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和平交渉 第173話 リサの魔力

 2国間和平交渉会議4日目夜。

 ここはグラン連邦国首都べマン市、ブラウン家3階エリーの寝室。


 エリーの寝室には、まだ洗礼から回復していないリサがベットに座り虚な目でエリーを見ている。

「一晩寝れば明日の朝にはある程度は制御出来るでしょう」

 エリーがそう言うとリサは軽く頷いた。エリーの隣にはソアラ中尉が座り心配そうにリサを見ている。ソアラにはリサは疲労で体調を崩しているとエリーは説明していた。まさか洗礼よって魔力量が増大して不調などとは言える訳がない。


 ソアラがリサを不安そうに見ながら言う。

「リサ様は、アンドレアの特級魔道士と聞いておりますが、ここまで蠢くような膨大な魔力量をお持ちとは驚きました。疲労で制御がままならず苦しまれているようです。私などが申し上げるのもなんですが……、魔力量に対して魔法制御が上手くいって無いようですが?」


 エリーはソアラ見て微笑む。

「大丈夫だよ。リサさんは明日には元通りだよ」

 そう言いながらエリーは思っていた。

(さすがヨハネス中佐の選んだ人材だね。魔力量も流れも見えているんだ。ソアラ中尉、只者では無いようですね。ここで洗礼の詳細を漏らす訳にはいかないもんね。でも誤魔化せるか?)


「ソアラさん、寝室に戻って寝てください。明日は出発しますからね」

 エリーはソアラ中尉に寝るように即した。ソアラはエリーの顔を見て困った表情をして言う。

「私は、お邪魔なのですね。了解致しました。それでは失礼致します」

 ソアラ中尉はエリーに一礼すると寝室から出て行った。エリーはドアが閉まるのを確認すると感知スキルを発動して周囲を確認した。エリーはソアラ中尉を警戒していて念の為周囲に魔力障壁を展開する。

「リサさん、魔力制御を上手く出来るように調整しますね。しばらく気持ちを楽に穏やかにしてください」

 エリーはそう言ってリサの手を取り魔力をリサに通し始める。エリーはリサの中へ意識を集中してリサの中に構築した魔道回路を少しづつ調整して行く。

「これで随分流れは良くなるはずです」

 エリーはそう言って深淵のセレーナの意識とリサの意識を繋ぎ、リサの深い部分に入り込み女神スキルを刻んでいく。

 リサは意識朦朧とした様子でエリーにもたれ掛かり動かなくなった。

 エリーはリサを支えてゆっくりベットに寝かせてシーツを掛けた。

(思った以上に反動が大きかった。リサさん……、魔力耐性が低いのか? 特級魔道士だしそんなことは無いはずだけど)

 エリーはそう思いながらリサの寝顔を見て言う。

「セレーナどうかな? 大丈夫だよね」

 エリーの深部から感覚的にイメージが上がって来る。

(あゝ、とりあえず大丈夫だ。この娘しばらくはキチンと様子を見てやれよ。お前の責任だ)


「うん、わかってる! 面倒はちょんと見るよ」

 エリーは呟きリサの隣に潜り込み寝る体勢に入る。


 ◆◇◆◇


 ここはべランドル帝国帝都ドール市、ドール城宰相執務室。


 執務机に座り詳細を確認してマーク宰相は頷き言う。

「ハリーさん、ご苦労様です。問題無いですね」

 ハリーは微笑みマーク宰相を見る。

「明日は仮調印です。よろしくお願い致します」


 ミリアが椅子から立ち上がりマーク宰相を見て言う。

「マーク閣下それでは寝室に参りますか?」


 マーク宰相は少し疲れた顔をしてハリーを見る。

「マーク閣下……、どうされました?」

 ハリーが書類を片付けながら言った。マーク宰相がハリーに近寄り小声で言う。


「ええ……、最近夜が大変で。ジェーン様はどうなのです。夜の営みとか……」


 ハリーは少し戸惑った顔をしてマーク宰相を見る。

「あゝ、普通ですね。ああ見えて夜は受け身ですね。お互いに気が合えば自然な感じで」


 マーク宰相は、はーっと溜め息を吐くとミリアを見て言う。

「ミリア、先に帰っておいてくれ。私はハリーさんと少し話してからにするから」

 それを聞いてミリアは微笑ハリーに一礼して言う。

「ハリーさん、お疲れ様です。ではお先に失礼致します」

 そして執務室から出て行った。マーク宰相はドアが閉まるのを確認してソファーに移動して座った。

「ハリーさん……、若くて羨ましいと思いますか?」

 ハリーは少し考えてからマーク宰相を見て答える。

「ミリアさんは若くて綺麗だとは思います。性格は存じませんが、周囲に感じる雰囲気は悪くは無いですね。まあ、毎晩せがまれてご苦労されているようですが、それはお互いに話し合いするしか無いと思います。マーク閣下も重要事項が控えております。ミリアさんには嫌なら嫌と伝えなければいけませんね」

 マーク宰相はハリーの顔を見て嫌な顔をする。

「最初は……、おとなしく可愛い娘だと思ったんだよ。それが今では……、決してミリアが嫌いな訳では無いんだが。私はたぶん疲労が蓄積しているだろうな。私を喜ばせようと色々してくれるのだがね。それが毎夜続くのだよ」


 ハリーは微笑み言う。

「良いでは有りませんか。ジェーンとはたまにしか会えないので寂しいものですよ。嫌ならハッキリ言うしかないですね」

 そう言ってハリーはマーク宰相に一礼すると執務室から出て行く。ひとり残ったマーク宰相は溜め息を吐く。そしてソファーから立ち上がると照明を消して執務室から廊下に出る。ドアの施錠をするとミリアの待つ居住エリアへと向かうのであった。

 


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!

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