和平交渉 第125話 皇帝暗殺未遂事件後
エラン皇帝暗殺未遂事件後の話。
帝都出撃4日目夕方。ここはベランドル帝国、帝都ドール市ドール城、皇帝執務室。
皇帝暗殺未遂事件により、商工金融会議は中止され後日に変更となり、エリーは皇城へ帰って来ていた。
そのあとマーク宰相と閣僚達の訪問を受け説明対処が今しがたやっと終わったところだ。
「セリカさん、どうでした?」
エリーがだらけた顔でソファーに寝そべりセリカの顔を見て言った。
セリカはソファーにゆっくり座り少し嫌な顔をして言う。
「エリー様、それはまずいです。今はエラン陛下なのですよ。そんな顔を侍女にでも見られたら大変です」
「大丈夫だよ。瞬時に整えられるからね。最近疲れると体の力が抜けちゃうんだよ。ほんと嫌になります・・・・・・」
エリーは生気の無い目でセリカを見て言った。
「明日は午前中に和平交渉についての閣議がありますよ。しっかり休養してくださいね」
セリカがエリーの生気の無い顔を見つめてガッカリした表情した。
「あゝ、大丈夫だよ。エランお姉様、今日中に帰って来る予定だから」
「そうなのですか。あゝそうですねよね。暗殺未遂事件が発生したのですから」
「それで捕らえたもの達は、どのようにされるおつもりですか?」
セリカは立ち上がりエリーのそばに寄る。
「そうだね。私の使徒になってもろううか」
そう言ってエリーは少し考えてた顔をして。
「まあ回復を待ってからにするね。全員1か月以上は動け無いだろうからね」
セリカは微笑み言う。
「ですがあの魔導剣は凄いですね。殺さず戦闘不能に出来るのですから」
エリーはセリカの手を優しく掴んで言う。
「セリカさんがきちんと制御出来たからだよ。魔力量だけ上げて振り回したら今日の人達は全員死んでるよ。ちょっと教えただけで、ある程度使いこなしたんだから凄いよ」
エリーはソファーから立ち上がりセリカの瞳を見つめる。
「ですが私がこのような魔導剣士なろうとは思いませんでした。エリー様の導きのお陰ですね」
セリカはエリーを見て頭を下げた。そしてセリカが思い出したように言う。
「ユーリさんから急ぎ戻るとの連絡を受けておりました。申し訳ありません。お伝え忘れておりました」
そう言ってセリカは頭を下げてさらに言った。
「ユーリさんには、一切今回の件お伝えしていないのですよね。どうされるおつもりですか?」
エリーは少し悲しそうな顔をして言う。
「そうだね、全部正直に話すよ。とりあえず上手く行って良かった。お父様も生きているしね」
◆◇
ここはベルニス王国、王城国王執務室内。
アレッサンドロ国王はサンドラからの報告を受け顔を歪めて。
「なぜだ! こちらがが一方的に・・・・・・、
全滅しても皇帝は仕留められるはずではなかったのか?」
サンドラはアレッサンドロ国王の前に直立不動の姿勢で立っている。表情は冷静な顔をしてアレッサンドロ国王を見つめている。
「イレイナ、フリアは現在帝国に留まっておりますが。今後の作戦は困難な精神状態です。我ら15人衆のメンバー9人をやられ2人がかなりの精神的ダメージを受けた。どれだけ現場が壮絶だったか想像出来ます」
アレッサンドロ国王は視線を下げて言う。
「サンドラ、お前が出るのだな」
サンドラは無表情な顔でソファーに座るアレッサンドロ国王を見ている。
「はい、残りの3人を呼び戻しております。条約締結を口実に帝都に行って参ります」
「そうか、私も行きたいがそう言う訳にもいかぬ。軍事行動準備を指示せねばならんな」
アレッサンドロ国王が言うとサンドラが否定する。
「いえ、事前行動は漏れる恐れがあります。動かぬようお願い致します。帝国の手のものがかなり我が国に潜っているようですから」
「では、条約締結の段取りをして参ります」サンドラはアレッサンドロ国王に一礼すると部屋から出て行った。
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