和平交渉 第158話 父ジョンと話す
エリーはグラン連邦国へ
2国間和平交渉会議2日目深夜。
エリーはランカーⅡでジョルノ共和国紛争から連邦国に移動、今ブラウン商会本店敷地内に着陸しようとしていた。
「エリー様! いつ振りですか?」
コックピットからカーター機長が声を上げた。
「……1年振りですね。家族に会えるのわ嬉しいです!」
エリーが嬉しそうに答えた。隣に座るリサは緊張した顔をしている。
「リサさん、どうしたの?」
エリーが尋ねるとリサはエリーを見て言う。
「はい、ブラウン商会の総代表ジョン様にお会いすると思うと緊張して……」
エリーはリサを見て微笑み言う。
「お父様は、優しいよ。そんな緊張しなくて大丈夫だよ」
(ルイカはもう12才だよね。久しぶりで楽しみだよ)
リサはエリーを見て硬い表情で言う。
「ジョン様は、エリー様にとっては優しくいお父様であっても……、私達にとって恐れの対象です。そのことご理解ください」
エリーは顔を傾けて不思議そうな顔をして言う。
「大丈夫だよ。リサさんは私の大切な人だからね。お父様は暖かく迎えてくれるよ」
エリー達のランカーⅡ5号機はプロペラ風で周囲に埃を巻き上げながら着陸した。搭乗員は素早くドアを開けタラップを降ろす。
エリーは立ち上がり搭乗口に向かうと声がする。
「エリー! お帰り! 無事で何よりだ」
搭乗口の前には金髪の長身男性が笑顔で両手を広げて立っていた。ブラウン商会総代表ジョン・ブラウンである。
エリーは満面の笑顔をしてジョンの胸に飛び込んだ。
「お父様! ただいま帰ってまいりました!」
ジョンは戸惑った顔をしてエリーの頭を撫でて言う。
「エリー……、成長したな。見ぬ間に女性らしくなった。それに何か感触が柔らかい」
エリーはジョンの背中に両手を回して抱きしめる。
「お父様のこの感触は久しぶりです。しばらくこのままでお願いします」
エリーがそ言うとジョンは言う。
「皆が見ている。それにニールも待っているからあとからにしよう」
エリーは両手を緩めて残念そうにジョンから離れた。そしてリサが緊張した顔でジョンの前に出ると深く頭を下げて言う。
「ジョン様! お初にお目に掛かります! エリー様の従者をしております。リサ・ヒューズです。よろしくお願い致します!」
ジョンはリサを見て微笑み言う。
「可愛いお嬢さんですね。エリーがお世話になっています。エリーのことを今後もよろしくお願いしますね」
そう言ってジョンはリサに頭を下げた。
リサは強張った顔でジョンを見てさらに深く頭を下げた
「とんでもない事です。エリー様のためなら命を投げ出す覚悟でおります。お役に立てるよう尽力致します」
リサの目は涙目になっている。エリーは少し驚いてリサの感情を読みと取る。
(なんで? リサさん! お父様にかなりの恐れを感じている。今までリサさんこんな感情は発したことなかった! どうして?)
エリーはリサの肩に手を回して囁く。
「らしくないよ。リサさん、落ち着いて。大丈夫私がいるから」
リサはエリーを見て引き攣った笑顔を見せる。
「……、申し訳ありません。ご心配をおかけしました」
リサはジョンを見て言う。
「アンドレアの件! ジョン様にはご尽力頂き感謝しております。今後ともアンドレアをよろしくお願い致します」
そう言ってリサは再びジョンに深く頭を下げた。
ジョンはリサを見て言う。
「必要だからですよ。あなたの国には価値があった。それだけです。お礼や感謝は必要有りません」
それを聞いてリサはさらに怯えたような顔をした。エリーはそれを見て言う。
「お父様! ダメですよ。リサさんが怖がっています」
ジョンはエリーを見て申し訳なさそうな顔をする。
「あゝ、エリーすまない。じゃあ母屋のほうへ行こう! 母さんが待っている」
エリーはリサの手を優しく掴むと歩き出す。ジョンもエリーを見て歩き出す。
「エリー! お腹空いてるんでしょう? 何か準備しようか?」
ジョンが言うとエリーは微笑みジョンを見上げて言う。
「はい、お願いします!」
3人並んで母屋へと再び歩き出した。
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