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和平交渉 第154話 重戦車vs重装機兵

ついにエリー達とジョルノ共和国機甲師団が戦闘を開始する。

 2国間和平交渉会議2日目夜。

 ここはジョルノ共和国、国境帝国側40キロ地点。

 エリーは今、レンベルTYPEⅡのコックピット内にいる。レンベルの後方には新鋭機ラムザⅣ帝国軍仕様2機がいる。アンジェラ、セーヌの搭乗機である。エリーはベルニスから直接国境戦闘域に来て、すぐにレンベルTYPEⅡを起動出撃していた。

 

 エリーはヘルメットバイザーを下げデーターリンクすると僚機と無線回線を開放する。

「こちらエンペラーワン! 各員!兵装システムロック解除! 相互間リンクシステム確認願います」

《エンペラー2! 了解! リンク確認!》

《エンペラー3! 了解! リンク確認!》

「エンペラーワン! 了解!」

 

 エリーは無線をセーヌの機体へ直接繋ぎ優しく言う。「セーヌさん、納得して無いなら退がっても良いですよ」

 一瞬沈黙してセーヌが答える。

『納得はしています。ご心配をお掛けして申し訳有りません。大丈夫です。エリー……、いえ、ローラ様は任務に集中してください』


「セーヌさん、了解しました」そう言ってエリーは通信モードを切替える。

 エリーはふっと息を吐き、モニターを確認する。機体スピーカーからアナウンスが流れる。

《警告! 兵装システム全ての制限が解除されました! 戦闘モード通常モードよりモード3に移行! 機体相互リンクシステム戦闘連携モード起動確認! 相互間リンクシステム連動確認! 防御シールド展開確認!〉

 

「みんなそれじゃ! 行くよ!」そして三機の重装機兵は一気に猛烈なスピードで加速、ホバー走行風が吹き荒れ周辺の木々を激しく揺らした。そしてエリーはレンベルTYPEⅡの魔道回路システムを通して周囲の状況を全把握していた。その感知情報は僚機にも直ぐに共有されている。


「先頭の重戦車部隊から叩きます! 左翼の薄いところから突入して周回殲滅で行きますのでよろしくお願いします。それと最初はブレードで処理していきます。私はバックパックが使えるのでライフル魔導エネルギー弾で処理します。後処理をブレードでお願いしますね」

 

 そう言ってエリーは直ぐにバイザー表示情報を確認してパネルを操作した。

〈警告! バックパックエナジー供給ライン、ライフルに接続確認! エナジー供給制限値に設定されました!〉コックピット内にアナウンスが流れる。レンベルTYPEⅡの携帯装備ライフルはいつもの魔導弾ライフルでなく、エネルギー体圧縮発射ライフルに変更されていた。

 

 遠距離攻撃では威力は半減するが、近接戦闘ではその破壊力は魔導徹甲弾の比では無い。そしてエネルギー供給がある限り撃ち続けられる代物である。ただしライフルの強度限界があるため無限に撃てる訳では無い。

 

 レンベルTYPEⅡのコックピット内で警報が鳴り響く。

〈警告! 敵車両発砲確認! 着弾予想シーケンス作動!〉

 エリーは目まぐるしく表示されるバイザー情報を無視して女神スキルで視感してライフルを連射して行く。左翼のジョルノ共和国軍、重戦車部隊30両は斉射してエリー達、重装機兵を仕留めようとしたが、一気に距離を詰められ混乱状態陥っていた。為す術なく次々とエリー達に重戦車のキャタピラや砲塔や装甲板を周りに飛散させ爆散して行く。動けなくなった重戦車からは搭乗員達が慌てて脱出するさまがあちらこちらで見えた。


「対魔法対策をしていない装甲なんていくら厚くしたって意味ないのにね。左翼を無力化したら、そのまま後ろに周り込み右翼を叩きます。動けなくなった戦車は無視していいですよ」

 エリーは呆れたようにインカムでセーヌとアンジェラに指示を出した。

 

 左翼のジョルノ共和国重戦車大隊30両は接敵から2分ほどで壊滅した。そこにはジョルノ共和国軍の誇る重戦車ゾンダの120mm砲が威力を発揮すること無く残骸の山となっていた。


 ◆◇◆◇


 ここはジョルノ共和国軍、侵攻先頭重戦車中央戦車大隊。


『左翼ゾンダ第二大隊! 敵重装機兵と戦闘を開始した模様! 中央ゾンダ第一大隊は応援願います。尚、敵重装機兵戦力は不明! 以上!』


 司令部無線指示を聞いて重戦車ゾンダ第一大隊長は、ヘッドセットをずらして嫌な顔をしてから大隊各車両に指示を出す。

「第二大隊が敵と戦闘になった! 今からカバーに入って敵を殲滅する! 全車移動開始せよ! 以上!」

 指示して直ぐに第二大隊長のヘッドセットに、入って来る部隊無線音が突然混乱した声や悲鳴へと変わり次々と途絶して行く。

 第二大隊長は無線を聞きながら不安な顔をする。(何が起こっている? 周辺には強力な敵部隊はいないはずだが……)

 

 そして直ぐ司令部から無線が入る。

『第二大隊長通信途絶! 被害は甚大な模様! 応援せず各個防戦に努めよ! 敵戦力は相当数と判断! 各個防戦に努めよ!』

 司令部からの無線は余裕が無いように慌てている。

 第一大隊長はインカムから大隊各車両に直ぐに指示を出した。

「移動中止! 敵は相当数の重装機兵! 対重装機兵陣形を組み対処する! 以上!」

 

 第一大隊長は砲塔ハッチ上から周囲を見渡すと炎と煙が左翼から後方を周り右翼に到達していることに気づく。慌ててヘッドセットを外すと爆発音が聞こえる。第一大隊長は直ぐに暗視スコープを確認するが爆発と連続で発光する白色の光しか確認出来ない。そしてその爆発と白色の連続発光が、自分達に接近していることに気づく。

(わからん? 何だ……、帝国の新兵器か?)


 第一大隊は直ぐに部隊各車両に指示を出した。

「各員! 奮戦を期待する! 以上!」

 第一大隊長は砲塔内に潜りハッチを閉めた。そうエリー達が今、全てを破壊しながら猛烈なスピードでゾンダ第一大隊に接近していた。

 


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

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