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和平交渉 第128話 セリカとのユーリについて話す

エリーはセリカとユーリの状態ついて話す。


 帝都出撃4日目深夜。ここはベランドル帝国、帝都ドール市ドール城、執務執行エリア。


 食事会が終わりエリーはセリカの護衛隊執務室のソファーに座り紅茶を飲んでいた。

「お話しとはなんですか?」

 エリーが反対側に座るセリカ微笑む。いまは部屋には2人しかいない。


「ええ、お気づきとは思いますが、ユーリさんについてです。ユーリさんの雰囲気が妖艶になって魔力量が増大しているのです。ユーリさんはそれを隠そうともしない。エリー様お心当たりはありますか?」

 セリカはエリーの顔を見て反応を伺う。


「まあ、セリカさんならわかりますよね。ユーリさんの願いで洗礼をしたのですが。精神的に直ぐには安定しないですしね。魔力量が増大すると慣れてないと精神的に不安定になったり思いが増長し易いにですよ。ですが大丈夫だと思います」

 エリーがセリカの視線を外して紅茶のカップを見ながら言った。


「ユーリさん、エリー様への想いがとても強いので暴走しなければ良いのですが」

 セリカが心配そうに言うとエリーが直ぐに答える。

「大丈夫、しばらく一緒にいるから、ちゃんと見るからね」

 エリーはセリカの顔を見て微笑んだ。セリカは紅茶を飲み干すとエリーを真剣な顔で見つめて言う。


「ユーリさんは、元々強いお方です。それが洗礼を受けたとなると、その力はかなりのものとなると思いますが」

 セリカが紅茶カップをテーブルに置いってエリーを少し嫌な顔で見た。


「うーーん、そうだね。トッドさんを上回るかもね」

 エリーは少し考えて答えた。


「それと少し気に掛かることがあるのですが・・・・・・、エリー様に向けられている感情が忠誠とか信頼とかとは違うような感じがするのです。エリー様はどう思われますか?」

 セリカがエリーを見つめて言った。


「そうだね。ユーリさんとは6年くらい一緒にいるけど、私を妹みたいな感じで見ているんじゃないかな、たぶんそう思う」

 エリーは視線を執務室の窓のほうに向けて少し戸惑った顔ををして言った。

 

 セリカがソファーから立ち上がりエリーに寄って囁く。

「女神の祝福をされたことはあるのですか?」


「え・・・・・・、無いよ。エリーにうまれてからは一度も無いよ」

 エリーは困惑した顔でセリカを見て言った。


 セリカがエリーに頭を下げて言う。

「申し訳ありません。失礼なことを伺いました」


 エリーは少し嫌な顔をしてセリカを見て言う。

「セリカさん、女神の祝福を知っているの?」

 

「女神の契約スキルの中には洗礼と祝福と、あとは従属契約の女神の紋章が有るんだけどね。契約すればなんらかのメリットデメリットはそれぞれあるんだよね。すべてその契約者の能力は底上げはするんだけど制御出来なければ、その契約者を破滅させることだってあるんだよね。だから契約者は慎重に選ばないといけないんだよ」

 エリーは言い終わってセリカの顔を見る。そして更に言う。


「祝福は負荷が高いからね。契約者が壊れてしまうかもしれないんだよ。詳しい情報はセレーナから引き出さないとなんとも言えないけどね。なんか・・・・・・いやらしいだよね。深淵の精神と肉体の交わりみたいな・・・・・・」


「セリカさんは耐えられるかもしれないけどね。受けたいの? 確かにスキルはさらに高度なものが使えるようになるけど・・・・・・」


 セリカはエリーの顔を見て言う。

「私は十分です。まだこの力さえ使いこなせていないのに、エリー様、明日は早いのでしょう! お休みになられたほうがよろしいかと」

 エリーは微笑みセリカを見て言う。

「はい、そうですね。明日は忙しそうなので、もう寝ます」

 エリーはセリカに一礼して執務室から出て行った。



◆◇◆◇



 ここはベルニス王国、王城国王居住エリア内。


 アレッサンドロ国王はサンドラからの報告を受け顔を強張らせて声を上げる。

「なぜだ? そんなに慌てて来る必要がある。しかもローラのみの訪問? 何かあるのか証拠でも・・・・・・」


 サンドラがアレッサンドロ国王を見て言う。

「何を怯えていらっしゃるのですか。我々は証拠は残しておりません。相手には疑われても手を出せる状況にはありません」


 アレッサンドロ国王は椅子から立ち上が悲しい顔をして言う。

「我が自慢の15人衆の11人がたった3人の者どもに潰されたのだぞ。ローラはその者達より格上なのだろう。その者が明日来るのだぞ。なんのために来るのだ! 不安がないわけないだろう」


「残りの3人を呼び戻しております。明日には到着するので安心して下さい」

 サンドラがアレッサンドロ国王を冷たい目で見つめて言った。


「残りの3人はどうだ。役に立つのか?」


「はい、特級魔道士レベルですので、私と3人で掛かればローラを抑えることも可能かと思います。いざとなれば仕留めることも出来ると」

 サンドラは冷たい表情で淡々と言った。


「そうか、いざとなれば私も加勢するから大丈夫だな。しかし、仮にローラに勝ったとしてもベルニスは終わりだな」

 アレッサンドロ国王は少し安心した顔で言った。


「出来ればはぐらかし、穏便に済ませれば良いのですが。ローラと戦いは避けたいのが本音です」

 サンドラは少し嫌な顔をしてアレッサンドロ国王を見て言う。


「では、準備があるので失礼致します」

 そう言いってサンドラ一礼すると国王居室から出て行った。


 サンドラは部屋から出て目を閉じて呟く。

「アレッサンドロではもはや限界か」

 そして廊下を歩いて行った。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

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