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和平交渉 第131話 ユーリは師匠と再会する

ユーリは昔の師匠と再会する

 皇帝暗殺未遂事件翌日朝。ここはベルニス王都南東部郊外。

 エリーとユーリは寂れた大きな屋敷の敷地内にいた。

(あゝ、魔道士がいるのは間違いないようです。ユーリさんの精神体が揺らめいていますね。どうも知り合いのようですが?)

 エリーは感知スキルを発動して周囲を確認している。


「ユーリさん、3人の中に知り合いがいるのですか? 私にはわかるのですよ」

 エリーは魔導ローブのフードを少し上げてユーリを見る。


「はい、知り合いはたぶんいると思います」

 ユーリがエリーを見て微笑み言った。

「どうするのですか? 知り合いなら」

 エリーが少し遠慮したように言った。


「はい、我々に反抗するのなら容赦なく処理致します」

 ユーリは躊躇なくすぐに答えた。

 エリーはユーリの顔を覗き込む。

(処理て・・・・・・、知り合いなら少しはためらいくらい見せてよユーリさん)

 エリーは少し嫌な顔をしているとユーリが言う。

「お気遣いは無用です。これから障害になるようでしたら遠慮なくお願い致します」

 エリーはユーリと歩きながら言う。

「その人の名前は、聞いておくよ」

 

 ユーリはエリーを少し見て微笑み言う。

「はい、シンシアと申します。昔の魔法の師匠でした。師匠といってもエリー・・・・・・、ローラ様には遠く及びませんが」


 エリーとユーリは建物裏手の入口ドアから鍵を壊して侵入した。建物内は薄暗く静まり返っている。

(さすがは魔道士、隠蔽スキルか何かで隠蔽偽装している良いですが、残念ながら私の感知スキルはちゃんと反応していますよ)


「ユーリさん、一階居間に3人いますね。我々は隠蔽スキルを使っていないので向こうは気づいて戦闘体制をとっているようです」


 前を歩くユーリがエリーを振り返る。

「一気に片付けますか?」


 エリーはフード少し上げてユーリの顔を見る。

「猶予くらいは与えてくださいね。少しくらいお話しされたらどうですか」


「はい、了解致しました。降伏の機会くらいは与えます」

 ユーリは無表情に答えた。エリーはそれを見て言う。


「先に入りますか?」

 エリーがユーリに尋ねた。


「はい、では先に入ります」

 ユーリは直ぐに答えると、エリーは防御シールドをユーリの前に展開させて突入準備をする。居間の外開きのドアは閉まっている。エリーは神眼スキルですでに中の様子は把握していた。エリーはユーリの後ろで囁く。

「ドアを開けたら銃弾が来ます。そのあとは銃撃と斬撃が来ます。向こうは一気に魔力を上げて来ますよ」


 ユーリは頷き言う。

「はい、了解しました。それでは行きます」

 そう言うとユーリはドアを開け放つ。そして直ぐにライフルと短銃の発射音がする。〈パン、パン、パン〉、エリーは直ぐに魔力量を増大させシールドを強化した。

魔導ライフル弾はシールドに阻まれ潰れて爆散した。

(やはりタダの弾丸では無かった。仕込んでましたね)


 部屋の奥にテーブルを盾にしたライフルを持った男が声を上げる。

「俺の一撃を防ぐとは! 只者では無いな。もしかして魔道士ローラ自ら乗り込んで来たか!」


 書棚の影に潜んでいる女性が声を上げた。「私達はまだ何もしていない、国外でこんなことが罷り通ると思っているのですか?」


 ユーリが軍刀を上段に構えて声を上げる。

「大丈夫です。問題にはなりません。だって証拠を残さないのですから」


 1番奥の机に身を潜めている男性が呆れたような声で言う。

「かなりの自信があるようですね。私達など敵では無いと」


 銀髪長髪の男性は魔導剣をユーリのほうへ構えて机の陰から姿を現した。

「私は、元ベルニス王国国家魔道士、フランキーと申します。訳あって今は闇に沈んでおりますが。どうかお手柔らかにお願い致します」


 それを聞いてユーリが声を上げる。

「名など名乗らなくてよい。私は知っています」


 ユーリの姿を見て書棚の影にいたグリーン髪色ポニーテールの女性が、両手に短銃を構えて姿を現す。

「マリア・・・・・・、見違えたよ。美人になったね。しかしその魔力量どうしたんだい? どう考えてもあり得ないね。帝国の犬になったんだね。父さんを殺したんだよ帝国は、それでも帝国なのかい」


「シンシアさん、それは師匠が優れたお方だからですよ。そして父を殺したのはベルニスですよ。父は利用されたのです」

 ユーリは目を細めてシンシアを見つめて言った。


 テーブルを盾にしていた男がライフル弾を構えて声を発した。

「お前は敵なのだな。まあ、最初から俺たちをやるつもりで来ているようだな!」


 そしてライフル弾を発射した。次の瞬間閃光と爆発音がする。〈バーーン〉

 エリーは直ぐに両眼を神眼に切替て確認した。(残念ながら、神眼には魔導閃光弾は通用しないよ)

 エリーは素早くユーリの後ろから飛び出すと机の上に飛び乗り軍刀を振り下ろしフランキーを牽制した。

「驚きですよ。目眩しなんて関係ないんですね」 

 フランキーは冷静に後ろへ飛び下がった。そしてシンシアがエリー目掛けて短銃を発射する。〈パン、パン、パン〉

 エリーは防御シールドを展開、銃弾は潰れて床にポトポトと落ちた。

 シンシアが声を発した。

「ダメか! この距離でシールドを破れないとはアンタはかなりの魔道士だね」


 ユーリがすぐさまシンシアに距離を詰めると軍刀を猛烈な速度で振り下ろした。シンシアは防御シールドを展開させて対応しようとしたが、ユーリの斬撃はそれを打ち砕き軍刀はシンシアの右腕を切り落とし体も後方へ吹き飛ばした。

 〈ぐーーっ!〉シンシアは壁にぶつかり意識を失て倒れ込んだ。ユーリの前にハルドロが入り込み魔導ライフルを連射する。

〈バン、バン〉

 ユーリはすかさず魔力量を上げ後方へ退き魔法シールドを展開した。魔導ライフル弾はシールドを貫通するが威力の落ちた弾丸はユーリの軍刀によって弾かれ爆散する。

 ハルドロは倒れ込んだシンシアを揺り起そうとしているが反応がない。フランキーはエリーを振り切りシンシアに近づこうとするが、エリーの魔導闘気に押されて近づくことが出来ない。


 ユーリは魔力量を上げ身体強化を図り、そして白色の光に包まれ輝く。ハルドロがたまらず声を上げる。

「冗談だろう! その魔力量は特級魔道士クラスだぞ」


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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