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和平交渉 第147話 ローラの評判

エリーはエルヴィス帝国ニース大将と会談する。

和平交渉会議当日、午後。

 ここはエルヴィス帝国領へ国境線より10kmほど入った地点。

 エリーの搭乗したベルーダはエルヴィス軍陣地の広場に着陸したところだ。周囲には多くのエルヴィス軍将兵達がとり囲んでいる。エリーは周囲を感知スキルで確認するが殺気などの不穏な感情は感じない。エリーは直ぐ酸素マスクとベルトを外してシートから立ち上がると、機体の簡易タラップに足を掛けて地面に飛び降りた。

 そしてエリーが周囲を見渡していると明らかに将官らしき人物が近寄って来て、エリーに敬礼する。

「ローラ様ですね。エルヴィス帝国軍大将、ニースです。お越し頂き感謝致します」

 エリーも直ぐに一礼して言う。

「べランドル帝国、エラン皇帝直属魔導士ローラ・ベーカーです。お出迎えに感謝致します」

 そう言ってエリーは慌ててヘルメットをとっり一礼した。周囲から驚きの声が漏れる。

「失礼とは思いますが。見た目があまりにもお若いので皆が驚いているのです」

 ニース大将が若干遠慮したように言った。


「はい、いつものことです。気にしておりません」エリーは微笑みニース大将の顔を見上げ見つめた。

「魔法とはすごいものなのですね。肉体まで若く保てるのですから、べランドルの大魔導師ローラ様やはりすごいお方です」

 ニース大将はエリーに笑顔で言った。エリーは少し嫌そうな顔をして言う。

「誤解が有るようですが、まあそれは良いです。今回の件。武力行使はないものと思いますが……、2人だけでお話をお願いしたいのですがいかがですか?」


 ニース大将はそれを聞いてすぐに頷き言う。

「ローラ様、それは……まさか……はい了解しました」

 ニース大将はすぐに士官を呼び何やら話したあと、にこやかな顔をして言う。

「あちらのテントに」

 エリーは隣に来ていたリサに微笑み言う。

「これからニース殿とお話をします。大丈夫と思いますが、ジャーアさんのところで待っていてください」リサは頷きベルーダへ戻って行った。エリーはニース大将と並んでテントの前まで歩く。身長は高め185cmくらいはある。黒髪の短髪。エリー好みの渋めのおじさま顔をしている。エリーはすでにある程度の情報はハリーから入手して対応を決定していた。このニース大将はエルヴィス帝国王家一族の一人で、ニース・エルヴィス卿であることも把握している。そしてエリーをここに誘い出したのもエルヴィス帝国の思惑があるからである。


 エリーはブラウン商会の頭脳ハリーに関心していた。

(ここまで予定通り進むとは。さすが元大陸に並ぶもの無しと呼ばれた大軍師ですわね)

 エリーはニース大将と共にテント内に入る。テント内は天窓が閉められ、照明電灯が点灯しているが薄暗い。30畳ほどの広さに会議用の大きなテーブルが置かれていた。

 ニース大将が椅子を引きエリーに声を掛ける。

「ローラ様! こちらへ」

 ニース大将は、端の棚からカップを取り出して何やらしてしてからテーブルにカップを置く。

「紅茶でございます。普段お飲みとか。ブラデール産の特級品です」

 エリーはニース大将に一礼するとカップに口をつけて一口飲んでから言う。

「ありがとうございます。それでは今回の件の弁明をお聞きします」

 ニース大将はエリーに一礼してから椅子に座る。

「ええ……、ローラ様はすでに、我々の意図は把握されておられると理解しております。ここに来られたのも確認するためと」

 ニース大将はエリーに微笑み言う。

「我が皇帝は危惧されているのです。今回のべランドル帝国政変から始まった大陸内勢力の変化に……、我がエルヴィスが取り残されると……。べランドル帝国のアイクル体制からエラン皇帝体制に代わっての体制の変化は目まぐるしい速度で進んでおります。かなり前から用意周到に準備された計画実行。我がカールデン皇帝は感嘆しておりました。エラン皇帝を後ろで操っているのはローラ様だと、各国に手を回して絶対的タイミングで実行して国内はあっという間に掌握、国家間交渉も手際良く進められている。決してエラン皇帝より前にお出にならないとも」

 ニース大将は少し目を細めてエリーを見て更に言う。

「大陸再編について是非、我がエルヴィスも参加したいのです。ローラ様はすでに各国に手を回され調整されているようですが。我がエルヴィスにはそのお話がないようなのです。それについてお伺いしたいのです」

 エリーはニース大将を見て考えた顔をする。

(あゝ、そうか……、ブラウン商会諜報機関とアンドレア魔道諜報部隊が動き回っているからね。それを言っているのかなぁ? 私がエランお姉様を操っているって? なんかボスみたいな感じで見られているみたいね。でも私は駒のひとつに過ぎない、全て取り仕切っているのはハリーさんだからね。役目を果たしますねハリーさん)

 エリーは微笑みニース大将を見て言う。

「はい、カールデン皇帝陛下には我がエラン陛下より親書を送る予定にしておりました。もう少しお待ち頂ければよかったのです。ニース閣下にはお伝えすべき事は、まずは国境沿いの兵力の撤退。皇帝陛下との会談準備。そして我がエラン陛下はエルヴィス帝国を置いていくつもりはない事です」

 それを聞いてニース大将はエリーを見て言う。

「もちろん、兵はすぐにでも撤退致します。その前にローラ様に合わせたい人物がいるのですがよろしいでしょうか?」

 エリーは微笑み言う。

「ええ、よろしいですよ」

 直ぐにエリーは感知スキルで確認する。敵意や殺気は感知出来ない。ニース大将は立ち上がりテント入り口からひとりの士官を招き入れた。

「私の甥です。ローラ様にどうしてもお会いしたいと。誠に申し訳ございません」

 エリーは微笑みその士官を視感して確認する。30代前半くらい身長は高め、顔立ちも整いニース大将に何処となく似ている。エリーに対する感情は敬意を感じる。その士官はエリーの前に来ると深く頭を下げて言う。

「お初にお目に掛かります。カールデン・エルヴィスと申します。ローラ様お会い出来て光栄です」そう言いて再度頭を下げた。

 エリーは戸惑った顔をする。

「あの……、お伺いしますが。カールデン陛下ではないのですか? まさかとは思いますが」

(ニース大将の甥て言ってたよね。ニース大将は前皇帝の弟だから! 甥って現皇帝のガールデンじゃないか! 何しに来た?)

 カールデンと名乗った士官はエリーを見て微笑み言う。

「はい、皇帝カールデンです。ですが非公式ですので問題無いです。カールデンとお呼びください。ローラ様」

 エリーは少し嫌な顔をして言う。

「カールデン陛下、私に何の御用でしょうか? 私はエラン皇帝の配下のひとりにすぎません」

 カールデンはエリーを見て跪き言う。

「直接お会いしてわかりました。私の従うべきお方だとローラ様! どうか我がエルヴィスをお導きくださいませ」

 エリーは少し下がって言う。

「カールデン陛下、お戯はそれぐらいにしてください。私はエラン皇帝配下のローラです。カールデン陛下のご期待にはとても添えません」

 そして頭を深く下げた。

(この皇帝大丈夫? 導けって何いてんだか?)

 カールデンの隣にいたニース大将も跪き頭を下げて言う。

「ローラ様、どうか我がエルヴィス帝国を傘下に加えて下さい。お願い致します」

 エリーは困った顔をして跪く二人を見つめる。

 


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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