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和平交渉 184話 不穏な空気

エリー達はエルヴェス帝国の不穏な情勢について確認する

 2国間和平交渉会議6日目午後。


 ここはべランドル帝国帝都ドール市、ドール城、エリーの居室内。


 エリーはテーブルを挟みソファーに座りだらけた顔でリサの報告を聞いていた。隣にはソアラが少し機嫌の悪い顔をしている。リサの隣にはユーリが座り目を細めてなにか考えながらリサの話を聞いていた。


 エリーはテーブルの上のクッキーを一枚取って口に運び目を閉じる。

「それはクーデターを企んでいる輩が、行動を起こそうとしていると!?」

 エリーはモグモグしながら言った。それを見てソアラはエリーの口に手を添える。

「ローラ様! 食べ終わってからしゃべってください」


「あっ……ゴメン」

 エリーは紅茶カップを取ってソアラの手を押し除ける。

「カールデン皇帝は国内ではまだまだ危うね。この機に反対勢力は一掃するのがそれが理想的だけど? どうなのユーリさん」

 ユーリは目を細めてエリーを見る。

「……タイミングが早いですね。確かにカールデン陛下の統治力は以前から問題はありました。ですが、ここまで具体的に動き出すとは少し驚いています。申し訳ありませんが諜報は準備はまだ十分では有りません」


 リサは少し遠慮気味にユーリを見て言う。

「エルヴェス国内に、配置しているアンドレア諜報魔道士には緊急事態指示を出して行動させています。もし直接行動されるのならバックアップは出来ます」

 エリーはリサを見て微笑み尋ねる。

「はい、了解しました。暗殺目的はカールデン陛下とニース大将の2人で間違いないのですね?」


「はい、間違いなく。企んでいる主要貴族から複数情報が上がってきています」

 リサは直ぐに答えた。そしてエリーは隣のソアラの頭に手を伸ばして撫でながら言う。

「何処かの国がちょっかいを出してますね。こんなに急に動き出すのは不自然です。そして反皇帝派には大した主導するような人物もいないのに……」


「ジョルノ共和国……? 前回の問題もあるし」エリーはリサに機嫌の悪い顔をしてたずねた。

「いいえ、違います。……ライオネルです」

 リサは少し戸惑った顔をしてエリーを見て言った。そしてエリーはリサの顔を見て思った。

(えっ……なんかガッカリした感じなんだけど!? 私……全知全能神じゃあないよ! 女神だけどすべてを見通せるわけじゃないだよ……)

 エリーはリサを見て微笑み言う。

「ライオネルは他国に手を出すほど余裕はないはずですが。それにべランドル帝国とは友好関係ですよね」

 リサは真顔でエリーの瞳を見つめる。

「ありていに申せば、面白くないのですね。自国が置いて行かれるとの恐れを懸念しての行動かと思われます」


 エリー隣のソアラがエリーを見上げて言う。

「ローラ様……世界はあなた様が考えるほど単純ではないのですよ」

 エリーは力を入れてソアラの髪を指でとかしながら言う。

「……わかっているよ! 過ちは繰り返さないよ」

 ソアラはエリーの手を掴み少し機嫌の悪い顔をした。

 

 リサはエリーとソアラを見て微笑み言う。

「随分と仲良くなられたようですね。最初の距離感が全然違って……」

 リサは一旦言葉を区切って話を切替える。

「カールデン陛下の前回の申し入れも、国内の不穏な空気を感じてのこともあると思います。今回の回答にガッカリされてはいませんでしたか? べランドル帝国の庇護下に入る目的が拒否されたのですから」


「そうでもないよ。そう簡単ではないとカールデン陛下だってわかっていたと思うよ」

リサが少し間を置いてから言う。

「べランドル帝国の力を利用して国内の安定化を図る。カールデン陛下の国内基盤は脆弱ですからね。だからうまく近代化が行かなかったのです」

 エリーはソアラの肩に手を回して抱き寄せる。そして耳元で囁いた。

「ソアラちゃん……カールデン陛下が啓示があったとか言ってたんですけど……今回の件、関与してるよね!?」

 ソアラは頷きエリーの手を剥がそうとする。

「……やっぱり……」

 エリーはソアラの腰に手を回して強引に抱き寄せ言う。

「2人でもう少し話そうか!」

 ソアラは嫌そうな顔をして言う。

「え……はい、了解しました」

 ユーリは2人を見て怪訝そうな顔をする。

「ローラ様……ソアラちゃんが嫌がっていますが? 何か問題ですか」

 

 エリーはユーリを見て微笑み答える。

「ソアラちゃんね。ローゼ様の連絡係なのにちゃんと伝えてくれないんだよ。大事なことを……だから2人で話そうて言っただけだよ」

 その言葉を聞いて一旦、ユーリとリサは顔を見合わせてからソアラの表情を伺う。ソアラは少し戸惑った顔をして言う。

「……別に隠していた訳では有りません!? お二人ともそんな顔をしないでください」


 ユーリはソアラに厳しい口調で言う。

「ソアラちゃん! ちゃんとしないとダメですよ! 大事な時期なのですからね」

 ソアラは少し悲しそうな顔をしてユーリに上目遣いで言う。

「ユーリさま……ゴメンナサイ……悪意は無いのです。ただ伝え忘れただけなのです。責めないで……」

 

 リサはそれを見てソファーから立ち上がり声を上げる。

「ユーリさん! それぐらいで勘弁してあげてください! ソアラちゃんが可哀想です。もう十分反省してます」

 ユーリはソアラを見てハットして顔を顰めて言う。

「いいでしょう! 今回は大目に見ます。ローラ様に迷惑を掛けないよう! 今後注意してくださいね」

 そう言ってユーリはソアラの肩に手を伸ばし軽く触った。ソアラは頷き言う。

「ユーリさま……ありがとうございます……」


 エリーは顔を緩めて言う。

「ソアラちゃん可愛いからみんな許してくれたよ! よかったね」

 ソアラは少し嫌な顔をしてエリーを見る。


「それじゃあ! ソアラちゃん! 2人で話そうか! ユーリさん、リサさん、悪いけど席を外してもらえますか」


「はい、了解致しました」

 ユーリとリサは一礼すると部屋から出て行った。ドアが閉まるのを確認してエリーはドアの施錠をする。そしてソアラのほうを向いて言う。

「それじゃあ! ローゼ。話してもらいましょうか!」

 

 ソアラは少し嫌な顔をして言う。

「エリーは全てを知りたいのですか? 知らなくても良いことも有るのですよ。あなたは元来めんどくさい事は嫌いだったはずでしょう! ……まあ確かに……昔のように仲違いは出来ませんからね。謝りますよ! カールデンに夢の啓示を与えたのは確かに私です。カールデンはルーベンスの血統因子を持っていますからね。あなたが作用すれば覚醒することも考えたのですが……そうはなりませんでした」


 エリーはそれを聞いて寂しそうな顔をする。

「……ルーベンス……そうか」


 ソアラはエリーの肩に手を優しく添えて言う。

「エリー……思い出したの」


「……」


「エリー、あれはしょうがなかったのです。あのままでは……」エリーはソアラの口に手を添えて言う。

「いいよ、ローゼ。もう昔のことだよ。それより今の話をしよう」

 エリーはソアラの瞳を見つめて微笑んだ。

 

 

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます! これからも、どうぞよろしくお願いします。

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