和平交渉 第119話 エリー大隊2
エリーは大隊メンバーと再会する。
帝都出撃3日目夜。ここはベランドル帝国帝都ドール城。
エリーはベルニス王国から帝都に先ほど帰って来たばかりで、いまエランのベットの上で寝そべりくつろいでいた。
エランの寝室のドアがノックされる。
「はい、どうぞ!」
エリーが答えるとリサが入って来て一礼する。
「エリー様、お客様がお見えです。お通し致しますが、よろしいでしょうか?」
「ええ、私に客? 予定は無いはずです」
エリーはベットを転がりリサを見て言った。リサは一礼すると寝室から直ぐに出て行った。
そして再びドアがノックされる。
「はい、どうぞお入りください!」
エリーはベットから直ぐに飛び降りて姿勢を整える。
ドアが開きリサが入って来る。その後ろから2人の女性が入って来た。黒の上下スーツ姿の2人は直ぐに一礼する。
「大魔導師ローラ様! お初にお目に掛かります。アンジェラ・クロードと申します」そうしてもう1人も声を上げる。
「大魔導師ローラ様! セーヌ・アクセルと申します。以後お見知り置きを」
2人はそして深く頭を下げた。
エリーは2人を見て口を開けて大笑いする。
「セーヌさんもアンジェラさんも何ふざけているんですか」
アンジェラがエリーの顔を見て言う。
「ハル閣下からの指示です。エリーさんをお助けしろとのことです」
エリーは2人の顔を嬉しそう見て言う。
「ええ、いまユーリさんがいないから丁度よかった。それで大隊は大丈夫なの?」
セーヌがエリーに近寄り微笑む。
「エマさんが復帰されますから大丈夫です」
エリーはふっと息を吐き微笑む。
「エマさん無事に復帰出来たんだ。良かった」
「でも、エリー機動大隊はいま第三機動連隊所属だけど、ジェーン連隊長は指揮官復帰したの?」
アンジェラがエリーの手を握って言う。
「ジェーン連隊長はもう元気にやられてますよ。でも旦那さんが遠くに行って寂しそうですけどね」
エリーはセーヌの顔を見て言う。
「大丈夫・・・・・・。セーヌさん?」
エリーはセーヌの瞳をじっくりと観察してからさらに言う。
「吹っ切れて無いよね? そりゃ無理だよね。でも努力は認めるよ」
セーヌはエリーの顔を見て頷いた。
エリーは視線をリサに移して尋ねる。
「ハル閣下は?」
「はい、いまエラン陛下とお話し中です」
「そう、じゃあ私もお姉様のところへ行きましょう」
エリーは微笑んでリサを見て言った。
アンジェラがエリーの顔を見て嬉しいそうに言う。
「やはり帝国皇帝の寝室ともなれば豪華ですね。調度品のレベルが違いますわ」
(へーーえ。そうなんだ。アンジェラさん見るところが違うね)
エリーはアンジェラ見て嬉しいそうに言う。
「ベットの寝心地も最高ですよ。横になってみますか?」
「いいえ、それはさすがにダメですよ」
アンジェラは直ぐに一礼してセーヌの横に移動した。
「では、行きますか」
エリーが直ぐに寝室から出ると3人も追随した。通路を移動していると前にミリアが頭を下げて待っている。
「ローラ様、少しよろしいでしょうか」
「ええ、何か急ぎのようですか?」
エリーはミリアのほうを見ると後ろにもう1人女性が頭を下げている。
「申し訳ありません。どうしても一目ローラ様にお会いしたいとせがまれまして」
ミリアが言うと後ろの女性がエリーの前に出て跪き頭を下げる。
「ローラ様! お初にお目に掛かります。宰相の娘、ソフィア・トライアンフです。今後ともよろしくお願い致します」
「マーク宰相の娘さんですか。よろしくお願いします」
エリーはそう言って膝をつきソフィアの顔を見る。ソフィアは嬉しそうにエリーの顔を見て呟いた。そしてエリーの手を握る。
「お目に掛かれて光栄です。父、母共々よろしくお願い致します」
エリーはミリアを見て言う。
「あゝ、ミリアさんの義理の娘さんですよね。部署は何処ですか?」
「いえ、政府には勤めておりません。大学院生で研究をしています」
ソフィアがエリーの顔を見て答えた。
「それでは、頑張ってくださいね」
そう言ってエリーは立ち上がる。ソフィアも立ち上がり一礼するとエリーの手をさらに握りしめて言う。
「ローラ様、そばに置いて頂けないでしょうか? どうかお願い致します」
ミリアが慌ててソフィアの肩を掴む。
「ソフィアさん、何を言っているのですか! ローラ様が困っておられます」
「ええ、マーク宰相に相談されていますか? 勝手はダメです。私が叱られますから」
エリーが嫌な顔をしてソフィアを見る。ソフィアはエリーから視線を逸らす。
「・・・・・・ダメですか?」
エリーは少し意地悪い顔をしてソフィアを見て言う。
「ダメです。私の周りにいると危険が伴います。軍人軍属ならともかく民間人はダメです」
ソフィアはガッカリした顔をしてエリーを見る。エリーはソフィアに言う。
「ソフィアさんが私のそばにつける実力なら問題ありません。自分の身を守れるくらいになってから来てください」
エリーはソフィアの肩を抱き寄せ言った。ソフィアはエリーの顔を見て頷き言う。
「ご迷惑にならない実力をつけてから、もう一度お願い致します」
「ええ、待ってますからね」
エリーは微笑んで言った。
ミリアが申し訳なさそうに言う。
「お時間を取らせて申し訳ありませんでした」そして、ミリアとソフィアは頭を下げる。
「気にしないでください」
エリーは一礼して歩き出す。リサはソフィアを見つめて微笑み声を掛ける。
「ローラ様にお仕えするのは大変ですよ。まあここに来れるよう頑張ってね」
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!
これからも、どうぞよろしくお願いします。