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和平交渉 第149話 エリー大隊再編成

エリーは中佐に昇進、軍務外事局特務対策課長、兼新生エリー大隊長に任命された。

 和平交渉会議当日、夕方。

 ここはべランドル帝国、帝都ドール市、ドール城内。

 エリーはエルヴィス帝国、国境から帰って来ていた。今皇帝執務室のソファーに座りだらけた顔でエランを見つめている。

「エリーそれは大変でしたね。エルヴィス側がエリーの正体を把握しているとは驚きですが。どうするつもりですか? このまま放置は出来ないでしょう」


 エリーは虚な目でエランを見て言う。

「面倒ごとが増えて嫌になります。味方になるとは言っていましたがどうでしょうか? 判断しかねます」

「カールデン陛下から早急にこちらに訪問挨拶に来たいと打診がありました。返答はしていませんが」

 エランはエリーを微笑み見つめた。

「そうですか、まあお話はしなければなりませんね。あまり気は進みませんが」

 エリーはソファーにもたれ掛かり更にだれた顔をする。エランはそれを見て悲しいそうに言う。

「エリー……、それはあまりにも酷い顔ですよ。殿方が見たらとてもガッカリします。城内ではローラ様、ローラ様と憧れなのですからね」

「大丈夫です。瞬時に切り替えますから」

 エリーはそう言ってソファーから立ち上がりエランを見つめて言う。

「それではハル閣下のところへ行って来ます」


「ハル閣下ならマーク宰相のところへ居られるハズです」

 エランがエリーを見て微笑んだ。

「はい、存じております。それではお姉様、夕食に帰って来ます」

 そう言ってエリーは部屋を出て行った。

(エリー……疲れているわね。休ませてあげたいけど、……)エランは執務室のドアを寂しそうに見つめた。


 エリーが廊下を歩いていると直ぐユーリがそばに寄って来た。

「本日の警備問題有りませんでした。特に危惧するような情報もありません」

 エリーは歩きながらユーリの顔を見て微笑み言う。

「ユーリさん、ご苦労様でした。明日もお願いしますね」

「ローラ様もお疲れでしょう。エルヴィスに行かれたのでしょう」

 ユーリはエリーに気遣ったように優しく言った。

「ええ、まあそれなりに大変でした。また厄介な人物が現れたのですよ」


「はい、リサさんより聞いております。臣下を申し出られたとか。身の程をわきまえていないのですね。そのカールデンとかいう皇帝は」

 ユーリは目を細めて少し怒りの表情をしている。そうしてマーク宰相執務室のドアの前に到着した。

 ユーリがドアをノックすと部屋の中からミリアの声がする。

「どうぞお入りください!」

  エリー達が部屋に入ると部屋にいた3人はエリーに一礼する。執務室にはマーク宰相、ミリア、ハル中将がいた。

「ローラ様……、エリー様お待ちしておりました」

 マーク宰相が声を掛けて来た。

「エルヴィス帝国の件。穏便に処理くださいましてありがとうございます」

 マーク宰相は微笑み再度一礼した。

「いいえ、大した事はしておりません。マーク閣下も和平会議1日目が無事に終わりお疲れ様でした」

 エリーは直ぐに微笑み言った。


「ハル閣下お話しとは何でしょうか?」

 エリーがハル中将の顔を見て微笑み言った。


「はい、エリーさんに異動辞令が発令されましたので、お伝えします」

 ハル中将はエリーにソファーに座るように手で即した。そしてエリーに微笑み言う。

「エリーさん、連邦国軍参謀本部、特別第1機動連隊から本日付けで軍務外事局特務対策課に異動辞令が発令されました。私の直属となります。階級は中佐となり特務対策課課長となりますのでよろしくお願いしますね。そしてエリー大隊は解体して3個中隊を分離第1機動連隊が吸収します。そして特務対策課内で新たにエリー大隊を編成、重装機兵2個中隊、新たに諜報特殊中隊、即応対応警備中隊を加えて4個中隊編成の大隊となりました。もちろん兼務で隊長はエリーさんです。でもエリーさんはこのまま自由に動いてもらって結構です。大隊の人選は私が決定していますので問題は無いと思います。エマ副長、セーヌさん、アンジェラさん、ボビーさん、アナさんもメンバーに入っているので安心してください」


 エリーは直ぐにハル中将を見て言う。

「ハル閣下、配慮に感謝します。ハル閣下の部下となってはしばらくご一緒という事ですね」

 ハル中将が嬉しそうに言う。

「そうですね。参謀本部から異動させるのに総長が少し抵抗しましたが説き伏せました。これで大陸安定、アクセリアル対策が進められますね」

「ええ、それで大隊本部はどこに設置するのですか?」

 エリーはミリアの準備した紅茶を飲みながら言った。


「本部は連邦国首都、軍務外事局内に設置しています。エリー大隊部隊本部は首都防衛隊基地内に設ける予定です。北部戦線からそこに移動してもらう予定です。エマ副長には設置準備をすでに依頼しています」

 エリーは紅茶を飲み干すとハル中将に頭を下げて言う。

「ありがとうございます。私は文官仕事が苦手なのでエマ副長がいるのは助かります」


「復帰してからエマ副長に会いました?」

 ハル中将がエリーの顔を見て微笑み言った。


「いいえ、襲撃翌日から会っていません。エマさんがいなくなって、エリー大隊は事務処理がガタガタになりましたからね。私はエマさんに丸投げして戦闘に集中していましたから……、本当にいつも迷惑かけていました」

 エリーは申し訳なさそうに言った。


「エマさん、一度こちらに来るようにしております。会ってくださいね」


 ハル中将はエリーの肩を軽く触れて言った。

「はい、ありがとうございます」

 エリーはハル中将の瞳を見て嬉しそうな顔をした。


「ハル閣下は、今日はこのあとどうされるのですか?」

 エリーが微笑み言った。それを聞いてハル中将は嬉しいそうにエリーを見て口元を緩める。

「ええ、一緒に夕食でも食べますか?」

 そしてマーク宰相とミリアのほうを見て言う。

「マーク閣下、ミリアさんもご一緒にどうですか? あゝ、お二人のほうがよろしいですね」

 ミリアは少し慌てたように言う。

「いいえ、ご一緒します。明日のこともありますしね」

 エリーは立ち上がり3人を見て言う。

「ではエランお姉様に急いで伝えておきます。厨房の担当者に怒られますからね」

 そう言ってミリアの執務机の受話器を取りエランに連絡した。

「それでは私はエランお姉様のところへ一旦戻ります。それでは食堂で」

 エリーは一礼するとユーリと共に部屋を出て行った。歩きながらユーリはエリーの耳元で囁く。

「ハル閣下はエリー様のため色々配慮にしてくださったのですね。最初、エリー様が毛嫌いしていたのが嘘のようです」


「そうですね。今では頼りにしていますからね」エリーは嬉しそうに言った。

 

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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