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和平交渉 第155話 ジョルノ共和国機甲師団壊滅

エリーはジョルノ共和国軍機甲部隊と戦闘する。

 ここはジョルノ共和国とべランドル帝国の国境から帝国領に30キロほど入った地点。


 エリーは周辺の敵戦力を殲滅ながら思っていた。(これじゃ蹂躙……、虐殺だね。ここまで差があるとは。でも運用を上手く使えば、この戦車だってもうちょっと使い物になるのに残念だよ)

 エリーは寂しそうな顔をしてインカムから僚機アンジェラ、セーヌに指示を出した。

「先頭集団は正面の40両を叩けば終わりです! 敵は急襲に混乱状態です! 立ち直る前にさっさと叩きましょう!」


『こちら皇帝護衛隊! 第一飛行隊! ジョルノ共和国軍司令部空爆開始します!』

 弾薬補給に後方に退がっていた航空隊から無線が入った。

「こちらエンペラーワン! 今先頭を叩いています! 気兼ねなく後方司令部を空爆してください!」

『第一飛行隊! 了解! ご武運を祈っております! 以上!』

 無線が切れるとエリーは機体を左へ振りゾンダ重戦車第一大隊側方から突撃を開始した。


 ◆◇◆◇


 ここはエリー達と対峙する。ジョルノ共和国軍ゾンダ重戦車第一大隊。

《側方より敵! 高速接近! 速射拡散弾発砲開始!》

 第一大隊長はペリスコープを覗き周囲を確認する。

「相手はかなり機動力を持っている。そして火力もかなりの威力だ。全車照明弾射出!」

 第二中隊長から無線が直ぐに入る。

《了解! 照明弾射出! 拡散弾斉射合図願います! 大隊長! 我々の力を見せましょう》

 ゾンダ重戦車第一大隊上空が、照明弾で発光し周囲が昼間のように明るくなる。

「各員! 近接戦闘では120mmは役に立たない! ロケットランチャーを使え!」

 第一大隊長はペリスコープで、エリー達重装機兵接近を捕捉しながら部隊に指示を出す。

「なんて速さだ! 見失った?」

「……!?」

 第一大隊長搭乗重戦車の手前に配置していた。第二中隊10両の、ゾンダ重戦車が次々と白色の光線のようなものを浴びて爆散している。

(何だ? わからん? どうなっている)

 第一大隊長はペリスコープを覗き込んだまま声を上げる。ロケットランチャー全弾発射! 全速後退! 只今より行動は各車両長が行え!」

 

 そう言って第一大隊長は下にいる操縦士を見て声を上げる。

「早く全力後退しろ! 死にたいのか」

「砲術士! 煙幕弾射出しろ」

 第一大隊長は機嫌の悪い顔で声を上げた。


 エリー達と戦闘状態となり第一大隊長のヘッドセットに入って来る、部隊無線の音声はあっという間に混乱した声と叫び声そしてうめき声になる。

 第一大隊長は無線を切り替えへ司令部へと繋ぐ。


「こちらゾンダ第一大隊! 帝国の大攻勢を受け甚大な被害を受けた! 撤退命令許可を願う!」

 第一大隊長は無線応答を待つが、応答は無い。(どうした? 戦線一帯が混乱している……)

 

 そして第一大隊長搭乗車両の操縦士が声を上げる。

「前方車両被弾! 進路塞がりました! 周囲残骸で走行でいません!」


「潰して進め! 密閉モードに切替えているのか? 焦げ臭いぞ!」

 第一大隊長は声をあげて酸素マスクを装着する。


「はっ! 既に切り替えてますが!」

 操縦士が直ぐに答えた。第一大隊長はヘッドセットを外すとイラついた声で言う。

「とにかくここから脱出する! 今はそれだけに集中しろ! 砲術士! 邪魔なものは破壊しろいいな!」

 第一大隊長はペリスコープを覗き周囲を見渡す。周辺は破壊され燃えているゾンダ重戦車に囲まれていた。

 (……! どうなっている……?)

 第一大隊長の思考が追いつかない。再びヘッドセットを装着して戦線司令部を呼び出して見るが応答は無い。車両の停止を感じて第一大隊長は声を上げた。

「なぜ! 停車する!」

 第一大隊長はペリスコープを覗き込んだ。

 (正面にゾンダの残骸……、重装機兵!)

 炎の光に映し出されて3機の重装機兵が見える。


 ◆◇◆◇


 エリー達は鬼神のようにライフルを撃ちまくりジョルノ共和国軍ゾンダ第一大隊重戦車40両を3分ほどでほぼ無力化していた。あとは砲塔部に3本の白ラインの入った指揮官車両を仕留めれば終わりである。

「1台は無傷で捕獲しろと指示を受けています。この指揮官車両にします。エンペラー2、3! 手出し無用願います!」

 

 エリーはインカムでアンジェラ、セーヌに指示を出した。そしてエリーはインカムを外部スピーカーに切り替える。


「こちらべランドル帝国! 皇帝護衛隊! 魔導士ローラです! 貴官らの速やかな投降を願う! 指示に従うなら条約に基づく適切な処置を保証する! 繰り返す」

 

 エリーがモニターを見て指揮官車両の上部ハッチが開くのが確認出来た。そしてしばらくして白い布を前面に掲げて搭乗員が上半身を出してきた。エリーは集音装置のボリュームを上げる。

 《降伏を受け入る! 指示に従う!》

 それを聞いてエリーはインカムで搭乗員に指示を出した。

「投降を認めます! 全員車両から降りて武器は一箇所に集めてください! そして指揮官は前へ出てください!」

 

 エリーの声を聞いて搭乗員はハッチから砲塔上部に出て両手をあげて立ち上がった。そして後部ハッチからも搭乗員がゆっくりと這い出して来ていた。5人を確認出来た。

 エリーはレンベルTYPEⅡのライフルを搭乗員に構えて言う。


「これで全員ですか? 指揮官は前へお願いします!」

 1人の士官が前に出てきた。エリーはモニター画像を拡大して確認する。

(間違いなく部隊長のようだ。それじゃ……)


「私は! べランドル帝国皇帝護衛隊! 魔導士ローラです! 今回の布告なき攻撃はとても納得いくものではありません! まあ貴官は命令に従っただけかもしれませんが!」


 エリーはそう言ってレンベルTYPEⅡのライフルを後方へ向けて連射した。後方で爆発が起こり爆炎が上がる。レンベルTYPEⅡの前に立っていた、第一大隊長は体を伏せて怯えた表情を見せる。他の搭乗員はその場に伏せている。


「あゝ、失礼! 誤射しました! 貴官らは我が領土内にいることを認識してくださいね!」


 エリーは嫌な顔をしてモニター画像を見て言った。エリーは無線を切り替え戦線司令部に繋ぐ。

「こちらエンペラーワン! 戦線先頭で敵車両と投降兵確保! 速やかに身柄拘束願う!」


『こちら帝国第7軍司令部! 了解しました! 周辺の部隊確認次第向かわせます!』


「了解しました! 早急に願います! こちらもあとの任務が残っています!」


『こちら帝国第7軍司令部! 座標確認しました! 5分お待ち下さい! 今向かわせました!」

 

 第7軍司令部との無線が切れるとエリーはふっと息を吐き、部隊通信に切り替え言う。

「とりあえず先頭部隊は叩きました。あとは状況確認して後方部隊を叩きます」

 

 レンベルTYPEⅡを跪かせる。そしてセーフティロックを解除してコックピットシールド開放ボタンを押す。コックピット内に警報が鳴り響き、ゆっくりとコックピットシールドが開放されていく。エリーはコックピットの金属ケースから軍刀を取り出して腰につける。

 アンジェラのラムザⅣが前に出て外部スピーカーで呼び掛けてくる。

『ローラ様! 危険です! なにを!』

 セーヌのラムザⅣが周囲を警戒したように魔道ライフルを構える。

 エリーはコックピットから身を乗り出して、アンジェラのラムザⅣに手で合図する。

 

 エリーはヘルメットのインカムの無線スイッチをオンして言う。

「戦線の敵士官の顔を直に見たいんですよ。それだけです」

 そう言いてエリーはフレームに沿って滑り降りた。突然姿を現したエリーの姿に第一大隊長は驚い頭をしている。


 エリーはヘルメットバイザーを跳ね上げ声を上げた。

「貴官はここで何人死傷者が出たか知っていますか? 知らないでしょうね! 教えてあげます! 将兵以外の一般市民5千人以上

 ……」


 エリーは直ぐに搭乗員達の集めた武器の中から拳銃を拾い第一大隊長の目の前に投げる。

「それを拾って私を撃って下さい!」

 エリーは吐き捨てるように言った。第一大隊長は強張った顔をして声を言う。

「私は投降しました! 抵抗する意思など有りません!」

 

 エリーは叫び声を上げる。

「拾えと言っている! 聞こえないのか!」

 エリーはそう言うと一気に魔道覇気を上げ体が濃い紫色の光に包まれ迸り始める。

 

 アンジェラのラムザⅣのスピーカーから怒ったような声がする。

『ローラ様! それは八つ当たりです! その者を切ったところで、気は晴れるどころか汚れるだけです! お気付きでしょう! だからおさめて下さ! 冷静になって下さい!』

 エリーの前の第一大隊長は恐怖のあまり目は正気を失い失禁していた。

 エリーは嫌な顔をしてインカムでアンジェラに言う。


「わかってる……。そうだね。その通りだね。八つ当たりだね。もうやめるよ」

 そうしてエリーの体を包んで魔道覇気の光は消える。そうして車両の近づいて来る音がして帝国士官が駆け寄って来た。


「ローラ様! 司令部の指示で来ました!」

 そう言ってエリーの敬礼した。

「ええ、ご苦労様です。見張っておきましたので、5名を引き渡します」

 帝国士官はジョルノ共和国軍将兵を見て戸惑った顔をして言う。

「ローラ様……、何かされたのですか? 皆、恐怖に怯えた顔をしていますが」


 エリーは微笑み言う。

「いえ、何も、たぶん初めての戦場で実際の戦争を体験して放心状態ではないかと思います」


「そうですか。確かに預かります」

  士官は敬礼すると部下に合図して5名を高速する。


 エリーはアンジェラのラムザⅣに合図すると、アンジェラのラムザⅣは手を広げてエリーを乗せるとレンベルTYPEⅡのコックピットへと運ぶ。そしてエリーはコックピット内へ飛び込んだ。

 

 エリーはシールド安全装置を外しシールド開閉ボタンを押した。コックピット内にアラームが鳴り響き、シールドがゆっくり下へ閉まっていく。


「それじゃ……、気持ちを切り替えていきますか」エリーは微笑みインカム越しに言った。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。


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