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和平交渉 第124話 襲撃撃退

エリーはガルフ隊の襲撃を撃退す。


 帝都出撃4日目午後。ここはベランドル帝国、帝都ドール市西区。

 エリーは皇帝専用車両に後部席に座って街並みを眺めていた。

「陛下! もう角を曲がれば予定地点です」

 エリーの隣に座っているセリカが呟く。


「ええ、感じます。やる気満々の殺気をね。ダダ漏れですね。制御しているものもいるようですが。私の感知スキルからは逃げられません」

 エリーは嬉しそうにセリカを見て答えた。皇帝車両角を曲がり帝都中央商工会館ビルの裏通りに入ると、レベッカが言う。

「車両止まったら防御シールド展開します」


 エリーは微笑んで言う。

「ええ、お任せします。あと警戒に当たってるものは退がるよう指示してください。巻き込まれますからね」

 

 レベッカが少し緊張した顔でエリーを見て言う。

「はい、そう言われると思いましてすでに伝えております」

 

 エリーはそれを聞いて微笑み言う。

「では、お任せしますね。セリカさん、レベッカさん」


 皇帝の車列が商工会館ビル裏手の入口前で停車する。セリカはすでに魔力量を上げ戦闘体制を取りドアを開ける。直ぐに降りると魔導剣を抜き放ち、魔導剣には魔力が迸り光を放っている。


 エリーはレベッカと共に車両から降りて防御シールドを周囲に展開した。そして皇帝専用車両の前後にいた車両はすぐさま走り去る。


 時間を置かず直ぐに向かいのビルの影にいた男性が勢いよく飛び出して来る。すかさずセリカが前に出て対応した。


 飛び出した男性叫ぶ。

「いまだ! コービン!」

 〈パン、パン、パン〉ライフルの発射音がビルの間で響いた。ライフル弾はレベッカの防御シールドに到達、二重障壁の一段目を貫通するが内側のシールドは破れず地面に潰れ落下した。

 レベッカは直ぐにエリーに呟く。

「やはり初手は銃撃ですね。まあ魔導弾でも貫通は出来ませんけどね」


 そして前方のセリカが4人に囲まれ対峙している。エリーはそれを見て言う。

「セリカさんを抑えに来ましたね。でもたぶん無理ですね」


 そしてエリーの前にも3人の剣を持った男性1人女性2人が姿を現す。見ただけでかなりの使い手である事はわかった。

(やる気満々ですね! 魔力量全開見たいです。遊ぶつもりは全く感じません)

 

 エリーは直ぐにレベッカに声を上げる。

「相手は容赦無く来ます! そのつもりで対応してください!」


 レベッカは声を上げる。

「はい! 私も容赦しません!」


 エリーは右側の男性を見て言う。

「私がお相手致します。ガルフ・ラングリスさん、ですよね」


 それを聞いてエリーと対峙している男性に、一瞬動揺が見られたが直ぐに冷静な表情になって声を上げる。

「どうやら情報は筒抜けのようですね! しかし驚いた事です。ついこの前までお飾りの皇帝と思っていたお方が、このようにとんでもない化け物になって私の前に立っておられる。やはり血統者とは厄介な代物なのですね」


 ガルフの隣りにいた女性剣士2人はレベッカの格闘術に翻弄されガルフから引き離された。

 ガルフが声を上げる。

「エイミー、バーネスの2人が・‥・・・! 陛下の従者はとんでもないものばかりですな!」

 ガルフはエリーに素早く詰めると上段から猛烈な斬撃を放つ。エリーは直ぐに上体を右に振り交わすと追い討ちの鋭い突きが腹部目掛けて入って来た。エリーはすぐさま右足を蹴り後方へと飛んで間合いをとった。

 ガルフはエリーを見据えて声を上げる。

「陛下! 歴戦の剣士のような身のこなし、見立ては間違っていなかったようです」


 そこに銃撃音〈パン、パン、パン〉エリーが瞬時に防御シールドを展開させる。同時にガルフが中段からの猛烈な斬撃をエリーの腹部目掛けて放って来た。エリーは軍刀を瞬間的に抜き払い、ガルフの魔導剣の軌道の入れ外へ弾き飛ばした。

 ガルフは反転して直ぐに上体を入れ突きを放つ。エリーはすぐさまガルフの魔導剣を軍刀で掬い上げ弾き出した。ガルフは冷静に退き間合いをとった。


「銃では役に立たないようですな。陛下はまだまだ余裕の身のこなし、本当に嫌になります。魔力だけのゴリ押しの剣技と思っていましたが、どうやら勘違いしていたようです。剣技も達人の領域とは」


 エリーが上段に軍刀を構え嬉しそうに答える。

「お褒めいただきありがとうございます! これも、マリア・ラングリスさんとの修練を重ねた結果です」


 ガルフは戸惑った表情をして言う。

「陛下は本当に嫌なお方ですな。私の娘の名まで出して動揺を誘う。今どこでいるのか分かりませんが元気でいればそれで十分ですよ。娘は剣技は不得意でしたが、今は陛下のように強くなったと?」


 エリーは体を沈めて飛び出すと一瞬にしてガルフの前に、そして右斜上段から斬撃を放った。ガルフは魔導剣でそれを受け止めた。エリーとガルフの視線が合う。エリーの左の瞳の血のような赤色に一瞬驚いた表情をする。

「今、娘さんはベルニスにいますよ。ガルフさん、あなたは死んだ事になっていますがそれはどうしてですか?」

 エリーはガルフの瞳を見つめて言った。ガルフは魔導剣の魔力量を上げてエリーの軍刀を押し返す。エリーは上体を捻り軍刀を返すと下段からの斬撃を放った。それをガルフは上段から下へ打ち払う。


「ベルニスに戻れば娘さんに会えますよ。でも残念ながら私はあんたをここから逃す気は有りませんけどね」

 エリーは微笑みガルフを見つめて言った。


 ガルフは冷たい顔をしてエリーを見据えて言う。

「娘は陛下のもとにおられると、それは良かったのか、それとも不幸だったのか。陛下はキレすぎるように見受けられます。配下は苦労するでしょう」


 エリーはガルフの感情を消した目を見て微笑み言う。

「ガルフさんあなたは、娘さんを同じ道に引き込みたくなっかと思ってよろしいのでしょう。だから侵攻で死んだ事にして消息を絶った。そうですよね」


 ガルフは魔導剣を上段に構えて魔導闘気を放ち始める。そこにセリカの叫ぶ声がする。

「陛下! 片付きました! 援護致します!」


 ガルフが動揺した顔をして呟く。

「ベーグル、ボリス、アドリー、カーティス・・・・・・、すまぬ。こうもあっさりと」


 エリーが左手を挙げてセリカを制する。

「手出し無用です。セリカさんは周囲を警戒してください」


「ではレベッカさんの援護を致します」

 セリカが言うとエリーが声を上げる。

「セリカさん、レベッカさんに任せてください。セリカさんは待機してください」


 それを聞いてガルフが悲しそうな表情をして言う。

「陛下達にとって私達など・・・・・・。敵では無いと言う事ですな」


 エリーはガルフを見つめて軍刀を握り直し右斜下段に構えて声を上げる。

「では終わりに致しましょう! 大丈夫、死人として娘さんには会わせてあげますよ」


 エリーは一気に魔力量を増大させ体が濃い紫色に輝き光が周囲に迸り始める。

ガルフはそれを見て魔導剣に全魔力を集中させた。

「最後まで抵抗はしますよ。そのような魔導覇気見せられて本当に嫌なお方ですな」


 エリーはガルフに赤色の瞳を向け声を発した。

「これが最期です! それでは参ります!」

 エリーは魔導覇気を纏いガルフの胸部目掛けて猛烈な突きを放った。ガルフはそれを上から魔導剣で叩き弾こうとしたが弾かれ上体が崩れると同時に、エリーの軍刀がガルフの胸部を貫き背中から刃先が突き出る。レベッカと格闘中だった女性剣士のひとりが悲鳴を上げた。

「ガルフ様!・・・・・・」

 その動揺し隙を見せた女性剣士はレベッカの魔導手刀を浴び後ろへ吹き飛んだ。

もう1人の女性剣士はレベッカと距離を置き退く体制に入っている。


 エリーが項垂れたガルフを抱えたまま声を上げる。

「これ以上の戦いは無益です! 投降しなさい!」


 赤髪ロングヘアの女性剣士はエリーを見て言う。

「そもそも命を捨てる覚悟は出来ている。だから最後に相手がどのようなものか見てみたいのですよ」


 そうして女性剣士はセリカの方へ向きを変えると一気飛び出し斬撃を放った。セリカは素早く魔導剣を抜き払い横方向へ振り抜いた。そして次の瞬間には女性剣士はビルの壁に打ち付けられる。


 そしてエリーは周囲を確認してふーーっと息を吐いて言う。

「終わりですね。それでは治療施設に」


 レベッカはエリーに近づき呟く。

「ご指示通り、2人隠れていた女性を見逃しました。よろしいのですか? これでますます警戒されますよ」


「ええ、証人は必要です。ユーリさんのためにね」

 エリーはガルフの胸からゆっくり軍刀を抜き治癒スキルを発動させ傷口を塞ぐ。

「セリカさん、お願いします」

 

セリカは直ぐに答える。

「はい、周囲には近衛兵団一個連隊がすでに警戒配置展開中です。車両は直ぐに到着します」


 エリーは直ぐに微笑み言う。

「今日は、夕食な肉料理にしますか? お忍でレストランでも3人で行きましょう」


「ええ、もう夕食のお話ですか?」

 セリカが戸惑った表情で言った。

 


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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