和平交渉 第161話 幼年学科訪問2
エリーはゲードニー学科長と話す。
2国間和平交渉会議3日目午前中。
ここはグラン連邦国首都べマン市。
エリー達は連邦国軍幼年学科に来ていた。
エリーは今、ゲードニー学科長と2人で話している。リサとルイカは学科職員が1人ついて学科内を案内してくれていいた。
「どうですか? 予定通り進んでいますか?」
エリーはテーブルの反対側に座るゲードニー学科長を見て答える。
「はい、予定通り進んでいると思います。敵の戦力はどの程度なのかまだ掴みきれていませんが……。問題はないと思います」
それを聞いてゲードニー学科長は少し表情を崩して言う。
「ブラウン商会さまさまですからね。中枢院も全面的に動いていますが。エリーさんの活躍も大きい」
「私は与えられた使命を果たしているだけです! 本来は学科長も出られるべきと思いますが」
エリーの言葉にゲードニー学科長はエリーから視線を外す。
「私は……、中枢院から嫌われていますからね。色々やりましたから、しょうがないですね」
エリーはクッキーに手を出して口に運ぶ。
「この半年が勝負です。ここが戦場にならない事を願っていますが……。そのために今、大陸をまとめる事を全力でやっています」
エリーはそう言ってゲードニー学科長を見つめる。ゲードニー学科長は少し嫌な顔をして言う。
「エリーさんは、行くおつもりですか?」
「はい、準備が出来次第……」
ゲードニー学科長はソファーから立ち上がりエリーの紅茶カップを持って言う。
「お代わり、如何ですか?」
エリーは直ぐに答える。
「はい、頂きます。学科長の紅茶は美味しいです」
「しかし、妹さんが幼年学科とは驚きました。子女系の学園に行かれると思っていましたが」
ゲードニー学科長が紅茶をカップに注ぎながら言った。
「はい、私も少し戸惑っています。心に決めているようなので、反対はとりあえずしません。私には、選択肢が有りませんでしたから羨ましいですけどね」
エリーはそう言って微笑む。
「ハル局長はどうですか? 上手くやっていますか?」
「ええ、ハル中将にはよくしてもらっています。今回の周辺国の調整作戦も尽力してくださっています」
エリーはクッキーを手に取り言った。
「そうですか。それは良かった。羨ましい限りですね」
ゲードニー学科長がソファーにゆっくりと座る。
「学科長! いざとなれば必ず出番は来ますよ」
「そうですね。ジェーンさん、ハリーさん夫妻も今は帝国ですか? ハリーさんはブラウン商会で重要な任務を行なっているとか」
「私はいまだに、ここで学科長をしています」
ゲードニー学科長が珍しく寂しそうな顔をした。
エリーは少し嫌な顔をして言う。
「学科長! なんか雰囲気が変わりましたね。もう少し出来るお方だと思っていましたが?」
「エリーさん、相変わらずハッキリ言いますね。私も少し自分にガッカリしているのです」
学科長室のドアがノックされる。ゲードニー学科長が答えると、学科職員がドアを開けて入って来た。
「エリー様、お二人は学科食堂でお待ちです。」
エリーがソファーから立ち上がり言う。
「はい、了解しました。今から向かいます」
学科職員は一礼して部屋から出て行った。
「では、学科長! これで失礼致します」
エリーはゲードニー学科長に一礼する。ゲードニー学科長はエリーに微笑み言う。
「まあ、あまり頑張り過ぎないように」
「はい、そのつもりです。またお会い出来ることを楽しみにしております」
そう言ってエリーは部屋から出て行った。
これからも、どうぞよろしくお願いします。