北部戦線15 特三機動連隊2
ここは、北方戦線、エリー機動大隊現地配備、6日目夜。
エリー大隊は、帝国特殊部隊の襲撃を受けてから44時間ほど経過していた。
エリー大隊は後方配置命令を受け、特別第三機動連隊へ配置になった。
エリー達がユーリカスタム重装機兵で特別第三機動連隊ベースキャップを出てから、一時間ほど経過している。
エリー達はユーリカスタム重装機兵に搭乗して北部国境付近に到達していた。
エリーが嬉しそうにユーリに言う。
「ユーリさん、この機体良いです」
サブシートに座っているユーリが少し困った表情でエリーを見て言う。
「エリー様は凄いです。私ではここまで扱えません! 本当に全開でここま来るとは思いませんでした」
「国境付近を東に回って帰投します」
エリーがユーリに言った。
「了解です! 本部にルート確認しましょう!」ユーリがヘッドギアの無線ボタンを押す。
「こちらユーリ!本部確認願います!」
『こちら特三本部! ユーリどうぞ!』
「只今より帰投予定、現在地より東回りルート確認願います! 以上!」
『本部了解! 現在、リスク報告無し! 以上!』
「こちらユーリ! 了解!」
『本部了解! お気を付けて! 以上!』
無線から機嫌の悪そうな女性の声がする。
『こちら本部! ユーリどうぞ!』
「こちらユーリ! なんでしょう!」
『そちらに可愛い同乗者はおられませんか!』
「こちらユーリ! 受信状況が悪い様です! よく聞き取れません! 以上!」
ユーリは慌てて無線ボタンを切りエリーを見る。
エリーは直ぐにユーリを振り返り言う。
「私が出た事! 気づいたね?」
ユーリは無線機の電源をオフにしてエリーに言う。
「多分ジェーン連隊長、一緒にいる事バレてますよね・・・・・・」
そして、突然警報が鳴り、女性のアナウンスが流れる〈警告! 所属不明機体、接近中!〉
エリーは慌ててモニター確認し、兵装システムロックを解除、戦闘モードに移行させた。
「かなり高速で来てます! 帝国側からなので多分敵だと思いますが?」
「三機ですね! 帝国重装機兵でこんな高速機体いないと思いますけど? 新型ですかね?」
エリーが嬉しいそうに言った。
ユーリが少し困った顔をして言う。
「振りきれますか?」
エリーは余裕そうに言う。
「多分全開なら振り切れると思いますが・・・・・・、一度接近して敵か味方か確認します」
エリーは機体を旋回させて未確認機体に接近行動をとった。
(先ずは! グラネードランチャーで牽制ね、味方ならゴメンナサイ!)
エリーは、兵装システムグラネードランチャーを選択した。
射軸は斜めに外して爆発で相手の分散を図る。続けてライフルシステムに変更して三連射する。
「帝国軍の様ですね! ユーリさん! 通信回線開いて友軍に連絡して下さい!」
ユーリがヘッドギアの共通無線回線を繋いで言う。「特三連隊ユーリ! 現在エリア38にて敵重装機兵と交戦中! 繰り返す!」
エリーは兵装をブレードに変更、融合炉出力を上げブレードをマナエナジーで包み込み斬撃を放ち敵重装機兵の一機と高速交差する。
そして次の瞬間、交差した帝国軍機兵が胴から砕け散り爆発して粉々に飛散した。
エリーは一機目の爆散を確認、兵装をライフルに変更して二連射して二機目の頭部に命中させ損傷、動きが鈍くなったところに接近してブレードで股下を斬り付け破壊した。
エリーは、三機目を仕留めるため、高速旋回して距離を詰めようとした時、危険感知スキルが発動、直ぐにエリーは機体上方にエネルギー防御シールドを展開する。
そして、エリーの機体上空で爆発が発生する。
「支援攻撃か! 敵の増援が来たみたいです!」
エリーは周囲を検知スキルで索敵して、帝国側から新たに10機程度の重装機兵が高速接近してくる事を確認した。
「ユーリさん! 離脱します! この数はさすがに相手出来ません!」
エリーは機体を反転させ、直ぐに全開モードでホバーリング離脱を行なった。
エリーのカスタム重装機兵は圧倒的なスピードで離脱して行く。そしてそれを見送る帝国軍重装機兵。
◆◇
『ビル! 大丈夫か!』帝国軍重装機兵コックピット内に無線の声が響く。
「はっ・・・・・・、大丈夫です」コックピット内のパイロットは弱々しい声をを発する。
ビルは体の震えを抑えながら思っていた。
(我々の力量と新型機なら仕留められると思っていた相手が、とんでもなく強く、あっさりと仲間が死んだ・・・・・・、自分がうかつだった・・・・・・)
『ビル! 撤退するぞ! 連邦の増援が来る!』無線の声が響く。
ビルは、ハットして言う。
「追撃許可をお願いします! 仲間が自分の軽はずみな行動で死にました! どうか・・・・・・」
『何を言っている! ビル中尉! これ以上損害は出せん! 撤退だ! 急げ!』
コックピット内に上官の怒りに満ちた無線の声が響いた。
ビルは視線を下げる。
「はっ! 了解!」
そして、帝国軍重装機兵隊は反転、帝国側へ高速離脱して行った。そして残された帝国軍重装機兵の残骸。
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