和平交渉 第175話 ブライアン魔導師団長
エリーはブライアン魔導師団長と面談する。
2国間和平交渉会議5日目午前中。
ここはアンドレア共和国首都ニュードレア市、大統領府内執行部エリア。
エリー達3人は来賓室に通されブライアン魔導師団長を待っていた。エリーはテーブルに置かれた紅茶カップを手に取り口に運ぶ。リサは昨日の様子と変わってニコニコしてえらく機嫌が良い。エリーはリサを見て昨日の様な魔力の乱れも治ったので安心していた。
部屋のドアがノックされて声がする。
「ブライアン参りました!」
ドアが開きブライアン魔導師団長が入室して一礼する。
「エリー様! ご無沙汰です。お会い出来て嬉しい限りです」
エリーは直ぐに立ち上がり深く頭を下げて言う。
「この度はご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」
ブライアン魔導師団長はエリーにそばに寄って言う。
「いいえ、迷惑などと……、こちらには願っても無いことですから。謝罪を受ける覚えはございません」
そう言ってブライアン魔導師団長はエリーを見て笑みを浮かべる。
(聞いていた話と違いますね? ブライアン魔導師団長どうされたのでしょう)
エリーは直ぐに言う
「ブライアン閣下とお二人だけで、話をしたいのですがよろしいでしょうか?」
ブライアン魔導師団長はエリーを見て嬉しそうに言う。
「はい、了解しました」
ブライアン魔導師団長は秘書官に言う。
「リサさんとお付きの方を別室へ」
秘書官は一礼するとリサとソアラを別室に案内して来賓室を出て行った。
ブライアン魔導師団長はエリーを見て言う。
「念のため魔導結界を展開しますね」
ブライアン魔導師団長はエリーを見て言う
「どうぞお座りください」
エリーは一礼して椅子に座って言う。
「アンドレアの情報にはいつも助けられています。ありがとうございます」
ブライアン魔導師団長はエリーを見て微笑み答える。
「いいえ、エリー様のお役に立てれば光栄です。まあ、私個人としてはリサさんの件は残念ですが、アンドレアにとってはプラスですから気にする必要はございません。一部文句を言っている教団元老もいますが。問題ありません」
ブライアン魔導師団長がエリーの顔を見て少し間を置いて言う。
「あのソアラさんですか、エリー様お気に召さないようですが? 警戒していますね。何故ですか?」
エリーは嫌な顔をして言う。
「ええ、私の部隊の連絡要員なのですか、なんとなく嫌な感じなのです。信用出来ない感じなのですよ」
ブライアン魔導師団長はエリーの言葉に頷き言う。
「そうですか。私の見立てでは実力はかなりのものだと思います。魔力の隠蔽にも長けている様ですね。洗礼前のリサさんを上回るレベルはあると思います」
エリーはブライアン魔導師団長を見て言う。
「やhりそうですよね。何故? 私に隠避する必要が有るのかですよね。何か悪巧みでも有るのでは無いかと勘ぐりたくなります」
エリーはそう言ってブライアン魔導師団長を見て苦笑いする。
「アンドレア諜報で探ってみます。しかしどうでしょうか? 信用出来ない配下を連れて動くというのは」
ブライアン魔導師団長が少し遠慮して言った。
「今は、とにかく戦力が欲しいのです。味方ならなんの問題も無いんですけどね。実力を隠蔽しているのが気に掛かるにです」
「了解しました。こちらもエリー様の諜報部隊の人員に関しても調査してみます」
エリーは安心した顔をしてブライアン魔導師団長を見て言う。
「ありがとうございます。さすがリサさんの師匠ですね。頼りにしております」
ブライアン魔導師団長は顔を緩ませてエリーに一礼して嬉しそうに声を上げる。
「お任せください! ご期待に応えてみせます」
そしてエリーはふっと息を吐きブライアン魔導師団長を見て真剣な顔をする。
「ベルニスで回収した例のものですが、何かわかりましたか?」
ブライアン魔導師団長はエリーを見て言う。
「はい、間違いなくアクセリアル製です。一体で戦闘力は一個小隊ですね」
エリーは嫌な顔をする。
「今の歩兵銃で対抗できますか?」
「無理ですね。特殊弾が必要です。破壊出来ないことは無いのですが。これが大量に有るとなると厄介です」
ブライアン魔導師団長が答えるとエリーは直ぐに言う。
「これは同等の兵器が必要ですね。しかし間に合うかどうか? お父様に相談してみますが、量産化は難しいと思います」
エリーが言うとブライアン魔導師団長は言う。
「エリー様のお乗りのレンベルの技術転用ではダメなのですか?」
エリーは少し寂しい顔をする。
「ええ、無理ですね。とりあえず技術工廠に急ぐようには伝えます」
「それでは、ブライアン閣下よろしくお願い致します」
エリーは一礼して部屋から出ようとするとブライアン魔導師団長がエリーを見て言う。
「美味しい昼食を準備致しますがどうですか?」
エリーは残念そうな顔をして言う。
「本当は昼食を食べたいのですが、申し訳ありません……。エラン陛下との約束があるので」
エリーは再度頭を下げて言う。
「それでは失礼致します」
そして来賓室から出て行った。
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