和平交渉 第159話 妹ルイカ
エリーは妹ルイカと話す。
2国間和平交渉会議3日目朝。
ここはグラン連邦国首都べマン市、ブラウン商会本店敷地内、ブラウン家母屋、3階寝室。
エリーは久しぶりに実家の寝室でぐすりと睡眠をとり今はぼんやりと昨日の父ジョンの話しを考えていた。部屋のノックする音がする。
「はい! どうぞ!」
エリーが答えるとドアが開いて金髪の少女が嬉しそうに入って来た。妹のルイカだ。母ニール似の美少女になっている。
「エリーお姉様! 今までどうされていたのですか? こんなに寂しい思いをさせて……」
ルイカは涙を浮かべてエリーに近寄って来る。エリーは慌てて上半身を起こし両手を広げて言う。
「ルイカ! ごめんね。心配させて」
ルイカはベットに乗ってエリーに抱きつく。
「エリーお姉様!」
そう言ってエリーの頬に顔を寄せる。
「ルイカ、見ない間に可愛くなったね」
エリーがそう言うとルイカは顔を上げて言う。
「お姉様も大人っぽくなられて、お綺麗になられましたよ。私は心配です。男の中にこのようなお姉様がおられると思うと……」
エリーはルイカの頭を撫でて言う。
「大丈夫だよ。私は強いからね。それにみんな良い人ばかりだよ」
ルイカは顔をエリーの胸に埋めて言う。
「お姉様はもう戦わなくてもよいのですか?」
エリーはルイカの頭を優しく撫でて囁く。
「ごめんね。直ぐに出撃しなければならないだよ。それが私の役目なんだよ」
ルイカはしばらくエリーの体を両手で抱きしめて沈黙したあと言う。
「お姉様は可哀想です……、戦いたくないのに」
エリーはルイカを優しく押し返して顔を見て言う。
「ルイカ……、私は戦いたく無いけど、でもね。それじゃみんなが不幸になるんだよ。私が戦わなければルイカを含めてみんなが死んじゃうかもしれないんだよ。だから戦うんだよ」
ルイカはエリーの顔を見て瞳から涙を浮かべ言う。
「お姉様が戦わなければならないのですか? 代わりのものはいないのですか?」
エリーはルイカの瞳を見つめる。
「ごめん……、私は選ばれたんだよ。女神様のチカラでみんなを守る使命があるんだよ。逃げたり出来ない」
ルイカは悲しい顔をしてエリーを見つめる。
「なんで? お姉様が……、残酷過ぎます」
そう言ってルイカは沈黙した。エリーはルイカを肩から抱きしめる。
「危機は迫っている。時間が無いんだ。私はみんなを守りたいんだ。私がチカラを得た時から決まっていることなんだよ。ルイカごめんね」
エリーは瞳から涙を流しながら言った。
「……、エリーお姉様、みんなで朝食をいたしましょう! ねえ! お姉様」
ルイカは悲しい顔を無理に笑顔に変えようとする。
「ルイカ……、幼年学科に願書出したて、本当なの? なんでそんなこと」
エリーはルイカに尋ねた。
「それはお姉様のお役に立ちたいからです」
「ルイカ、違うでしょう。お父様を不安にさせないで。大切な娘なのだから」
ルイカがエリーを強く押し返して怒った顔をする。
「お姉様のお近くに居たいのです! そのために必要なことなのです! お姉様の周りには美形の女性しか仕えられないと聞き及んでおります。そして特異な能力を有したものであること……。私は魔力適正を標準以上は持っています。魔力と剣技を鍛え、お姉様をお支えしたいそう願っているのです」
エリーはルイカの顔に手を優しく添えて言う。
「ルイカ……、わかった……。うん、気持ち嬉しいよ。聞いてるでしょう。ルイカと私が血の繋がりが無い姉妹であること?」
ルイカは悲しい顔でエリーを見て頷く。
「はい……、お父様から聞いております。だからこそです」
エリーはルイカから視線を逸らして顔を伏せる。
「ルイカ、私なんかよりしっかりしているね。驚いちゃった。ほんと……、嫌になるよ」
(ルイカ……! ここで言っても無理みたい。だったら好きにさせるか? お父様には悪いけどね)
エリーはルイカをしばらく抱きしめてから呟く。
「ルイカ、気持ちは理解したよ。出来る限り応援するからね。無茶はダメだよ」
ルイカは頷きエリーを見て微笑んだ。
エリーは微笑み言う。
「朝食に行こうか!」
そう言って、エリーは立ち上がりクローゼットを開けて着替えを取り出す。パジャマをベットに投げつてるように脱ぎ、ワンピースに着替えた。それを見てルイカが言う。
「お姉様、体が大人になられましたね」
「そうだね。最近肉づきが変わってきたんだよねえ」エリーがそう言うとルイカが心配そうな顔で言う。
「ますますお姉様が心配です」
「大丈夫、ルイカが心配しているようなことには絶対ならないから」エリーは答えるとルイカの手を掴み歩き出す。
「さあ、食堂に行こう! ルイカ!」
「はい、エリーお姉様!」
エリーとルイカは微笑み食堂へと向かった。
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