和平交渉 第182話 大陸情勢3
2国間和平交渉会議6日目午前中。
ここはべランドル帝国帝都ドール市、ドール城
エリーは皇帝護衛隊重装機兵整備エリアにいた。レンベルTYPEⅡの足元で、システム端末を見ながらブラウン商会技術官と話をしている。
ソアラが隣の椅子に座り技術マニュアルを見ている。
「ローラ様、凄いですね。この短期間でこれだけのものを作りあげるとは、驚きですね」
技術官がソアラを見て怪訝そうな顔をすると、エリーは技術官を見て微笑み言う。
「この子、こう見えて基礎技術知識は習得しているので、あなたと十分話せるレベルには有りますよ」
技術官は戸惑い言う。
「ソアラ様、失礼致しました……。魔道士だと思っていたので、理解出来るはずがないと。申し訳ないです」
ソアラはそれを聞いて技官を見て微笑み言う。
「ええ、結構です。いつも私は侮られます。気にしていませんから」
そう言ってソアラはエリーを見て言う。
「エルヴェス皇帝が訪問されているようですが、よろしいのですか?」
エリーは嫌な顔をしてソアラを見る。
「あゝ、昼食会までは来なくて良いて、エラン陛下から言われているからね」
ソアラはエリーに近づき囁く。
「ローラ様、お伝えしたい事が有ります。2人きりで」
エリーはソアラを見て言う。
「良いよ。コックピットへ上がる」
そして技術官にエリーは言う。
「ソアラちゃんに説明するからコックピットへ入ります。調整は今日は終わりにします」
技術官は一礼する。
「はい、了解致しました」
エリーとソアラはレンベルTYPEⅡの搭乗タラップを上がりコックピットへ潜り込む。エリーはサブシートに座り、ソアラはパイロットシートに座った。ソアラはシールド安全装置を外しシールド開閉ボタンを押した。コックピット内にアラームが鳴り響き、シールドがゆっくり閉まっていく。
ソアラはシステムを確認して全てオフにする。コックピット内は非常灯が点灯しているだけで薄暗い、
「エリー、神の目を知っていますか? アクセリアルの対地監視システムの事ですけど……」
エリーサブシートから上体を起こしソアラの肩越しに顔を出して言う。
「遥か天空から地上を見る事が出来る機械装置のことですか?」
ソアラは頷き言う。
「そうです。それは数は少ないのですが。厄介な代物です。地上のあらゆるものを把握出来るようです」
エリーはソアラの肩に顎をのせる。
「でえ、対抗策はあるのでしょう。ローゼ」
「ええ、もちろん有りますよ。女神の鉄槌と呼ばれる武器がエルヴェス帝国内に秘匿して有ります。ですからわかるでしょう。エリー」
ソアラが淡々と答えた。エリーはソアラの肩に顎を乗せたまま言う。
「エルヴェス帝国は今後重要だね。皇帝とは親密な関係を構築するよ。自由にエルヴェス国内で行動出来るようにしないとね。それで女神の鉄槌てどんな武器なの?」
ソアラはエリーの手を握るとイメージをエリーに送る。エリーは一瞬驚いた顔をする。
「これは凄い! これなら対応出来るね。でもこれってだいぶ時間経ってるけど大丈夫なの?」
「ええ、確認は必要です。大丈夫だとは思うけど……」
ソアラは頷き呟いた。
「早急に確認しないとね」
エリーはソアラの肩を両手で揉みながら言う。
「なんとなく……、私、過去の記憶が部分的に欠落しているんだけどね。ローゼ何か知らない?」
ソアラは首を横に振る。
「さあ、知らない」
「そう……、なら良いよ」
エリーは身を乗り出してソアラの顔を見て言う。
「じゃあ、昼食会へ行こうか」
そしてソアラはセーフティロックを解除してコックピットシールド開放ボタンを押す。コックピット内に警報が鳴り響き、ゆっくりとコックピットシールドが開放されていく。
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