表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
197/445

和平交渉 第183話 友達としてなら

 2国間和平交渉会議6日目昼。

 ここはべランドル帝国帝都ドール市、ドール城、来賓の間。


 エリーはエランの隣に座りエルヴェス帝国との昼食会に参加していた。そしてエリーは着席序列に違和感を覚えつつも目の前の食事を堪能していた。テーブルの反対側にはニース大将が座りエリーに頬んでいる。

(良好な関係を構築する……。しかしながらカールデン陛下苦手なんだよ……)

 エリーはそう思いながら食事をしているとカールデンがエリーに声を掛ける。

「大魔導士ローラ様! おりいてお話しをしたいのですがよろしいでしょうか?」

 エリーはカールデンに視線を向けて一礼すると言う。

「カールデン陛下、私ごときにお話しとは、ここではお話し出来ない事でしょうか?」


「はい、前回の申し入れの回答をお伺いしたいのです」

 カールデンが答えるとエリーはエランのほうを見て言う。

「エラン陛下! よろしいでしょうか」


 エランはエリーを見て微笑み言う。

「ええ、良いわよ。私も一緒でお願いしますね。だって私の大事なローラを誑かされたらたまったものではありませんからね」

 カールデンは、一瞬顔を痙攣らせてからエランを見て無理に笑顔を作る。

「はい、それはもちろんのことです。エラン陛下にも有益なお話しであると思います」

 エランはカールデンを見て目を細めて言う。

「カールデン陛下! それではよろしくお願いします」

 カールデンは隣のニース大将に何か呟いてからエリーに視線を移して言う。

「それでは食事会が終わりましたら、よろしくお願いします」

 エリーは頭を下げて言う。

「はい、了解致しました」

 そうしてエリーは、スープを口に運び食事を再開した。


 ◆◇◆◇


 エリー達は来賓別室へ移動していた。部屋には6人掛けのテーブルにエラン、エリー、反対側にカールデン、ニース大将が座っている。

 エリーが口を開く。

「カールデン陛下! 前回の申し入れの件……、お断り致します」

 カールデンは顔を強張らせてエリーを見る。

「それは我々が役に立たぬと……」


 エリーは直ぐに椅子から立ち上がり微笑みカールデンに右手を出す。

「役立たぬ! そのような事は一切思っておりませんよ。カールデン陛下! 私を友人として協力してもらえれば十分です。それにカールデン陛下は国内を掌握しきれていないにですよね。信頼出来る臣下が少ない。私が陛下に協力してエルヴェスをまとめ上げませんか!?」


 カールデンとニース大将は顔を見合わせてからカールデンは立ち上がる。

「ローラ様……? どう言った。友人とは」


「ですから対等な友人としてです。私は、今! 人間です。女神セレーナでなく、ローラ•ベーカーとしてあなたの友人になると言っているのです」

 エリーはカールデンの手を取り握り微笑む。

「私はあなたをカールデンと呼ばせて頂きます。私はローラとお呼びくださいね」

 カールデンは顔を緩ませてエリーを見てから声を上げる。

「はい、そうですね。今は! それで十分です」

 エランが少し戸惑った顔をしてエリーを見ている。エリーはエランのほう見て微笑み言う。

「エラン陛下。これでよろしいでしょう」


「えっ! うん……!? 友達からってことね」エランが答えるとカールデンはエリーを見て顔を緩めて言う。

「エラン陛下は、やはりローラ様の姉君様ですなのですね」

 エランはカールデンを見てため息を吐き言う。

「公然の秘密です!? 口にする事は謀られる事です。思っても心のうちと留め置く」

 カールデンはエランに頭を深く下げる。


「お許しください! 今後気をつけまので」


 エランは椅子から立ち上がり微笑み言う。

「まあ、良いけど……、ローラをよろしくお願いしますね。カールデン殿!」


 カールデンはエランに再度、頭を下げる。

「はい! お役に立てるよう頑張ります」


 エランはエリーの肩に手を触れる。

「ローラ。話しは終わったわね。じゃあ紅茶タイムにしますか?」

 エリーは頷き移動すると受話器を取って言う。

「要件は終わりました。紅茶セットをも願いします」


 エリーは受話器を置いて席に戻るとカールデンを見て言う。

「カールデン。よろしくね」

 カールデンは顔全体を緩めてエリーを見て言う。

「ええ……、よろしくお願いします。ローラ様」

 エリーは少し目を細めて言う。

「友達!? でしょう。ローラで良いですよ」


「……ローラ……」

 カールデンは恥ずかしいそうに言った。

「……カールデン陛下、なんか付き合い始めのカップルみたいですね」

 隣にいるニース大将が笑いをこらえながら言った。カールデンは少し機嫌の悪い顔をする。


 エリーはカールデンの顔を眺める。視線に気づきカールデンが嬉しそうな顔をするとエリーは言う。

「帰国時に同行させて頂きたいのですが。カールデン良いからしら?」

 カールデンはエリーの瞳を見つめ頷き答える。

「ローラ……!? もちろんだよ。私に興味を持ったのですね」

 エリーは一瞬、嫌な顔をして直ぐに笑顔で言う。

「行ってみたい場所があるのです。カールデンにも同行してもらえれば良いのですが」


 カールデンはエリーの手を取り言う。

「もちろんです。喜んでお供します」

 エリーは視線を逸らして言う。

「ありがとうございます」

 そうして来賓室のドアがノックされる。エランが答えると侍女1人とソアラが入室して来た。

「失礼致します。紅茶をお持ちしました」

 侍女は深く頭を下げる。紅茶セットワゴンをテーブル横につけると、手際よくカップに紅茶を注ぎテーブルにカップを並べる。そしてケーキの入った皿を並べると、侍女は深く頭を下げて。「失礼致します」

 そう言って部屋から出て行った。

 1人残ったソアラが深く頭を下げる。

「魔道士ローラ様付き、ソアラ•アルベインと申します。カールデン陛下! よろしくお願い致します」

 カールデンはソアラを見て言う。

「そのお歳でローラ様付きとは……かなりのものなのですね!?」


 ソアラはカールデンに微笑み答える。

「はい、ローラ様には及びませんが、それなりに」

 そうしてソアラはエリーのそばに寄った。


 


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ