表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/445

和平交渉 第132話 女神スキル発動

エリーは魔道士3人を救う。

 皇帝暗殺未遂事件翌日朝。ここはベルニス王都南東部郊外、寂れた大きな屋敷内。エリーとユーリはベルニス魔道士3人と戦闘状態にあった。


 ユーリは魔力量を上げ身体強化を図り、そして白色の光に包まれ輝く。ハルドロがたまらず声を上げる。

「冗談だろう! その魔力量は特級魔道士クラスだぞ! お前は魔導剣士では無いのか」

 ユーリが微笑み声を上げる。

「あなたは勘違いしている。力は願い望む者に与えられるのです。ローラ様は偉大なお方です。あなたが従するものとは桁が違うのですよ。主人は慎重に選ばないとこのような結果になるのです」


 そう言ってユーリは魔力量をさらに増大させ軍刀に流し込む。軍刀は金色に輝き光が迸り始めた。それを見てハルドロは目を見開き驚愕の表情で立ち尽くす。そして呟いた。

「お前は、神にでも仕えているのか? 人間ではあり得ない領域だ・・・・・・」


 エリーはフランキーと対峙しながらユーリの魔力量を感知して慌てたように声を発した。

「ユーリさん! 抑えてください! 周辺を消すつもりですか! そんな魔力放ったら屋敷ごと無くなります!」


 エリーはフランキーに牽制の斬撃を放ち瞬時にユーリの隣についた。

「ユーリさん、落ち着いてください。適正量に制御してください。好きなだけ放出してはダメですよ」

 エリーはそう言って視線をユーリに向け左手をユーリの右肩に乗せた。

「申し訳ありません。感情のままにやってしまうところでした」

 ユーリはそう言ってエリーを一瞬見てハルドロを見据えると魔力量を下げた。迸る光は落ち着き少し小さくなった。


 ハルドロはユーリを動揺と恐怖の入り混じった表情で見つめたまま動くことが出来ない。

 エリーはユーリに言う。

「あのものは、もはやユーリさんの魔導覇気に精神をやられて無力化されています。剣士のほうをやりましょう」

 エリーはすぐさま軍刀を逆に持ち替えると飛び出しハルドロに一撃加えて壁に吹き飛ばした。そしてハルドロは壁に当たり崩れ落ちる。


 フランキーはその間、金縛りにあったように身動き出来ずにいた。動けばエリーの一撃が瞬時に体を切り裂かれることが予想出来たからだ。

「はっはっーーっ! どれほどかと思いましたが、身をもって体験するとこんな理不尽な力が存在するとは・・・・・・。ローラ様、あなた様は人間ではありませんよね。そのような力いくら血統者と言えど持ち合わせません。どんなに修練鍛錬を重ねようとも到達出来ない領域・・・・・・。そう、神の領域」


 エリーは軍刀を両手で握り治して上段に構えた。

「フランキーさん、見えるのですか私の本当の姿が」


フランキーは構えていた魔導剣を下げてエリーを見て言う。

「いえ、全体像は見えません。一瞬にして膨大な魔力量を上げ対応出来る。そんなの人間技ではありません。マナエナジーの流れ圧縮、開放を簡単に行なっておられる。そしてそれを制御している核の部分はとんでもなく強大な力をもっている。そして慈悲深い」


 エリーが少し戸惑った顔をしてフランキーを見る。

「慈悲深い?」


 フランキーはエリーの顔を見て微笑み言う。

「ローラ様のお力なら、私達など敵ではありません。ですがそこにおられるマリアさんに配慮されて力をほとんど発揮されていない」


 ユーリはフランキーに声をあげた。

「お前達など及ばないことなど最初からわかっている。私だけで十分だが、万が一のためにご同行願っただけだ」


 フランキーが視線を下げて言う。

「それは幸運でした。もしローラ様がこの場に居られなかったら、私達はマリアさんに蹂躙惨殺されて終わりでしたでしょう。しかしそうでなくローラ様が居られたことで、まだひとりも死んでいない」


 エリーが軍刀を構えたまま少し微笑んで言う。

「あなたは何が望みですか?」


「はい、サンドラ様の繋がりを絶って頂ければ、ローラ様に従います」

 

 ユーリがフランキーの顔を見て苛立った顔をする。

「お前ごときが従うだと、ふざけた事を言うな!」

 

 エリーは左手を上げてユーリを制した。

「ユーリさん、落ち着いて、お願いします」

 ユーリは戸惑った顔をして後ろへ下がった。


「ではみんな、ここで殺さねばならない訳ね。当然、あと2人もいいのよね」

 エリーがフランキーの顔を見て微笑み言う。

 ユーリが少し驚いた顔をしてエリーを見つめる。


「はい、シンシアもハルドロも道はこれしか残っておりません。是非もありません」

 フランキーは魔導剣を床に置き跪き頭を下げた。


「では、女神の紋章をあなた達に刻みます。これは完全な従属の契約です。そして二度と私に逆らうことは出来なくなります。それでよろしいですか」


「はい、私はこのような心の高振りを感じたことはありません。謹んでお願い致します」


 後ろでユーリは不満そうな顔をしてエリーを見ている。

「ユーリさん、私の本当の姿を知っていますよね」

 ユーリは目を閉じて言う。

「はい、深淵におられる女神セレーナ様です」


 エリーはすぐさま魔力量を上げると体全体が白色の光に包まれた。瞳が赤色に変色し髪色が銀髪に変わり輝き始めた。そして瞳が若干吊り上がり大きく開いた。

「お前の望み叶えてやろう。私の力も付与してやる。そして永遠に死ぬまで我に従属せよ」

 セレーナをフランキーは幸福感に満ち溢れた顔をして見上げている。

 セレーナは体の光をフランキーへと広げて包み込む。そしてフランキーは意識を失い倒れ込んだ。それを見てセレーナはシンシア、ハルドロへと光を広げ包み込む。セレーナはシンシアに近づき、切り飛ばされた右手を拾い切断部分に合わせると魔力を通す。すると直ぐに右手の切断部分が再生された。ユーリはそれを冷静に見つめている。


 しばらくして女神の紋章術式が終了。セレーナはエリーへと戻っていく。瞳は赤色から朱色へ変色、髪色は輝く銀髪から紫色へ、顔も幼くなっていつものエリーに戻った。

「ユーリさん、終わりました。とりあえずこの3人はレベッカさんに預けますね」


 ユーリ姿勢を正して頭を深く下げた。

「エリー様、ありがとうございます」


 エリーはふーーっと息を吐き言う。

「ユーリさん、焦らなくていいからね」


 そうして裏手からブラウン商会の機関員達がやって来て3人を運び出した。

 

 エリーがユーリの腰に手を回して微笑み言う。

「では、昼食ですね。帰りましょうか」

 ユーリはそれを聞いて頷き歩き外へと向かう。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ