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和平交渉 第171話 ブライアン魔道師団長

ブライアン魔道師団長はリサ少尉の魔道反応消失に慌てる。

2国間和平交渉会議4日目午後。

 ここはアンドレア共和国首都、ニュードレア市、大統領府内。


 ブライアン魔道師団長は嫌な顔をして秘書官を見て声を上げる。

「べマンで何か大事が起こっているようです! 詳細を報告してください!」

 ブライアン魔道師団長の声に驚いて、椅子に座っていた秘書官は立ち上がり一礼すると部屋から出て行った。

 部屋には事務官が2人いたが椅子から立ち上がりブライアン魔道師団長を見て事務官が声を上げる。

「グラン連邦国には不穏な兆候は確認されておりませんが? ブライアン様どうしたのですか急に」

 ブライアン魔道師団長は事務官を見て顔を強張らせて答える。

「エリー様付きのリサ•ヒューズ少尉の魔道反応が消失したのです! 私は彼女に万が一の時はエリー様の盾となれと指示していました。リサはエリー様そばに居るはずです。ですから……、不測の事態が発生したと言うことです! わかるでしょう」


 事務官は動揺してブライアン魔道師団長に言う。

「つまりリサ少尉は死亡したと言うことですか? しかしリサ少尉はかなりの魔道士ですそう易々と……、それにエリー様がおられるのにそのようなことはまず考えられません」


 ブライアン魔道師団長は聞き流すように事務官に指示を出す。

「帝国のレベッカさんに至急繋いでください。ハル閣下に確認をしてみます」


 事務官は直ぐに受話器を取って連絡をする。もう1人の事務官も受話器を取って関係各所に確認を取っている。ブライアン魔道師団長は執務室の窓の外を眺めて呟いた。

「まさかと思いますが? しかし有り得ないですね……。リサはまだ若い」


 事務官からブライアン魔道師団長を呼ぶ声がする。

「ブライアン様! レベッカ様と繋がりました。そちらへ回します」

 ブライアン魔道師団長は頷き執務机の受話器をとった。

「申し訳ありませんね。緊急事態があったものでハル閣下に確認をお願いしたいのです」


 受話器の向こうからレベッカの声がする。

『はい、ご用件を承ります。ブライアン様』


「ええ、実はエリー様お付きのリサ少尉になんらかの問題が発生しているようなのです。それで急ぎ確認をお願いしたいのですが」

 ブライアン魔道師団長は少し慌てたように言った。

『はい、了解しました。詳しい内容は電話でなく専用暗号回線でお願いします』

 レベッカの声はやや機嫌が悪かった。


「あゝ、そうだね。直ぐに専用回線で連絡をします」ブライアン魔道師団長は慌てたように言った。


『ではお待ちしておりますので、一旦切ります』

 レベッカはそう言って電話を切った。

 ブライアン魔道師団長は自分が慌てていた事に気付きふっと息を吐いた。そして事務官に言う。


「通信室に行ってきます。何か連絡があったら通信室に回すようにお願いします」


 ブライアン魔道師団長は執務室を飛び出して行った。


 ◆◇◆◇


 ここはグラン連邦国首都べマン市、首都防衛隊基地内、エリー大隊本部建屋内。


 エリーは重装機兵整備エリア内でアナ技術少尉と打合せをしていた。そこにヨハネス中佐が寄って来た。表情は冷静を装っているが、感情は乱れているんがわかった。エリーが声をヨハネス中佐に掛ける。

「急用ですか?」

 ヨハネス中佐は直ぐにエリーを見て答える。

「はい、ハル局長に至急連絡をお願い致します」

 エリーはアナ技術少尉に手に持っていたファイルを渡して言う。

「アナさん、ちょっと行って来るね。調整はさっき言ったようにお願いします」


「はい、了解しました。あとでエリー中佐、確認してください」

 アナ技術少尉はそう言ってラムザⅣの機体端末へ向きを変える。エリーはヨハネス中佐と一緒に整備エリアから移動して管理エリアへ入っった。通路をしばらく進むと諜報分析室と入口に書かれた部屋に通される。中には30人ほどの将兵がいる。エリーが入室すると仕事をしていた将兵が一斉に立ち上がり敬礼する。エリーは一瞬驚いてから敬礼して言う。


「ご苦労様です。仕事を邪魔して申し訳ありません」

 1人の士官がエリーに嬉しそうに声を上げる。

「何をおしゃっているのですか! 我々全員エリー中佐に直接お会い出来るなど、光栄の極みです」


 エリーは嫌な顔をして士官を見て言う。

「私をそのような言葉で持ち上げないでください。勘違いしてしまっては困ります」


 士官は直ぐに言う。

「私は、エリー中佐のこれまでのご活躍を承知しております。決して冗談を申し上げている訳ではありません。それにヨハネス中佐はエリー中佐の配下に配属されたことを大変喜ばれ、毎日、エリー中佐の話を聞かされております」


 エリーはヨハネス中佐を見て言う。

「本当ですか? 話とは……」

 ヨハネス中佐はエリーに微笑み言う。

「本当です。当然、部下に上官の功績を伝えるのは責務です。こう見えてエリー中佐と一緒に出来ることを喜んでいるのですよ」

 エリーは愛想笑いをしてから頷く。

「それではお願いします」


 ヨハネス中佐はエリーを奥の6畳ほど個室へ通し言う。

「ここの内容は決して漏れることは有りません。机の上の端末の操作は大丈夫ですか?」


「はい、帝国で使用しているものと同じです。アドレス選択すれば良いのですね」

 エリーが答えるとヨハネス中佐はエリーに一礼するとドアを閉め部屋から出て行った。


 エリーは直ぐに端末にアドレスコードを打込み選択した。しばらくしてレベッカの声がする。

『エリー様……、ハル閣下に代わります』


「ええ、お願いします」

 レベッカの声がなんとなく機嫌悪そうに聞こえる。

『エリーさん、リサさんを取り込んだにですね』ハル局長の声だ。

「……わかるのですね。事前に連絡が必要でしたか?」

 エリーが答えるとハル局長は言う。

『ええ、アンドレアの派遣要員ですからね。友好関係を結んでいる国家ですから、それなり対応は必要です。アンドレアは問題にするつもりは無いようですが……。それよりブライアン閣下の落胆ぶりが酷くてエリーさんから何かしらのフォローをお願いしますね』


「やはり優秀な部下を取られて落胆されているのですね。申し訳ありませんでした」

 エリーがそういうと言うとハル局長は直ぐに言う。

『いいえ、何故、リサさんを先に従者にしたのかと、順番がおかしいとおっしゃって……、あのような小娘ごときが従者になれて、私がなれないのかおかしいと申されているのです』


 エリーはブライアン魔道師団長を思い浮かべる。

 (あゝ、前から言動おかしかった。まともじゃ無い……、嫌になるよな)


「はい、ブライアン閣下にはこちらから連絡致します。それで和平交渉は順調ですか?」

 エリーが答えるとハル局長は言う。


『はい、順調です。エリーさんが諸国を抑えてくれれば大陸協定も半年後には成せると思います。それではブライアン閣下のほうお願いしますね』


「それで良いのですか? リサさんの件は……」

 エリーがハル局長に尋ねた。


『エリーさんが決めてやった事に余計なことは申しません。必要だからですよね。ですから私は上官として事後処理をしておきます。ですがブライアン閣下はよろしくお願いします。明日にはドールに戻るのですよね。また、お話はその時に。以上です』

 ハル局長はそう言って通信を切った。エリーは少し1人微笑んでいた。

(ハル閣下は最初苦手だったけど、今では良き理解者です。まあ迷惑は掛けれないですね。ドールに戻る前にアンドレアに寄って帰りますか?)


 そうしてエリーは通信端末を操作してアンドレア大統領府へと回線を繋ぐにだった。

 

 

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。


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