇



 ここはドール城晩餐会会場内。

 エリーはリサに近づき微笑み言う。

「ソアラちゃん、さっきから見かけないのですが」


 リサはエリーを見て頭を下げて言う。

「お手洗いだと思います。たぶん……ですが。見た訳ではないので」


「そう……おなかを壊す訳もないので、どうしたのかと思ってしまって」

 エリーがそう言うとリサが心配そうに言う。

「まさか誘拐とか……可愛いですからね。私探してきます!」


 エリーは少し戸惑った顔をしてリサに言う。

「リサさん、お願いします」


 リサはエリーに一礼すると直ぐにホールの出入り口からお手洗いのほうへ向かった。エリーもホール出入り口から廊下に出って入り口ドアの陰に身を潜める。

(ローゼ……何やってるの! どっか行くなら言ってもらわないと!)

 エリーは魔力を少量開放し周囲のローゼの魔道反応を感知する。

(……城内に居るようだけど? なんでそんなところに!?)

 

 エリーがドアの陰に居ると皇帝侍女長サディが目の前に現れる。

「ローラ様、どうされたのですか? このようなところに、ご気分でも……」

 

 エリーは微笑みサディの顔を見て言う。

「いいえ、ソアラちゃんがいないもので、探しっているのです」


 サディは少し間を置いて言う。

「ソアラさまなら、お手洗いに行かれるところをお見掛けしましたが、10分前くらいでしょうか」


「そうですか、ありがとうございます」

 エリーが答えるとサディは心配そうな顔をして言う。

「一緒にお探しします。申し訳ありません。ほかの侍女は晩餐会がありますので手が離せないのでわたくしだけですが」


「はい、ありがとうございます。いる場所はわかっているんです。急ぎましょう!」

 それを聞いてサディの顔が一瞬強張った。そしてエリーはすぐに駆け出す。エリーの隣にすぐに並走するとサディがエリーに問い掛ける。

「場所がわかっているとはどういったことですか?」


「だって私の可愛い配下ですからね。どこにいてもわかりますよ」

 エリーはそう答えてサディを見て少し驚いていた。皇帝侍女長サディ、出来る女性とは知っている。だがエリーは普段修練して体を鍛えているし魔法で身体強化も出来る。エリーはかなりの速度で走っていたそれに付いて来ていたのだ。

(えっ……! 付いて来てる!? サディさん! やはり皇帝侍女はレベルが違うのですね)

 エリーは隣のサディを見て微笑んだ。サディはそれを見て顔を曇らせた。


(……ローラ様は知っている? 甘く見すぎたのか!? どうする?)


 そう考えている間にエリー達は荷材搬入エリアに到着した。そして搬入口付近には輸送車両が1台見えた。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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