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和平交渉 第168話 エリー大隊本部

エリーは首都エリー大隊本部を訪れた。

 2国間和平交渉会議4日目午前中。

 ここはグラン連邦国首都、べマン市。


 エリーとリサはブラウン商会のリムジン車両でべマン市東部首都防衛隊基地を目指していた。エリーはシートの中央に座りくつろぎながらクッキーをモグモグ頬張っていた。

 リサがそれを見て言う。

「エリー様! 朝食も結構ガッツリいかれて、それは少しおやめになった方が良いかと思いますが」

 エリーは正面に座るリサを見て微笑み言う。

「大丈夫! 食べても全然太らないし、体調だって絶好調だよ」


 リサはそれを聞いて呆れた顔をして言う。

「私の前では結構ですが、他のものの前ではご遠慮くださいね。それではまるでお子様のように見えます」

 エリーは少し動揺した顔でリサを見る。

「ええ……、ついね。お菓子類には気が緩んでしまうんだよね。これも反動かな」


 そうしてブラウン商会のリムジン車両は防衛隊基地門の前で停車する。警備士官がそばまでやって来て運転手が書類を出すと確認して声を上げる。

「外事局エリー課長! 失礼致しました! どうぞそのままお通りください」


 エリーが後部席から窓を開けて警備士官に声を掛ける。

「エリーです。すみませんが、エリー大隊本部まで案内願えませんか?」

 警備士官はエリーを見て一礼すると少し考えてから警備下士官と少し話をしてからエリーに敬礼する。

「はい、ご案内いたします。私の車両の後ろについて来てください」

 そう言いて警備士官は警備詰所に止まっている警備車両に乗り込んだ。そして警備車両はすぐに動いてブラウン商会のリムジン車両の前に出てゆっくり走りだした。そしてエリー達のリムジン車両は警備車両に追随して走りだす。


「この基地はまだ新しいので綺麗ですね。確か1年くらいのはずです」

 エリーが窓の外を見ながら言うと、リサはエリーを見て言う。

「やはり連邦国は凄いです。アンドレアはもちろんですが帝国も及びませんよ。近代化においては大陸いちですね」

 車両が通過する飛行場格納庫前には、汎用戦闘航空機バルガが30機ほど並んでいた。


「そうだね。連邦国は危機感を持って備えているからね。でもね……、大陸全土が一丸となってやらないとダメなんだよ」

 エリーは車両の外を眺めながら言った。


「はい、承知しております。そのためにエリー様がご尽力されていらっしゃるのですね」

 リサは真剣な顔をしてエリーを見つめた。


 そうして先導していた警備車両が停車して警備士官が降りて、エリーのリムジン車両に駆け寄った。

「エリー課長! ここがエリー大隊本部です!」

 警備士官がそう言って大きい格納庫ブロックを指し示した。

 エリーはリムジン車両からリサと一緒に降りて警備士官に一礼す。

「お手数をお掛けしました。助かりました」

 そう言ってエリーは警備士官に一礼すると、警備士官は敬礼して声を上げる。

「はっ! とんでも有りません! それでは失礼致します」

 そして警備士官は車両に乗り込み去って行った。エリー達が大隊本部建物に歩いていると向こうから男性士官が駆け寄って来るのが見えた。エリーは見覚えのある顔に微笑む。

「ミラー中尉! お元気ですか?」


 男性士官はエリーに敬礼すると声を上げる。

「エリー中佐! お元気そうで何よりです」

 そう言ってリサのほう見て一礼すると自己紹介をする。

「エリー大隊! 副長補佐をしております。中尉、ミラー・パークです。よろしくお願いします」

 リサはミラー中尉を見て微笑み一礼する。

「エリー様のべランドル帝国担当秘書官をしております。リサ・ヒューズです。ミラー中尉よろしくお願いします」

 そして再び一礼した。ミラー中尉はリサを見て微笑み言う。

「連邦国の方では有りませんね。言葉のイントネーションが少し違いますね」


 リサは少し嫌な顔をしてミラー中尉を見て言う。

「ええ、そうですが。軍機につきお答え出来ません」


「あゝ……、そうですよね。すみません。馴れ馴れしくて申し訳ありませんでした」

 そう言ってミラー中尉はリサに頭を下げた。


 エリーはミラー中尉を見て言う。

「大隊主装備の移動は完了しているのですか?」


 ミラー中尉はエリーにすぐに答える。

「はい、べランドル帝国にいる別働隊以外は全てここに移動完了しています。それとレンベルはアンドレアからブラウン商会技術工廠に移動改修中です」

 エリーは少し嫌な顔をして言う。

「レンベルの件は聞いていないですね」


「そんなはずは……、エマ副長には伝えていますが」

 ミラー中尉が困った顔をして答えた。


「あゝ、そうですね。私もエマさんと会いましたが、感動のあまり聞き漏らしたのかもしれませんね」

 エリーはそう言ってミラー中尉に一礼する。ミラー中尉は微笑み言う。

「多分行き違いです。こちらも直接エリー中佐に連絡すべきでした」


 ミラー中尉は白い建物の入口でパスコードを打ち込み、ロックを解除してドアを開ける。

内部に入るとそこは重装機兵の整備ブロックだった。20機ほどのラムザⅣが並んでいる。

 そして白い繋ぎを着た男性が近寄って来て声を上げる。

「嬢ちゃん! やってくれたな!」

 エリーは顔を緩めて声を上げる。

「ボビーさん! 少佐昇進おめでとうございます!」

「なーーっ! 余計なことを! 佐官なんて面倒ごとが増えるだろうが!」

 ボビーは少佐の階級章のついた繋ぎを着ていた。その隣には女性技術士官が立っている。アナである。ハル中将の推薦により特別技能者に認定され少尉に昇進していた。


「エリー中佐、私が士官に昇進するとは思ってもいませんでした」

 アナがエリーに敬礼して言った。エリーはアナを見て微笑み言う。

「アナさんには、もっとやってもらわなければならない事が有ります。なので士官でないと困るのです。ハル閣下に頼み込んだのですよ」


 ボビーはエリーに近寄り肩を軽く叩いて言う。

「帝国では大変だったそうだな。無事で何よりだ」

 エリーは微笑みボビーを見て言う。

「私もボビーさんにまた会えて嬉しいです」


 ボビーはエリーのそばにいるリサを見て言う。

「そちらのお嬢さんは? かなりの美人だがまた嬢ちゃんのお付きか?」

 リサがハットしてボビーを見て一礼する。

「エリー様のべランドル帝国担当秘書官をしております。リサ・ヒューズです。ボビー少佐よろしくお願いします」

 リサはエリーとボビーの距離が近いので少し嫌な顔をする。エリーはリサを見て微笑み言う。

「ボビーさんとはいつもこんな感じだから気にしないでね。私はボビーさんを2番目のお父さんだと思ってやって来たから」

 エリーとボビーは肩を組み楽しそうに整備ブロック内の詰所へと歩いて行く。リサは慌てて2人について行く。

 アナがリサの隣りに並んで話し掛ける。

「エリー大隊技術担当官、少尉。アナ・ミナミです。リサさんよろしくお願いします」


 リサは慌ててアナに頭を下げて言う。

「はい、リサ•ヒューズです。よろしくお願いします」

 アナはリサを見て言う。

「どうですか? エリー中佐は頑張られていますか?」


 リサは不思議そうな顔をしてアナを見る。

「ええ、エリー様は活躍されています。もはや大陸には欠かせない存在になられました」


 アナはそれを聞いて寂しそうな顔をして言う。

「そうですか。それは……」


 アナは言いかけてリサを見て微笑み一礼すると離れて行った。そしてリサは慌ててエリーとボビーの後を追って詰所へ駆け出した。

 

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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