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和平交渉 第135話 アレッサンドロ国王倒れる

ベルニス王城内の混乱。


 皇帝暗殺未遂事件翌日午後。

  

 エリー達はベルニス王城内を外務担当者に案内され移動していた。エリーは城内の慌ただしい雰囲気を感じる。

(どうしたのでしょうか? 戸惑い混乱を一部感じるのですが・・・・・・。ですが前を歩いている外務担当者からは感じ取れない。なんなんでしょう)

 

 エリーを見てユーリが耳元で囁く。

「何かあったのでしょうか。城内での感情の酷い乱れを感じるのですか」


 エリーは頷きユーリを見る。

「ユーリさんも感じますか。でも殺気とか攻撃的な雰囲気では無いのですよね」


 前から慌てたようにベルニスの役人がやって来て前にいる外務担当者と小声で何やら話している。外務担当者の顔色が変わり動揺した表情になり立ち止まった。

 エリーが外務担当者に声を掛ける。

「どうかされましたか? かなり顔色が悪いようですが」

 

 外務担当者は動揺した顔でエリーに一礼して一瞬間を置いてためらったように言う。

「・・・・・・いえ、大変申し訳ないのですが、今日の謁見は中止とさせていただきたいのです」


「しかし、急に中止と言われましても、それなりの理由の説明をして頂かないと、こちらとしても困ります」

 隣りのユーリが外務担当者に少し機嫌が悪そうに言った。


「はい、ごもっともな事ですが、私の立場ではこれ以上は申し上げられません。どうかご容赦ください」

 外務担当者は深く頭を下げた。ユーリはそれを聞いて直ぐにエリーを見て言う。


「ローラ様どうなさいますか? これでは引き返す訳にはいきません」


「ええ、そうですよね」

 エリーは外務担当者を見て言う。

「説明出来る方を呼んで頂けますか。私達もこれでは戻る訳には行きません」


 外務担当者は動揺したままさらに慌てて言う。

「はい、申し訳ありません。直ぐに上の者に連絡致しますので、ここで待って頂けますか」


 そう言って外務担当者は駆け出しエリー達から離れて行った。


「これはただ事ではありませんね」

 リサがポツリと言った。エリーは頷き直ぐに感知スキルを発動する。

(どうでしょう? 周囲を拡大して確認してみますか。200mほど奥の部屋で人が集まっています。混乱した感情の乱れを感じます)


 ユーリはエリーを言う。

「謁見の間まで強引に押し通りますか?」


「いえ、さすがにそれは出来ません。少し待ちましょう」

 エリーは通路の壁側により周辺を感知スキルでさらに確認した。


「アレッサンドロ国王に何かあったようです」エリーはユーリとリサを見て言う。


「アレッサンドロ国王の命に関わることが起こっている」

 エリーが周辺からスキルで読み取った結論である。だがどう言う状況かまではわからない。エリーは微笑んでユーリを見て言う。

「探りを入れてみますね」


 エリーは通路を慌てて移動する侍女に声を掛ける。

「陛下はご無事なのですか? 私達にできることがありましたら何なりと」

 そう言ってエリーは一礼した。

 侍女はエリーを見て言う。

「国王陛下はまだなんとか息をしておられます。ですが、かなり危険な状態です」

 そう言って侍女はエリーより慌てて離れて行った。


 エリーは首を傾げて不思議そうな顔をして2人を見る。

「追い込まれて自害でもしたのですかね。いえ、そんなことは無いと思いますけど?

 理由がわかりません。あの国王なら自害より逃亡を選びます」


 そしてエリーの前にベルニスの役人がやって来て一礼する。

「大魔導士ローラ様、申し訳有りません。現在、陛下はとてもお会い出来る状況にありませんので、今日のところは何も聞かずお戻り頂ければよろしいのですが・・・・・・。まあ、そんな説明では・・・・・・、

外務次席担当官イエスンと申します。ええ、ローラ様のお察しの通り城内は今混乱しております。陛下が毒を盛られたのです。今、解毒処置をやっております。しかし芳しくなく・・・・・・」


 エリーは外務次席担当官イエスンの顔を見て言う。

「私に、アレッサンドロ陛下の処置をやらせてください」


「・・・・・・え」

 外務次席担当官イエスンは困惑した顔をしてエリーを見つめる。


「時間がありません。早く陛下のところへ。私は治癒魔法が使えます。ことは急を要すると思います」

 エリーは外務次席担当官イエスンを見つめてさらに言った。


「はい、よろしくお願いします。ローラ様」

 外務次席担当官イエスンは覚悟を決めた顔をしてエリーに言った。

 イエスンの後ろに付いて3人は奥の部屋までで進む。部屋に入ると床に寝かされた男性が1人いるのが確認出来た。アレッサンドロ国王である。1人の医務官が診察処置をしているようだが、状況があまり良くないのは顔の表情でわかる。


 エリーが医務官の隣りに屈んで声を掛ける。

「状況はどうですか?」

 医務官はくらい顔をしてエリーの顔を見て言う。

「どうにもなりません。毒が特定出来ません。吐かせるには吐かせるたのですが。全量とは行きません。呼吸心拍共に弱まって来ています」


 エリーは微笑んで医務官に言う。

「離れて下さい。今から私の治癒スキルで解毒処理を行います」

(顔悪い! 毒がかなり効いてきている。時間がない。急がなければ)


 エリーは直ぐにアレッサンドロ国王を抱える。治癒スキルを発動、エリーの体が薄い紫色の光に包まれ、その光がアレッサンドロ国王も包み込む。しばらく光に包まれ時間が経過して行く。そして光が消える。


「終わりました。アレッサンドロ陛下はもう大丈夫です」

 そう言ってエリーはアレッサンドロ国王を床にゆっくりと寝かせた。医務官がアレッサンドロ国王の診療を行い、驚きの表情をして言う。

「はい、正常な状態です。もう心配はありません」

 周囲にいたもの達が安堵の表情を浮かべる。そしてエリーの周辺にいたベルニスの役人達は畏敬の念を持って見つめていた。


「おお、帝国のローラ様!」

 アレッサンドロ国王の周辺にいたもの達が声を上げエリーに跪く。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


 これからも、どうぞよろしくお願いします。


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