和平交渉 第142話 サンドラの消息2
ここはベルニス港湾都市アレー、港湾倉庫街。
エリー達は、ランカーⅡで朝イチ到着港湾道路沿いに軍用車両で移動していた。
「もう直ぐ到着します。ローラ様戦闘準備をお願い致します」
ユーリがエリーを見て言った。エリー達は白色の皇帝護衛隊アーマードスーツを着用している。
「今より通信規制及び、魔法使用規制を解除します。ユーリさんお願いします」
ユーリが待機中のブラウン商会機関員に連絡指示をでしている。
軍用車両車両は手前で停車して、皇帝護衛隊の軍装着用したブラウン商会傭兵部隊員が先行する。
エリーは感知スキルで周囲を警戒するが、敵らしい反応がない。(おかしいですね。魔道反応、殺気も感じませんね)
《こちら先行第一分隊! 目標ポイント! 敵反応無し!》
ユーリがヘッドギアインカムを押して応答する。
「そのまま待機! 周囲を警戒せよ! 以上」
ユーリはエリーを見て言う。
「ローラ様、どうですか? 反応はありますか」
エリーは周囲を見渡して言う。
「魔道反応どころか、わたし達以外の生体反応がありません」
「ここからサンドラ達の移動は確認されていません。居るはずなのですが」
ユーリは歩きながらエリーに言った。
「とりあえず建物内に入ってみますか。全く生体反応もありません。逃げられたのですかね」
エリーがユーリとリサに言った。リサはヘルメットを被りバイザーを下ろした。
エリーとユーリは軍刀を抜き魔力を通して戦闘体制をとる。
「私が先に入ります。ローラ様は防御シールドをお願い致します」ユーリは階段を上がり部屋のドアの前まで来ると手で合図を他の部隊員に送る。エリーの方向を見て頷くとドアを一気に開け放つ。部屋の中は薄暗くよく見えない。
エリーは感知スキルで周囲を探るが反応が無い。
ユーリがしばらくして声を上げる。
「ローラ様! 大変です。サンドラ殿が……」
ユーリが驚いた顔をしてエリーを見る。
エリーは慌ててユーリに駆け寄ると、部屋の奥に人が倒れているのがわかる。
「サンドラさんで間違いようです。死後4時間ていうところでしょうか」
エリーが神眼スキルを発動させサンドラを確認した。ユーリは動揺した顔でエリーを見て声を上げる。
「申し訳ありません! 失態です。このようなことになって……」
リサが周囲を確認して慌てて戻って来た。
「サンドラ殿の配下の者達も死亡を確認しました。やったのは余程の手練れは間違いないのですが、痕跡が確認出来ません。昨晩はアンドレア機関員の者が周囲警戒していたのですが。侵入者が確認されていません」
エリーが嫌な顔をして言う。
「まだ敵が潜んでいるかもしれません。各員に注意するよう通達して下さい」
(どうした? サンドラさんは実力者それを一撃で倒している。何者なのだ。まだとんでもない者がベルニスには潜んでいるのか?)
ユーリがインカムで部隊員に指示を出したあとエリーの顔見て言う。
「撤収致しますか?」
「はい、そうですね。もはや出来ることは有りませんからね」
エリーは残念そうに言った。それを聞いてユーリは頷き言う。
「遺体は回収して分析します。それでよろしいですね?」
「はい、ユーリさんにお任せします。撤収準備をお願いします」
エリーの顔を見てすぐにユーリはインカムで部隊員に指示を出した。
エリーはサンドラの遺体を見て嫌な顔をする。(アンドレア魔道師団、ブラウン商会を出し抜く組織が存在するとは……、警戒しなければなりませんね)
エリーはリサに視線を向けて言う。
「では、速やかに撤収致します」
「はい、今回の件、師団長にすぐに報告しておきます。よろしいですね」
リサはエリーを見て寂しそうな顔をする。
「ええ、お願いします。何か掴めれば良いのですが」
エリーは頷き答えた。そして太陽が昇り周囲が明るくなり始める。
「ウィンさんは動いて無いのですよね?」
エリーが少し躊躇ったようにユーリに聞いた。ユーリは頷き言う。
「はい、王城からは出ておりません。間違いなく」
「そうですか、では帰りましょう」
エリーは部屋から出て階段を降りて行く。
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