和平交渉 第163話 アクセリアルの脅威
エリーは父ジョンからアクセリアルの航空機を見せられる。
2国間和平交渉会議3日目午後。
ここはグラン連邦国首都、べマン市。
エリー達は、国軍士官幼年学科を訪問後、カフェに寄り軽食をとったあとブラウン商会に戻っていた。ルイカはあの後、気持ちが沈んでいたが今は普通に戻って会話している。
「エリーお姉様、今日は勉強になりました。お姉様から学ぶことはまだまだ多く有ります」
ルイカは微笑みエリーを見つめる。
「そう、それなら良かった。ルイカは優秀だからすぐに覚えちゃうからね」
2人でリビングで話しているとジョンがやって来てエリーを見て言う。
「エリー、少し良いかな?」
「はい、お父様、なんでしょうか?」
エリーはジョンを見上げて微笑み言った。
「ルイカ、リサさんと一緒にしばらく話していてくれるかな?」
ジョンはルイカを見て言った。ルイカは頷きリサを見て言う。
「はい、お父様わかりました。リサ様と楽しくお話しをしてお待ちしております」
「エリーと2人で話したいことがあるから、ルイカ、悪いがそうしてくれるかな」
そうしてエリーはソファーから立ち上がるとジョンのそばに寄る。
「参りますか」
エリーはジョンと並んでリビングを出て行く。
「エリー、見せたいものが有ります」
ジョンがエリーを見て言った。
「ええ、なんでしょうか?」
ジョンは歩きながら言う。
「アクセリアルに関するものです。まあ見てください」
エリーは少し顔を曇らせジョンに尋ねる。
「あまり良いものでは無いのですね」
「……、そうですね」
ジョンはそう言って無言になった。そしてブラウン商会研究施設ゾーンエリアに入る。エリー達に警備員が一礼して区画扉を開ける。エリー達は奥へ進むと武装警備員が複数名立っておりエリー達に敬礼する。
「ジョン代表! 確認致しました! どうぞお入りください!」
前に立っている責任者が声を上げた。そして分厚い金属製の扉をスライド開放させる。ジョンは頷きその扉を通り奥へと進む。エリーはその奥の空間に入ると照明に目が一瞬眩んだ。
そこにあったのは一機の航空機であった。エリーはその機体を観察して言う。
「ジェットタービン推進機体ですね。しかし、損傷しているようですが?」
ジョンはエリーを見て少し嫌な顔をする。
「この機体はアクセリアル製です。とある場所で捕獲したものです」
エリーは機体の形状を見て言う。
「この機体、音速を超えって飛行出来るのですか?」
ジョンはエリーを見て頷く。
「ええ、間違いなく。私達は、まだ魔導ジェットタービン量産まで到達していません。ロケットブースターで音速は超えてはいますが。長時間の持続的に飛行出来ませんからね」
「開発はほぼ完了していますが、残念ながらコアパーツの量産が出来ないのです。テスト試作機を含めて飛べる機体は5機しかないですからね」
エリーは機体を見て少し顔を緩めて呟く。
「対抗出来ない訳でも無いです。ローゼから守護体を借りられればなんとか出来ると思います」
ジョンがエリーを見て驚いた顔をする。
「ローゼ……? 女神ローゼ様?」
エリーはジョンを見て微笑み言う。
「中枢院のアーサー様に私が、お会いしたいとお伝え願えますか、至急です! お願い致します」
「エリー何を……、アーサー様と面識があるのですか?」
ジョンは戸惑った顔でエリーを見る。
「はい、以前にお会いしております」
エリーはそう言ってジョンを見上げて微笑んだ。
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