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和平交渉 第146話 エルヴィス帝国

エルヴィス国境付近で不穏動き、エリーは対応する。

 和平交渉会議当日、午後。

 ここはエルヴィス帝国との国境付近。

 エリーはベルーダに搭乗して飛行中である。

「国境付近にエルヴィス帝国機甲師団が展開していますね。やる気でしょうか?」

 エリーがインカムをリサに繋いで尋ねた。リサは少し気分が悪そうに答える。

「帝国の政変に漬け込んで、様子を伺っているのではないかと考えます。しかし、こちらの出方次第で国境侵入もあり得るかもしれませんね。アイクル摂政はその辺は上手くやっていたのでしょう」

「兵力的に10個師団以上ですから、戦闘になれば押し込まれますね」

 リサは続けて言う。

「カールデン皇帝はしたたかな人物と聞いています。こちらの状況を見極めれば引くと思います」

 エリーは少し考えてからジャーア言う。

「ではとりあえず警告を行います。ジャーアさん、防御、兵装システムを私に移譲したください」

「はい、了解致しました。防御システム、兵装システム、ローラ様にお譲り致します」

 ジャーアは答えるとパネル操作を行いインカムヘッドスピーカーからシステム音声が聞こえる。

〈兵装システム、防御システム、魔道回路セカンドシートリンク接続確認〉


 エリーは正面のパネルを確認して言う。

「システムリンク確認しました。国家間共通無線帯開放願います。国境エルヴィス帝国軍中央へ機体を向け高度150でホバーリング願います。あと外部スピーカーもお願いしますね」

 それを聞いてジャーアは機体速度を落としてホバーリング体制に入る。ベルーダ僚機2機は離れ距離をとった。エリーはハッと一息吐くとインカムをオンにして言葉を発する。

『我々はべランドル帝国皇帝護衛隊です! エルヴィス帝国軍に警告致します! 条約に基づき直ちに国境兵力後退を要請します。このままの状況下ではべランドルに対する敵対行動とみなさざるおえません! 早期に解答をお願い致します!』エリーは同時に感知スキルを発動して周囲を警戒していた。

(国境沿いエルヴィス帝国軍には敵意らしい敵意は感じません。むしろ脅威とか恐れ的感情のほうが多く感じます。まあこのベルーダの機体を目にすれば恐れをいだくでしょうね)

 エリーは言い終わるとインカムをオフにして機内通話に切り替え言う。

「エルヴィス側から返答があるまで国境守備隊本部で待機します」


「ローラ様、了解致しました」

 ジャーアは答えると機体を反転させべランドル側へ進路をとる。エリーは感知スキルを拡大させて周囲を確認するがエルヴィス側からの敵対行動はとりあえず確認出来ない。

 エリー搭乗のベルーダへ僚機2機が接近して編隊を組むと国境守備隊本部へと飛行を開始する。そして直ぐに無線が入った。

《こちら第205師団本部! 皇帝護衛隊ローラ様、応答願います!》

 エリーはインカムで応答する。

「はい、こちら護衛隊ローラです。なんでしょう」

《ローラ様! では、お伝え致します。エルヴィス側から今回の件についての通達があると連絡を受けました。司令官級を国境付近に寄越して欲しいとの要望です。こちらのフェアス少将を向かわせますが、それでよろしいでしょうか?》

 エリーは直ぐ答える。

「いえ、それはダメです。私が出向きます」

 守備隊本部はしばらく沈黙してから応答が入る。

《ローラ様……、国境守備隊司令、フェアスです。申し訳ありませんが、エルヴィスが敵対行動をとる恐れがある現状ではローラ様を前に出す訳にはいきません。エラン陛下の盟友ローラ様を失うことにでもなったら大変です。どうかこの役は私にお任せ下さい》

「いいえ、私に任せてください。駆け引きに時間を掛けていられないのです」

 エリーは直ぐに部隊通信を遮断して言う。

「ジャーアさん、共通無線帯で通信繋いで下さい。そして機首をエルヴィス側へ向けてください」

 エリーはそう言ってインカムを外部通信に切り替える。

「こちらべランドル帝国、皇帝直属魔導士ローラです。今回の総責任者です。エルヴィス側は何かお話があるようですが、私がお受け致します。応答願います!」

 エリーは応答があるまで3回ほど同じ内容の言葉を繰り返した。

(こんなところでモタモタ出来ないのだけど……)

『こちらエルヴィス帝国第一軍司令官ニースと申します。大魔導師ローラ様、直々のお出まし痛み要ります。そちらの国境付近の指定場所へ出向きますのでお願い致します』

 エリーはすぐ応答する。

「ニース様、そちらへ行かせてもらいます。場所の連絡をお願いします」


『……、それはどう言う? 申し訳ありませんが理解出来ません。ローラ様がこちらへお越しになると言うことでしょうか』

 無線音声が戸惑っているのがわかった。

「ええ、着陸したいのでスペースを確保して誘導してもらえれば直ぐお伺い致します」

 エリーは嬉しいそう言った。

「広いほうが良いですが。まあ50mほどあれば降りれるのでお願いします。あとは場所が分かれば良いのでお願いします。発光信号弾でも打ち上げて頂ければそれを目指します」


『ローラ様、了解いたしました。場所の確保、今から1分後に発光信号を打ち上げます。それではお待ちしております』ニース司令官は直ぐ答えると無線通信を切った。

 エリーは嬉しそうにインカムを機内に切り替え言う。

「ジャーアさん、発光信号のほうへお願いします」

「ローラ様……、流石に危険では」

 ジャーアが不安そうな声で言った。

「そうです。ローラ様……少し無茶だと思います」リサの不安そうなインカム音声が入った。

 エリーは直ぐに言う。

「帝国は政変が起こって、アイクル摂政がいない今、周辺諸国は皇帝と新政府の力量を見ているんだよ。つけ入るスキは絶対に見せれない。エラン陛下は帝国をまとめる力がある。そう思わせないとね」

 そして前方に発光信号が上がり発光した。

 ジャーアが確認して言う。

「ローラ様、それではよろしいのですね。向かいます」

「はい、お願いします」

 エリーが答えるとベルーダは発光信号の方向に進路をとり飛行する。僚機2機も追随して飛行する。発光信号の上がった地点に着くと周囲200mほどのスペースが確保されていた。高度を下げ着陸体制に入る。ベルーダの機体を見てエルヴィスの将兵達は、非常に驚いた表情をしている。エリーは外部スピーカーに切り替え声を上げる。

《機体に接近しないでください! 回転翼が回っているので大怪我をします! 近づかないでください》

 エリーは外部スピーカーから注意を促す。周囲のエルヴィスの将兵達は、女性の声がしたことにも驚いている。

(何を驚いているのかしら? よっぽど珍しいの)

 ベルーダは周辺にプロペラ風で埃を巻きあげながら着陸した。そしてベルーダのコックピットキャノピーがスライドして開放されていく。エリー達が姿を現すとエルヴィス将兵達から歓声が上がった。

 

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!

今後もよろしくお願いします。

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