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皇帝権限奪還 第113話 皇帝護衛隊20

ミリアはマークの娘と会う。


 帝都出撃翌日午後。エリー達がアンドレアを出撃してから44時間ほど経過している。


 ここは帝都ドール市東区のレストランの個室。


 マーク宰相は少し落ち着かない顔でミリアを見て言う。

「遅いな・・・・・・、ソフィアは来ないのではないか」


「まだ予定時間は来ていませんよ。大丈夫ですよ、何を心配されているのですか」

 

 ミリアが微笑みマーク宰相を見る。マークは今日は紺色のスーツを着用している。ミリアは水色のワンピースを着用して少しでも和やかに雰囲気にするためだ。


 個室の前にはスーツ姿の護衛官が3人いる。そしてこの区画周辺には一個小隊規模の警護部隊が展開して警戒任務にあたっている。マークが宰相に任命された事で以前とは比べ物にならないほど警護が固くなった。


「ミリアは何も思わないのか? 私は緊張している。皇城での閣議以上だ」


「ええ、なるようにしかならないと思っています。ソフィアさんがどう思うか少し気になりますが、私の思いを伝えるだけです」


「ミリア、前の印象とはだいぶ変わったな。部隊に着任したばかりの頃はエリート意識むき出しのただのお嬢さんだったが・・・・・・」


「そうですね。エリー様や他の方々にお会いして色々学びましたから、特にマークあなたに会えた事は幸運でした。まさか私もこんな風になるなんて思ってもいませんでした。自分の親と変わらない男性を好きになって・・・・・・・、エリー様に今日、言われたのですが、責任は私にあると謝罪されました。私には何のことかわからず戸惑うばかりでしたが」


「ミリアはエリー様の洗礼を受けたのだな。その時の事を詳しく聞かせてくれないか?」


「マークごめんなさい。それは無理です。イメージとしてエリー様の深淵の精神イメージを受け取りましたが、言葉に出来ないのです。喋れないのです。不思議なのですが何かしらの魔法的な拘束が掛かっているよです」


「そうか・・・・・・、聞きたかったが、エリー様は王家血統者のなかでもずば抜けた力をお持ちの方だ。今は帝国の大魔導師ローラ様として動いておられる。エリー様が助けてくだされば帝国の安定も早期に実現できるだろう」


 マークはミリアを見て微笑む。

「そろそろ来るか?」


 個室のドアがノックされる。

「マーク様! ソフィア様がいらっしゃいました! お通し致します」


 ドアが開くと1人の女性が入って来る。そして深く頭を下げて言葉を発した。

「マーク閣下! 宰相ご就任おめでとう御座います」


 ミリアが微笑みその女性を見るとその女性は一瞬嫌な顔をした。

(これがソフィアさん・・・・・・、マークの面影はあるけど美形だな。でもこの雰囲気は私に対してあまり良い印象はないみたいね)


 ミリアは立ち上がり頭を下げる。

「ミリアと申します。この度お父様と結婚する事になりました。どうぞよろしくお願いします。ソフィアさん」


 ソフィアを少し嫌な顔をしてミリアを見て言う。

「ミリアさん、もっとふしだらな方かと思っていましたが、普通のお嬢さんでびっくり致しました。どうやってお父様をたらし込んだのですか? お聞きしたいですわ」


 マークが慌てた様子で言う。

「ソフィアその物言いは酷いぞ。ミリアさんに失礼だ」


「あゝ、少し言葉が過ぎました。でもあり得ないでしょう。このようなお綺麗な私と変わらない年齢の方が、なぜお父様のような年齢のおじさんと結婚するのですか? 何かあると思うのは娘として当然です。お父様には幸せになってもらいたいとは思ていますが。ですが今回は納得出来ません」


「ミリアさんはとても良い人だ。そのような腹に何か隠して私に接近してて来たわけではない」

 マークがソフィアを見て困った顔をする。


「ミリアさん、お父様のどこが良かったのですか? お聞きしたいですね。まさか事に及んでいないってことは無いですよね」


 ミリアは微笑んでソフィアを見る。

「ええ、人間性を含めて全てです。まあ一部気に入らない面もありますが許容範囲内です。それに夜の営みも優しくて良かったです」


「へーーえ、そうですか。でも納得いきません。突然降ったように現れてお父様を奪って行くのですか? あなたは・・・・・・」

 ソフィアは少し寂しそうに言った。


 ミリアはソフィアに歩み寄り手を優しく包んで言う。

「違いますよ。私はお父様を独占するつもりなどありません。戸籍上ソフィアさんは娘となりますが、友達のように接してもらえれば結構ですよ」


「・・・・・・友達、なに? そんなの無理ですよ。お父様だって母が死んでからもう13年だしそろそろ良いかなと思ったけど、さすがにこれは無いよ。だって私と歳変わんないんだよ。お父様は私の憧れだったのに、それをあなたは壊したんです」


「そんなにお父様のことを・・・・・・、ソフィアさん、気持ちはわかりました。でも結婚はしますよ。ローラ様にもエラン陛下にも許しを頂いております。今更やめられません」


 ソフィアはミリアの顔を見て困った顔をする。

「あの大魔導師ローラ様?」

 ソフィアがポツリと言った。


「ええ、そうです。私の師匠でもあります」


「ミリアさんはローラ様の弟子なのですか?」


「ええ、みたいなものです」


 ソフィアがミリアの顔を見て言う。

「なぜお父様を選んだのですか? それはローラ様も関与されているのですか?」


 ミリアは微笑んで言う。

「ええ、そうですね。大きく関わっていますね」


 ソフィアは少しためらいながら言う。

「そうですよね。理解しました。少し納得いきませんが、お父様のことよろしくお願いします。ミリア様」


「ええ、でも何で急に?」

 ミリアが少し不思議そうな顔をする。


「べランドルでは王国、帝国時代を通して女性は重要ポストに着くことはほとんどありませんでした。しかし、今回エラン陛下は意を決して行動をローラ様と起こされ一瞬にして帝国を一新されました。そして主として動いたのが女性だったのです。

エラン陛下は摂政を打ち払い、ローラ様は摂政派閥の反乱分子をあっという間に制圧した。そして重要ポストに女性諜報情報統制官に任命されたと聞きました。ミリア様もその一翼を担っていらっしゃるのでしょう。ですから、お父様を支えるために結婚されるのだと理解したのです」


「母には悪いですが、認めないわけには行きません」


「ソフィアさん、ありがとうございます」

 ミリアが微笑み言った。


「もし、お父様が宰相を辞めて落ちぶれたとしても見捨てないでください。お願いします。ミリア様」

 ソフィアはミリアの両手を握りしめて言った。


「ええ、もちろんです。ソフィアさん認めてもらってありがとうございます」

 ミリアは戸惑いながら笑みを浮かべる。


 ソフィアはマークのほうを見て言う。

「お父様、おめでとうございます。祝福致します。今後ミリア様を泣かせることがないよう頑張って下さいね」


「あゝ、そのつもりだ。どうした急に態度が変わって・・・・・・、まあ良かった」


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

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