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和平交渉 第170話 リサの決意

リサの決意を聞いてエリーは決断する

 2国間和平交渉会議4日目午後。

 ここはグラン連邦国首都、べマン市、エリー大隊本部内。


 エリーは外事局特務対策課、課長室のソファーに座ってリサと向かい合わせに座り紅茶を飲んでいた。部屋にはエリーとリサしかいない。


 エリーは紅茶のカップをテーブルの上に置くとリサに言う。

「食堂での会話、ヨハネスさん、ワザと言ったんだよ。リサさんに聞かせるためにね」


 リサは真剣な目つきでエリーを見て言う。

「はい、承知しております。ヨハネス中佐のレベルなら私に対する嫌悪感を隠蔽するのも容易のはず。それをあからさまに隠蔽もせず……、アンドレアのものがよほどお嫌いなのでしょう。あゝも、わかるようにおっしゃるとわ……。私も少し気分が悪くなります」


 エリーはリサを見て言う。

「まあ、気にしなくて良いよ。ヨハネスさんにはよく言っとくからね」

 エリーはそう言って紅茶のカップを持って立ち上がるとリサも立ち上がりエリーの右手を握って悲しい顔をして言う。

「エリー様……、私を従者に加えてください! そうすれば誰からも文句が出る事は有りません。どうかお願いします……」


 エリーは左手の紅茶カップをテーブルに置いてリサの顔を見て答える。

「言ったじゃない。ダメだて、リサさんは信用しているし頼りにしている。ヨハネスさんは気にしないで」


 リサはエリーの両手を掴み握り締め声を震わせて言う。

「エリー様、許せないのです……、自分が原因でエリー様にご迷惑を掛けるかもしれないのです。エリー大隊やその他にも影響が出るかもしれない。そう思うと自分が許せないのです」


 エリーはリサの顔を見て微笑み言う。

「リサさん、そんなに思う事はないよ。私はリサさんを認めているし頼りにしているよ。周りにどう思われようと、そんなに気にしなくて良いと思うよ」


 リサは顔を赤らめ少し怒ったように言う。

「エリー様、この大切な時期にそんな緩いことを……、少しの行き違いや誤解が大きな綻びとなって躓くことだってあるのです。理解されていますか? エリー様、どうか私をアンドレアの呪縛から解き放ってください。お願い致します」

 リサはエリーの手を振り解きその場に跪き、頭を深く下げた。エリーはリサを見て困った顔をして言う。

「リサさん、これはリサさんだけの問題じゃないんだよ。アンドレアとの国家間の問題なんだよ。アンドレア魔道師団から派遣されて私に協力している立場なんだよ。それにリサさんのお父様だって娘が勝手に他国の者の従者になるなんて認めないでしょう? アンドレアの有能な魔道士を従者には出来ません! 言わばお借りしているものを自分のものにすることです。そんなこと出来ません!」

 リサはエリーの瞳を見つめて言う。

「では……、残念ながら私はエリー様から離れなければなりません。不協を招くものは、おそばに居るべきではありません! アンドレアなどこだわっている時では無いのです。今は大切なのは大陸の危機の回避する事です」


 エリーは少し嫌な顔をして言う。

「じゃあ……、リサさんは離れてどうするつもりですか?」


 リサはエリーを見上げて言う。

「自分の出来ることを致します」


 エリーはガッカリした顔をして言う。

「そうですか……、この時期リサさんを失うことは痛手ですが……」

 そう言ってエリーはしばらく沈黙してから膝をつきリサと視線を合わせてる。

(……押し切られた! 私の負けだね。この流れ仕組まれたような……? リサさんズルいよ、自分の価値を天秤にかけて……)


「良いでしょう。リサさんに覚悟があるのなら女神の洗礼を授けましょう。私も覚悟を決めました。アンドレアの魔道教団術式紋章を破壊しますよ。これで繋がりが切れますが良いのですね。そして女神の紋章を刻んであげます。それが望みですか?」


 リサはエリー瞳を見つめて言う。

「……はっい! お願い致します」


 エリーはリサの手を優しく握って微笑む。

「そうですか。了解です。洗礼をするとしばらく魔力量が増大して制御が難しくなります。精神的キツくなるかもしれませんが、上手くコントロール出来るようにしてくださいね」


 リサは立ち上がり頭をを深く下げた。

「エリー様、ありがとうございます。感謝致します」

 エリーはリサを見て微笑む。

(リサさん……、大丈夫かな? ユーリさんと同じ匂いがするのだけど、まあ暴走したりする事はないと思うけど。アンドレアへの言い訳はどうしようかな……)


 エリーはリサに言う。

「では、宿泊室に行きましょう。邪魔が入るとまずいので、ここでは出来ません」


 エリーはリサを抱えて立ち上がると頷き部屋から移動する。

 エリーは宿泊エリアに入ると廊下の一番奥の部屋に入り鍵をする。大隊長専用寝室だ。10畳ほどのスペースに、シングルベットとシャワー室がつき小さいテーブルがあった。

「リサさん、ベッドに横になってくださいね」

 リサは頷き服を脱ぎ始める。リサが下着を取り始めるとエリーが声を掛ける。


「……、下着は良いよ。」


「あゝ、別に問題無ければこれで構いませんか?」 リサが尋ねる。

「そうだね。阻害するする物じゃないから別に良いんだけど、裸で良いです」

 エリーはそう言ってリサを見て微笑む。


「リサさん、背中の紋章を見せてもらえますか?」

 エリーが言うとリサは体を回して背中をエリーに見せる。綺麗な背中に不釣り合いな魔法の紋章が刻まれている。

(これがアンドレアの魔道教団の紋章! だから一緒にお風呂に入ってくれなかったんだね)


「リサさん、ベットに仰向けに寝てもらえますか」エリーが言うとリサは直ぐにベットの上で、仰向けになった。


「気持ちは楽にしてね」

 エリーがそう言ってリサの左手を握り頬を寄せる。そしてエリーは白色の光で輝き始める。

 リサは目を閉じてエリーに身を任せた。エリーの白い光がリサへと広がり包み込む。しばらくエリーの魔力がリサのコアへと流れ続ける。


 リサはエリーから流れ込む魔力量と情報量の次元の違いに戸惑っていた。

(やはりエリー様の深部には、とんでもない力が眠っていた。だから私も惹かれたのだ。私は従者契約を結び、これで気兼ねなく働ける。誰の邪魔も入らず)

 リサは恍惚としてわれを忘れる表情のままベットに横たわっている。

 エリーはリサの手を優しく解いって立ち上がると、部屋から出て行った。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!

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